Image by: ALEXANDER McQUEEN

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 2010年2月11日に死去したファッションデザイナーAlexander McQueen(アレキサンダー・マックイーン)の遺作となった2010年秋冬コレクションが、同氏の意思を引き継ぐ形で2010年3月開催のパリ・コレクション期間中に発表された。

 16体からなるコレクションは、ビザンチン美術に触発され、グリンリング・ギボンズの彫刻や、ジャン・フーケ、サンドロ・ボッティチェリ、シュテファン・ロッホナー、ハンス・メムリング、ヒューホ・ヴァン・デル・フース、ジャン・エイ、ヒエロニムス・ボスなどヨーロッパの大画家たちからインスピレーションを得た。

 このコレクション内のすべてのパターンは、アレキサンダー・マックイーンが生前に手掛けたもので、同氏の創造性と独創性に溢れたユニークかつ美しい作品に仕上がっている。


■Alexander McQueen 2010年秋冬コレクション 全ルックはこちら
 http://www.fashionsnap.com/report/1011aw/alexander-mcqueen/


 アレキサンダー・マックイーンは、1969年3月17日に六人兄弟の末っ子としてロンドンで生まれた。16歳で学校を離れた後、マックイーンはすぐにサヴィル・ローの伝統的なテイラーであり、洋服の仕立て技術のマスターと言えるアンダーソン・アンド・シェパード、 ギーヴス・アンド・ホークスで修行を始めた。

 その後、彼は劇場用コスチュームを手がけるエンジェルス・アンド・バーマンスに移り、劇場風の16世紀のスタイルから、マックイーンのスタイルの象徴になっている研ぎ澄まされたシャープなテイラリングまで、6つのパターン・カッティングをマスター。20歳のとき、彼自身と同じく英国のテイラリングにルーツをもつ立野浩二のもとで働き始め、その1年後、ミラノに旅行していた彼はロメオ・ジリのデザインアシスタントとして働く機会を得る。1994年にロンドンに戻った彼はセント・マーチンズでファッションデザインの修士を終えるが、その卒業コレクションがイザベラ・ブロウによって全て買い上げられたのは有名な話である。

 アレキサンダー・マックイーンは叙情的でありながら生々しい魅力を持つショーや、ロマンティックでありつつ絶対的にコンテンポラリーなコレクションでも知られている。マックイーン・カルチャーは相反する二面性をはらみ、そのなかに両立させている。繊細さと強さ、伝統とモダニティー、流動的な可変性とストイックな厳格さ。躊躇することなくエモーショナルで、情熱的なその視点はアートや、伝統的なクラフツマンシップから受ける影響、またそれに対する深い敬愛の念から生まれるものだ。英国のビスポーク・テイラリング、フランスのオートクチュールのアトリエの熟練のクラフツマンシップ、そしてイタリアの他をよせつけない生産の技術。アレキサンダー・マックイーンのコレクションはこれらに対する深い見識から生み出されている。

 10年もたたないうちに、マックイーンは世界で最も尊敬されるデザイナーのひとりとなった。1996年の10月には、フランスのオートクチュールメゾンであるジバンシイからの指名をうけ、2001年3月までデザイナーを務めた。2000年の12月、「ALEXANDER McQUEEN」ブランドの51%がグッチグループによって購入され、PPR傘下となった。コレクションは、ウィメンズ、メンズのウエア、ハンドバッグ、シューズなどのアクセサリー、アイウエアとフレグランス(2003年発表のKingdom 、2005年発表のMyQueen)カテゴリーに広がり、ニューヨーク、ロンドン、そしてミラノにフラッグシップショップをオープン。

 メインとなるコレクション以外も、2005年10月には「PUMA(プーマ)」とのパートナーシップが結ばれ、ユニークで冒険心に溢れたフットウエア・コレクションをデザイン。2007年2月にはサムソナイトからラグジュアリーでありながらエッジのきいたトラベル・コレクションを発表した。2006年1月にはSINV spaとのライセンス生産によるデニムを中心としたウエア(ウィメンズ、メンズ、アクセサリー)のライン、「McQ-Alexander Mcqueen」をローンチしている。

 マックイーンは、1996年、197年、2001年及び2003年にブリティッシュ・デザイナーオブザイヤー、2003年に米国ファッションデザイナー協会(CFDA) インターンナショナルデザイナーオブザイヤー、2003年に大英帝国勲章、2007年に「McQ」でファッション&グルーミングアワード、ファッションディレクターズアワードを受賞。これらは、マックイーンのファッションにおける輝かしい経歴を示すものである。しかしパリで新作コレクションを発表する矢先の2010年2月11日、マックイーンは自ら死の道を選んだ。


 ファッション界に多大な功績を残し、影響を与えつつこの世を去ったアレキサンダー・マックイーン。ブランドを有するグッチグループは、今後もその遺産を大切に守り、成長させ、称えていく意思を表明しており、「ALEXANDER McQUEEN」ブランドは同氏が亡きあとも生き続ける。

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