亀田史郎ライセンス再発行、セコンド復帰へ協会が後押しする裏事情

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 ライセンスの無期限停止処分を受けていた亀田兄弟の父、史郎氏が業界の表舞台に復活することが、ほぼ確実となった。亀田ジムが所属する東日本プロボクシング協会が15日の理事会で、史郎氏の処分解除を求める要望書をJBC(日本ボクシングコミッション)に提出すると決めたからだ。だが、ライセンスの停止後も"無資格"で実質的にジムを仕切っていた史郎氏は、その間に1億円の申告漏れが発覚するなど、何かと問題がある人物のはず。どうして無期限の処分が、約2年半であっさりと解除されてしまうのか。復活劇の舞台裏を探ると、意外な超大物の強力なサポートがあることが浮かびあがってきた。

 「理事の1人に、なぜ史郎氏の復権に賛成したのかとたずねたら、『自分はあのオヤジは嫌いだ。けれども会長が復帰を強く後押ししていて、自分1人が反対するのもおかしな空気になっていたから』と言われた」と苦笑したのは、ある中堅ジムの会長。

 「会長」とは、東日本協会の会長であると同時に、4月1日からは上部組織である日本プロボクシング協会会長も兼務する大橋秀行会長のことだ。

 15日の東日本協会の理事会では、参加した16人の理事のうち、亀田サイドとのさまざまな問題を抱える協栄ジムの金平桂一郎会長が賛否を保留した以外、15人が史郎氏の復権に理解を示し、JBCへの要望書提出に賛成した。

 理事会関係者の一人が、その様子をこう語る。

「2年半前に史郎氏の処分を決めた理事会では、理事の意見は無期限停止と追放の2つに分かれていて、一昨年の夏に亀田ジムを承認するかしないかを協議した際も、金平会長だけでなく、ほかにも反対する理事らがいた。でも今回は、いわば1対15という感じ。金平会長だけが異を唱えていた」

 そして、「金平会長は、史郎氏や兄弟に対する世間やファンの反発がまだあるから、たとえ復帰を認めるにしても、但し書きをつけるなど慎重に対応した方がいいといった話もしていた。だが、大橋会長を筆頭に賛成した理事は、何より兄弟2人を世界王者にしたという"実績"を重視していて、世間の風当たりも、もうそんなに強くないという認識のようだった」と理事会の雰囲気を明かした。

 また、前出の中堅ジム会長は、「亀田ジム設立の際は、協会の弁護士や別の理事も強く反対していた。けれど、あの弁護士も、その後に亡くなってしまった。今回は金平会長以外には根回しが済んでいて、理事会前に復帰を認めるという話がほぼ決まっていた」とも語る。

 結局、関係者の話を総合すると、今回は大橋会長の強い"指導"で、金平会長以外は、まったく異を唱えないという状況が事前に形成されていた。つまり、4月に日本のボクシング界の最高権力者になる大橋会長が、亀田のバックについたと言える状況だったのだ。

 とはいえ、史郎氏といえば、ライセンス剥奪後も、雑誌などで無反省とも取れる発言を繰り返していたほか、1億円の申告漏れが判明するなど、新たなトラブルも続出している。さらに、大毅が世界王者となった今年2月の世界戦を実現させるため、自らパナマに出向きWBAの幹部に会うなど、本来、無資格ではできないはずのさまざまな活動を行い、大毅の王座獲得後も、協栄ジムの坂田健史との防衛戦について「地球が爆発してもやらない」とメディアに堂々と語るなど、自他ともに認める亀田ジムの最高指揮官であり続けた。

 このため、前出の中堅ジム会長は、「確かにボクシング界には、世界王者を育てた者を誰よりも偉いと評価する風土がある。だが、2人の王者を育てた実績だけで史郎氏の復活を認めるというのは、ライセンスの意味や価値をなくしかねない話だろう」と問題点を指摘する。