失敗を活かす為の考え方−『頭がよくなる知的生産の技術』

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 ライフハックや効率化についての本がいくつも出版されていることからも分かるように、ビジネスシーンにおいては徹底的に“ムダ”を省くことが良いとされる考えがある。

 しかし、その“ムダ”は、上手く活用することで、大きなプラスになる。
 クリエイティブの職種において、真新しい発想を生み出すために多くのムダを経験した方がいいとされていることが、それを端的に示している。

 では“ムダ”はどのように“意味あるもの”に変わるのか。情報工学研究の現場にいる大学教授が執筆した『頭がよくなる知的生産の技術』(三木光範/著、中経出版/刊)を参考に紹介していこう。

■次の世代に何が役に立つのかは分からない

 一時代を築いたビデオデッキや、今、持っていない人を見かける方が少ないデジタルカメラも、もともとは会社の隅に追いやられたお荷物部署によって研究されていた。
 それが数十年後には、それぞれの会社を支える重要な部署へと様変わりした。
 つまり、次の世代に何が主流になるのか、どんなものが役に立つのかは分からないのだ。変化の激しいビジネスの世界では、そのとき“ムダ”に見えたものが数年後には主力製品となることもよく聞く話である。

■必要な“失敗”を経験することが大きなプラスになる

 効率化だけを求めたとき、その過程で起こる失敗は“ムダ”として処理してしまうことが多い。しかし、「失敗学」という言葉があるように、失敗から得られる学びを大事にすることが重要だ。
 失敗の経験がないまま研究を成功させたものは、その後起こったトラブルに対してなかなか回復できないことが多い。しかし、トライ&エラーを繰り返してきたものは、失敗のパターンやトラブルの原因などに経験的な下地があり、どんなトラブルにも対応しやすい。
 「必要なときに、必要な失敗をする」。実は失敗の経験がないことは、非常に脆く、不安定な状態なのだ。

■失敗を意図的につくってみよう

 「発見的最適化」という言葉をご存知だろうか。
 思いつきや無作為な組み合わせによって、何度も実験を繰り返しながら最適解を見つけ出すという方法だ。
試行錯誤と失敗を繰り返している中で、偶然にも最も優れたものを見つけ出す。世紀の大発明といわれたトランジスタをはじめ、ペニシリンやポストイットもそうした失敗の中で偶然にも生まれてきたものだ。
 「発見的最適化」は失敗例を意図的につくり出し、その中からキラリとしたものを見つけだすという考え方をする。そこに必要なのは「ムダを許容する大切さ」であり、それが革新的な一歩を踏み出すための足がかりとなるのだ。


 「失敗は成功の母」という言葉があるように、何度も失敗をしながらそれでも諦めずに挑戦する。それが“ムダ”であるかどうかは、その時その場では分からないものなのだ。
 知的生産の現場に携わる人間であれば、仕事の成果アップにつながるヒントが満載だ。
(新刊JP編集部/金井元貴)


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