「他の人に伝えたいニュース」の特徴:研究結果

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David Pierce


NYTimesで「最もメールされた記事」のリスト。サイトトップ画像はアフガニスタンの子供達。Wikimedia

いまの人気のあるニュースとは、少なくとも次のような要素のどれかがある、と私は思っていた――オバマ大統領を批判するか、サラ・ペイリン氏の悪口を言うか、セックスだ(3つを兼ね備えた記事なら最強だ)。しかし、新しい調査結果によると、私のこの考えは間違っていたのかもしれない。

否定的なニュースやスキャンダルやゴシップであふれている世界において、口コミで人気を集め、多くの読者に読まれている記事の特徴とは何なのだろうか。この疑問に対する答えを、ペンシルベニア大学の2人の研究者が最近の研究(PDF)で提出したのだ。

研究者たちは、『New York Times』の記事の中で、「最も読者によってメールされた記事」(画像参照)について、15分ごとに6ヵ月間記録して分析した。その結果は驚くべきもので、予想外の希望に満ちた実態を明らかにするものだ。

この研究を紹介するNew York Timesの記事によると、否定的なテーマよりも肯定的なテーマのニュースに関するメールが送信されることが多く、さらに、より長くてより複雑な記事が好まれるという。

反物質や分子化学に関する記事を知人に送信する目的が何であるかは、また別の問題だ――受信者の知識をさらに高めるためなのか、あるいは単に自分の知識を誇示するためなのか、それはわからない。しかしいずれにせよ、人々のやり取りは細切れの噂話のようなニュースで占められているという、多くの人が懸念するような状態とは大きくかけ離れているようなのだ。

メール回数の多い人気記事に共通するテーマがあるとすれば、それは、こうした記事が「人の世界観を変える」ということだろう。科学の話は、長くて複雑な内容であっても、驚くほどメールを集めていた。こうした記事は、「自分が知っていると思っていたこと」を揺るがすからだ。意外な話、特に、既成概念を覆すような話や、世界の大きさを気づかせるような記事は人々のメールを集めるのだ。

実用的な情報が読まれることも多いが、最も人気が高かったのは、前向きで感動的な記事だった。記事の調子と感情的な内容を判定するために作成されたアルゴリズムによると、その記事に関するメールの量を最も高い精度で予測できる要因は「畏敬の念」だった。

この研究結果はNew York Timesの記事に限定されたものだが、ワイアード・コムのフロントページや人気の記事から判断した、私の実証的でない調査によれば、他のニュースにも当てはまる。ワイアード・コムで人気を集めている記事は、1億6500万年前の化石や、高速度撮影が捉えた稲妻のメカニズム(日本語版記事)、非常に大型な飛行機Boing747などだ。畏敬の念を起こさせるものは、あらゆる分野に存在する。

こうしたことを踏まえると、インターネットにおける最新見出しはこうなるだろう。「世界は巨大で、君は小さい。だが、巨大な宇宙船が見つけた数十億年前の粒子ほど小さくはない」。ネットの世界をこれからも楽しんでほしい。

WIRED NEWS 原文(English)

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