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 北キプロス・トルコ共和国出身のファッション・デザイナーHussein Chalayan(フセイン・チャラヤン)氏による日本初の個展「Hussein Chalayan from fashion and back(フセイン・チャラヤン ファッションにはじまり、そしてファッションへ戻る旅)」が東京現代美術館にて開催される。2010年4月3日(土)のスタートを控え、その直前にチャラヤン氏が東京を訪れた。

 ファッションという枠にとどまらず、アート、建築、デザイン、哲学、人類学、科学といった複数の領域を横断したコレクションを発表してきたチャラヤン氏。他分野との融合を図り、常に新しい作品を創出するプロセスやコレクションに対する思いなど、同氏へのインタビューを通じて深く探った。


ー来日は何回目ですか?日本の感想を聞かせてください。

 15年の間で12回目。仕事で来日することが多いが、テキスタイルの産地や温泉にも行きます。今回の滞在では小松に行って新しいファブリックを見てきました。日本の素材はシンプルなものから最先端のものまで、とても質が高くて気に入っています。それに、日本の皆さんはフレンドリーで優しいですね。

ー4月3日より開催する個展「Hussein Chalayan from fashion and back(ファッションにはじまりファッションにおわる)」の見所は?

 この個展は世界を巡回していて日本は4カ国目。15年間の作品から厳選したセレクトで見せています。展示だけではなく、映像などちょっとした仕掛けもあるので楽しめますよ。これを体験すれば、私自身を深く知ってもらうことが出来るでしょう。

ー様々な分野と融合させた斬新なコレクションを発表していますが、ファッションにアートや科学を取り入れるのはなぜですか?

 それは新しい作品をつくるためです。世界中には何万人ものデザイナーや建築家がいますが、私はファッション・デザイナーにとどまらずに違う分野とクロスオーバーすることで、新しい仕事、作品を生んでいます。他の分野からインスピレーションを受けるのではなく、その分野の中に入り込み、そこで自分のコレクションとしてどう表現出来るかを常に試みています。

ー最新テクノロジーについて、常に勉強しているのですか?

 最先端をいつも知っているわけではないし、必ずしもそれが服に関係あるものではないでしょう。そのテクノロジーがいつも服と適応するとは限らないし、コレクションのためには投資をしないといけない。様々な分野の人と開発する必要があります。エンジニアや科学者、プログラマーから意見を聞き、それらを服に落とし込んで行くというプロセスです。

ーでは、いま一番興味がある分野は何ですか?

 サウンドやフード、いろいろありますが、それは「今」何を作ろうとしているかによりますね。プロジェクトによっていつもテーマがあり、テーマのまわりのものには全て関係があり、興味があります。

ーチャラヤン氏は自身のブランドの他に「PUMA(プーマ)」のディレクターも務めていますが、スポーツブランドを手掛けることの難しさや魅力は感じますか?

 私はこれまでに様々なテクニカルな試みをしてきたので、「PUMA」では自分の頭の一部にあった機能的な面、技術的な面を生かせています。難しかった事は、「PUMA」の顧客が若く、自分のブランドとプライスポイントが違うということ。しかし、特にフットウェアにおいてはテクノロジーと適応出来るプロダクトなので、最先端技術を使えるという事が魅力的ですね。「PUMA」で自分が直接デザインしているのは2つのラインだけですが、「PUMA」全体でも私のエレメント(要素)が反映されています。

ー近年、ファションショーのライブ配信をはじめ、facebookやtwitterなど、インターネットを通じたアプローチが盛んですが、こういったブランドの試みに興味はありますか?

 インターネットはブランドの広報としては使いますが、プライベートでは使いません。過度なインターネット利用は自分自身を汚染してしまう。私の家はとてもシンプルで、部屋には壁のようなブックシェルフがひとつあるだけ。プライベートがパブリックになるようなことはしたくないし、私は他人のプライベートは知りたくないんです。

ー日本のファッションについてどう思いますか?

 ストリートの印象が強いですね。みんな個性的で自分のスタイルを持っていて、様々なブランドとミックスするのがジャパニーズスタイル。楽しくてダイナミックで、いつも変化がある。アジアを代表するファッションのキングでしょう。

ーでは、日本で今ファストファッションやストリートブランドが人気なのはなぜだと思いますか?

 私が思うのは「人気の文化」なんだと思います。人気のものをみな好きになる。今、自然の流れでそうなっていると思います。それはファッションだけではなく、漫画やコンピューターゲームなど、様々なものに浸透していると思いますが、それはこの国が高度な文化を持っていて、他の国よりも先進しているから。様々なジャンルにおいて成熟していて、文化を形成しているのだと思います。

ーデザイナーとして、いま何が一番大変で、何をすることが必要だと考えますか?

 カスタマーがブランドを理解し忠実であるという関係性。それをキープすることは難しいし大変ですね。

ー次のプロジェクトの予定は?

 たくさんありますよ!ここ日本でも何かスペシャルなプロジェクトをやるかもしれない。でもそれが実際に起こるまでは言えません。

ー日本のファンに一言お願いします。

 日本で今回のような個展が開けるのは初めてで、これはとてもいい機会。「Hussein Chalayan」の世界観をもっと理解してもらいたいので、ぜひこの個展を体感しに多くの人に来てほしいですね。


■個展「Hussein Chalayan from fashion and back(ファッションにはじまりファッションにおわる)」詳細はこちら
 http://www.fashionsnap.com/news/2010/04/husseinchalayan-exhibition-mot.html