まちがい──名詞。(一)何かの意味や含みをとりちがえること。(二)不完全な判断、知識不足、不注意などから正しくない助言をとること。同意語・誤り。

 私たちの「まちがい」はさまざまです。結婚すべきではなかった相手や暴落した株、うまくいかなかった仕事、そして、ほんの少しのお金を節約しようとして自分で散髪するという見当違いな試みなど・・・。ハーヴァード大学元特別研究員ジョゼフ・T・ハリナン氏は、これらの多くの「まちがい」は、人間が周囲の世界を見たり、記憶したり、感知したりする時に偏り(バイアス)を帯びているからだといいます。
 
 例えば、右利きの人が建物に入る時には、それが最良のルートでなくとも右に曲がりがちなんだとか。利き手がどちらかは関係なく、多くの人が数字は「7」を、色は「ブルー」を好む傾向も。

 また、どこの誰とも知らない男性と対面した人々が、あとからその人の職業を知らされたとします。すると男性がトラック運転手と聞いた人は彼の体重を多めに、ダンサーだと聞いた人は体重を少なめに見積もるのだそうです。

 別の事例では、あるレストランで客の半分は無料サービスのワインが高級だと告げられ、あとの半分はそうでもないと告げられました。すると高級ではないと知ったグループは、食事の量が少なかったばかりか、レストランから去るのも早かったそうです。

 ここで重要なのは、このような判断が無意識に行われているということ。人のモノの見かたには、バイアスがかかっているのです。そして人間は、自分が偏っていることに気づきません。

 もしあなたがフットボールのレフリーを務めていたとしたら、黒いユニフォームのチームと白いユニフォームのチームの対戦時に、どちらの反則を多くとるでしょうか?

 NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)のデータ上では、黒いユニフォームのチームの方が、より多く反則をとられていました。私たちは黒=「力」や「強さ」とみなすことが多いのです。この種の結びつきが裏目に出てしまい、大きな判断ミスを起こすことがあるのです。

 「顔は覚えていても名前が思い出せないのは、なぜ?」
 「自分は平均よりも上と勝手に思い込むのは、なぜ?」

 ジョゼフ・T・ハリナン氏の著書『しまった!「失敗の心理」を科学する』では、多くの事例で、人的ミスのメカニズムを徹底解明しています。

 私たちは今日もどこかで偏った判断をし、「まちがい」をおかしているかもしれません・・・。



『しまった! 「失敗の心理」を科学する 』
 著者:ジョゼフ・T・ハリナン
 出版社:講談社
 価格:1575円
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