スティーブ・ジョブズが「iPad」を生み出すことができた理由

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 4月3日、いよいよアメリカで「iPad」がリリースされる。
 もうご存知の方も多いだろうが、「iPad」はタブレット型のPC端末でノートパソコンよりはむしろ「iPhone」に近く、感覚的な操作が可能だ。また、そのフォルムもアップルらしく美しい。
 出版業界の界隈では「iPad」は電子書籍リーダーとしての可能性に注目されており、次々とイノベーションを巻き起こしていくアップルの姿は、まさに新時代を切り開く「革命児」ともいえる。

 そんなアップルの中心人物といえば、言わずと知れた“天才”、スティーブ・ジョブズだ。ジョブズの思考方法は極めて独特であり、そして非常識的である。

■“得たいなら捨てろ”
 アップルがユーザーに提供するものは全てシンプルだが、その原点にあるのが「何をしないかを決める『捨てる力』」というジョブズの考えである。中途半端なセールスポイントは要らない。そうしたジョブズの本質が見えるのが「iPod」だ。
 「iPod」ではそれまで他のポータブルプレーヤーで出来ていた「あること」が出来ない。ユーザーがバッテリーの交換を出来ないのだ。交換可能にしようとすると、製品内部に余計なスペースが必要となるため、スリム化の妨げとなる。また、バッテリー部分にカバーをつけなければいけなくなり、そのカバーによって生まれる境界線がデザイン性を台無しにしてしまう。
 徹底的に「捨てる」ことで生まれた「iPod」の成功。それは言わずもがなだろう。

■松下幸之助との共通点
 成功に導いた経営者たち―松下幸之助、ビル・ゲイツ、そしてスティーブ・ジョブズは3人とも共通の考えを持っている。
 それは、大企業の「零細企業化」だ。つまり、大企業を動かすのは「小さなチーム」であるという考え方をする。
 大企業はもちろん社会的にも資金的にも強いわけだが、当然弱みもある。「意思決定に時間がかかること」「部門の利益が優先されるため、顧客視点になりにくい」「新技術の将来性を見抜けない」などだ。
 こうした弱みを克服するのが「零細企業化」である。事実、Macの開発は小さなチームからスタートしている。大企業においても零細企業が得意とするエッジのきいた意思決定とスピーディーな対応力が必要であることを、ジョブズをはじめとした名だたる経営者は知っていたのだ。

 朝日新聞出版から刊行された『スティーブ・ジョブズ 危機を突破する力』(竹内一正/著)では、なぜジョブズがここまでイノベーションを巻き起こしてこられたのかを分析している。それを読むと、アップルがどうして「iPad」を開発できたのかが容易に理解できるだろう。

 ジョブズのしていることをただ真似すると、痛い目を見るのは間違いない。しかし、その精神自体を持つことは誰にでも出来る。何かを打破したいときは、ジョブズの精神を吸収してみてはいかがだろうか。
(新刊JP編集部/金井元貴)


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