誰も情報発信ができる時代に気をつけるべきこと

写真拡大

 ウェブはそれまで特権化していた情報発信の方法を一般の人々にも解放し、誰もが自由に情報発信を行うことを可能とした。実際、ブログやSNSの日記、最近ではツイッターなど様々なツールを使って、思うがまま発言する姿が見てとれる。

 それは一方で情報発信する一人ひとりが、自分が発した情報に対して責任を求められることを意味する。つまり、「監視されるのは取材対象者だけ」の時代から「取材する側も監視される」ことになったのである。

 しかし、ポータルニュースサイトで編集者を務める中川淳一郎氏は、取材する側を監視する側=ネットに書き込む人たち」も、取材する側と同様に高みにたって過剰な糾弾していることを指摘する。

 よく「人のふり見て我がふり直せ」というが、今のネット上では「人のふり見てそいつをさらに追い込め」という現象が起きているわけだ。

 しかし、「正義の為なら集団で徒党を組んで批判をしてもいい」というのは、マスメディアの問題の1つでもあるメディアスクラムと同様で、その対象者を傷つける可能性がある。

 中川淳一郎氏の新刊『ウェブを炎上させるイタイ人たち』(宝島社/刊)ではこうしたエピソードを元に、ニュースサイトを通して発見したウェブユーザーたちの暴走を指摘する、ウェブ全盛のこの時世において、「火に油を注ぐ」ような一冊だ。
 『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社/刊)『今ウェブは退化中ですが、何か?』(講談社/刊)などと、これまで著作を通してウェブを批判してきたが、さらにパワーアップしている。

 ウェブはまだまだ発展するだろう。しかし、今のウェブのコミュニケーションは果たして“正しい”のだろうか。
 ウェブ全盛のこのご時世に、ウェブ上で本書のような論調で発言する人はそうそういない。だからこそ読んでみる価値のある一冊だ。
(新刊JP編集部/金井元貴)


【関連記事】
ウェブの新たな潮流“クラウド”の全容を解き明かした一冊―【書評】『クラウド大全』
“「縁がない」情報はすっぱりと切り捨てていくしかない”―ビジネス書著者・奥野宣之さんが語る「情報との上手い付き合い方」
iPhoneとツイッターで会社は劇的に変わる―【書評】『iPhoneとツイッターで会社は儲かる』

【新刊JP注目コンテンツ】
今ウェブは退化中ですが、何か? クリック無間地獄に落ちた人々(新刊ラジオ 第432回)
ウェブはバカと暇人のもの―現場からのネット敗北宣言(新刊ラジオ 第839回)