“次期首相に相応しい男”が語る日本のリーダー―『内閣総理大臣 増補版』

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 日本国民の期待を背負って立ち上がった鳩山政権は、もはや凋落の一途を辿っている。度重なるスキャンダル、10年先はおろか現政権の任期が終わる3年先の日本の姿すら全く見えてこないような場当たり的な政策。
 マニフェストを実行することも重要だ。しかし、グランドデザインなき政策が成功しないことはこれまでの長い歴史の中でも明確になってきているはずだ。

 さて、民主党が自滅することによって、自ずとチャンスが回ってくるのが自由民主党である。しかし、こちらもなかなかパッとしないというのが印象だ。
 谷垣禎一総裁には党内から「危機感が足りない」と批判が出ており、そのリーダーシップに疑問が残る。

 そんな自由党内でも目立っている数少ない政治家の一人が、舛添要一氏だ。
 2007年の安倍改造内閣において厚生労働大臣に任命されて以来、福田・麻生両内閣でもその職を続投。自民党議員の中ではとりわけ知名度も高く、今月はじめに共同通信社が発表した世論調査では、次期首相に最もふさわしい人物に選ばれている。

 ではその舛添氏が考える「首相像」とはどのようなものか。
 2002年に出版された新書を新たに増補・改訂した『内閣総理大臣 増補版』(角川書店)で、求められる首相の普遍的要素として以下の5項目を挙げている。

1、ヴィジョン提示力
 夢と希望を語る能力。リーダーをリーダーたらしめるものは、フォロワーに夢と希望を明確なヴィジョンの形で描いてみせることである。

2、歴史と哲学の素養
 未来像を描くために必要なことは、歴史を学ぶことだ。歴史と哲学から人間を動かす術を学び、人間を理解し、政治的判断力を身につけることが重要である。

3、人心掌握力
 人が付いてこないとリーダーにはなりえない。そこで必要なのが人心を掌握する力である。時には仮想の敵を作り、戦うイメージを作り出す。そうした戦略も必要となる。

4、組織力
 政治とは、自分と考えの異なる人たちを説得して多数派を形成することである。リーダーシップの拡大には、組織をつくり、そして束ねていく「組織力」が不可欠なのだ。

5、経験
 組織のリーダーに欠かせないのが「経験」だ。合理主義的な認識だけでは、論理学や数学はできても政治は難しい。これまで短命に終わってきた政権のリーダーに足りなかったのはこの経験であった。

 さらに舛添氏は、これらの普遍的要素に加えて「今日的要素」として以下の5項目を追加する。

6、危機の認識と危機管理力
7、カリスマ性
8、テレビ・ポリティクス
9、国際性
10、IT適応力


 これは実際に本書を開いて読み取って欲しいところだが、多様性を増していく社会において、日本のリーダーたる総理大臣に求められることはとても多い。

 今年夏には参院選が控えている。そのとき、どのような結果が出るのか。選挙までに読んでおきたい、現在の日本政治を取り巻く現状がよく理解できる1冊だ。
(新刊JP編集部/金井元貴)


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