美味しく体にやさしい“ゆるベジ”って? あな吉さんにインタビュー

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 「ゆるベジ」をご存知でしょうか。
 「ゆるベジ」とは“食べすぎてしまう動物性食品や砂糖などを意識して減らし、お野菜やお豆などの不足しがちなものを積極的に取るための料理”のこと。“あな吉”こと浅倉ユキさんが考え出した「ゆるベジ」レシピは、野菜が苦手な人でもきっとその美味しさに驚いてしまうベジタブル料理です。

 新刊JP編集部は河出書房新社から刊行されているレシピ集『ゆるベジ』シリーズも好評なあな吉さんに、「ゆるベジ」について聞いてきました! 前編となる今回は、料理の魅力、野菜を使う理由、ワンポイントアドバイスなど、料理好き必見のインタビューとなっています。
(新刊JP編集部/川口絵里子)


◇   ◇   ◇


■「ゆるベジ料理」とは?

―料理を始めたきっかけは何ですか?

あな吉「高校生の頃から自分でお弁当作るようになっていたので、もともと料理は好きだったんです。動物性のものを一切使わない料理に出会ったのは、長女を妊娠出産した時です。お世話になった助産院が玄米・菜食を勧めているところでして。「玄米ご飯と、植物性のものを食べていたら、お産がとても楽になる。その後の母乳育児もスムーズに進むし、子供があまり泣かず、育てやすくなる」と耳にしたのをきっかけに、始めました。食が云々ではなく、出産と子育てを楽にしたい一心で玄米菜食のほうに移行したんですね(笑)。でも疲れてしまうのでストイックなのは全然続かない。『そこまでやらなくてもいいんじゃない?』という意識が常にありました。産前から出産後しばらくは、頑張っていた気がするんですけど…。そこで完全な玄米菜食には挫折しまして、自分なりにゆるゆると始めました。0か100ではないと思うので、少しでも自分が楽でゆるやかな気持ちで続けられるスタイルがだんだんと確立していったという感じです」

―「ゆるベジ」の意味を簡単に説明して頂けますか?

あな吉「ついつい食べすぎてしまう動物性食品や砂糖などを意識して減らし、お野菜やお豆などの不足しがちなものを積極的に取るための料理です。私が河出書房さんから出版させて頂いている料理本はすべて完全ベジタリアンと言っていい内容ですが、それは動物性のものはパンやお菓子に練り込まれていたり、ダシやソース類にかくれていたりと、見えない形でも食べすぎているものだから、どうせだったら一切抜いてしまおう、と。そうすることでむしろおいしくなるような、野菜のうまみを思い切り引き出したレシピが、ゆるベジレシピです。ゆるベジのベジは『ベジライフ』なんですが、『ゆる』には何もストイックにやらなくても大丈夫だよ、という気持ちがこもっています」

―もともとご職業として料理研究家をされていたんですか?

あな吉「いえ、もともとは書店員だったんです(笑)料理本研究家と周りに称されていたくらい料理本が大好きだったので、いち早くあらゆる料理本を手にしては買いまくっていました。何千冊も持っています。三度の飯よりレシピを見るのが好きっていうくらい。でも実際には読むだけで、作りゃしないっていう感じでした(笑)」

―出産後にご自分でレシピを考えるようになったのですか?

あな吉「そうですね。すごく料理本が好きで、読むのもアレンジを考えるのも好きなんですけど、いかんせん、なまけものなので、そのとおりに作るのが面倒くさいんですよ。だからいつも本を見ながら、『料理が飛び出してこないかなー』って念じているだけで(笑)おいしいものは食べたいけど、手間をかけるなんてあり得ないという気持ちが強かったので。もともと料理にたずさわっている方だったら、料理に手間をかけるのも惜しまないと思うんですけど、私はそういう訳ではないし、なんとかもっと簡単においしいものを食べられないのかということを、台所には立たずに、じっと本を読んで考えていました(笑)」

―料理の魅力はなんでしょうか?

あな吉「魅力ですか? 私のように子供が3人いて夫も家で食事をする、という風になると、料理は趣味ではなく、義務でもあります。でも『作らなければならない』からこその工夫が次々と浮かんでくるんですよ。他の方にとってもきっと同じですよね。手間をかければ、いくらでもおいしいものはできるはず。でもそうではなく、『10分でどこまでおいしいものができるか』とか、『どこまで手を抜いていいのか』というところに全力を注いでレシピを考えるのが、パズルみたいですごく楽しい。材料だって、『何か作りたいから今から買い物にでる』ということって少ないですよね。家に帰ってきて冷蔵庫にあるもので、どれだけおいしいものが作れるか、が現実でしょう。だからより少ない材料で、より保存の効く材料で作れないか、ということを一番に考えたいと思っています」

―家族からは好評ですか?

あな吉「家族は私が作ったものしか普段食べていないので、『みんなからうらやましいって言われるけどうらやましくもなんともないよね』なんて言ってますけど(笑)でも作ったものは、いつも残さず食べてくれるし、子どもたちも好き嫌いがほとんどないので、その点は感謝してます。普段はわざわざ出かけるよりも作る方がずっと早くてラクだから、外食はほとんどしません。三食もおやつもおつまみも自分で作ってしまいます。」

―メニューはどうやって考えているのでしょうか?

あな吉「みんなに驚いてもらおうと思って考えています。味がよくても驚きがなければ、つまんないからボツですね(笑)。例えば根菜は煮物にしたらおもしろくないから煮物はほとんど試さない(笑)、青菜を見ても当然和え物にはしないよね、とか(笑)。
自分としては、料理という日々の義務に少しでも楽しみをプラスしていただくための、エンターテイメントをご提供するのが仕事だと思っているので、もっとおもしろい料理はないかな、と常に考えています。料理は一日何度もしないといけないし、一生やらないといけないかもしれない。おもしろくないとやってられないでしょ?(笑)。『ありきたりの材料で、見たことのない料理法で、驚きのおいしさ!』というのが理想ですね」

―失敗することもあるんですか?

あな吉「ありますよ。失敗は日々繰り返しています。私はものすごくしつこく試作をするんです。一つのレシピが完成するまでにレシピによっては何十回も作りますし、かなり簡単なものでも5、6回は試してから紹介する。細かいところですごい調整したいタイプなんです。出版社さんには、一回入稿したレシピを発売直前に変更して、よくご迷惑かけてるんですけど(笑)、もっと材料を減らせるかも、もっと手間が省けるんじゃないかって、ずっと考え続けているので。料理なんていくらでもアレンジできるし、レシピに正解なんてないと思われるかもしれませんが、必要のない手順、材料が一切なくて、それでも一番おいしい状態にもっていける、レシピにとっての100点の状態が必ずあるとわたしは考えています。だから、いらないかもしれない『塩、胡椒』の胡椒は必ず抜いて作ってみるとか、『皮をむく』と書いたけど、むかないでも作ってみたり、『10分煮る』は本当に10分煮なければいけないのかなど、延々と試すんです。なんとなく、という理由で入っている材料・手順が全くないように、いつも100点を目指して何度も組み直しています」

―野菜中心にすると体調の変化はありますか?

あな吉「一定期間続ければ、かならず劇的に変わると思います。私も10年前に始めた時は『こんなの子供産むまでの我慢』と思っていたんですけど、あまりにも体調が良くなるので戻るに戻れない、というのが現状ですね。疲れにくくなる、早起きできるようになる、体力の回復も早い、などなど。野菜は消化されるのが早く、胃に負担がかからないというのも大きいと思います。」

―「ゆるベジ」料理の一番のポイントは何でしょうか?

あな吉「『ゆるベジ』の『ゆる』はすごく重要だと思っています。『野菜でメイン料理が作れるんだからお肉は食べちゃいけないんだ』と考えるのは間違い。もし旦那さんがお肉大好きだったら、ぜひ食べさせてあげて欲しい。でも食べ過ぎが心配なときには、『朝と昼は野菜中心にしない?』とか、『お肉は休日のごちそうにして、平日は軽めにしない?』と提案してみてはいかがでしょうか。無理やり我慢させるのではなく、愛情の提案として。ただしそのためには、野菜でおいしいものを作れなくては、ね。
あるいは子どもにしても、おひたしなら食べない青菜をポタージュスープにしたら食べたとか、作り手がワンパターンから抜け出せば、意外に野菜をぺろりと食べてくれることは多々あります。苦手な野菜があっても、別の調理法なら食べられないかな、と柔軟に考えて、どんどん野菜の新しい味に挑戦して楽しむ姿勢が大事だと思います。食生活はこれから先も長く重要ですし、『体に良くて作りやすくて、自分の好みにもぴったり合う』というレシピに出会えれば、一生ものですよね」

―「ゆるベジ」料理初心者の人が気をつけることはありますか?

あな吉「『動物性のものに頼らないと野菜がおいしくならない』という考えをひっこめること。野菜炒めを作ろうとしてつい豚肉を入れるとか、サラダを作るのにツナやマヨネーズを入れなきゃいけないとか、煮物を作る時にはかつおだしが絶対に必要、などと思っていませんか? 野菜ってつくづく信頼されていないんだなぁ、と思います(笑)。野菜が野菜だけでおいしくなるんだ、と信じてチャレンジしてみると、きっと新しい味の世界に出会えますよ。味も確かめずにお肉やだしを入れてしまわないで、まず野菜だけをシンプルに楽しんでみてはいかがでしょうか。
そしてもう一つのポイントは、あまり何種類もの野菜を混ぜ合わせないこと。ニンジンならニンジン、大根なら大根、と野菜にはそれぞれ凄く個性があるんです。なんでも混ぜ合わせて炒めたり煮たりすると、どの料理も似かよってしまうんですよ。だから一つの野菜だけで炒め物、煮物、サラダを作ってみたりすると、あらためてその野菜の個性やおいしさに驚くこともあるかと思います」

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