文学全集の“個人編集”ってどんな仕事?

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 冒頭から私事で申し訳ないが、今年に入ってから読んだ本で一番楽しめたのは文句なしに『アフリカの日々/やし酒飲み (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-8)』(河出書房新社)だ。

 ヨーロッパ人から見たアフリカを描いた『アフリカの日々』(イサク・ディーネセン)とアフリカ人によるアフリカ小説『やし酒飲み』(エイモス・チュツオーラ)の2作品が収められている。特に『やし酒飲み』は大傑作だ。

 しかし、タイトルに「池澤夏樹=個人編集」とあるが“個人編集”とは何だろうか?
 池澤夏樹氏は作家としてあまりにも有名だが、この全集では具体的にどのような作業をされたのだろう。
 どうにも気になったので、この本を出版している河出書房新社の世界文学全集編集長・木村さんに取材をしてみた。

■“個人編集”って一体何だ?
 木村さんによるとこれまでの世界文学全集は、複数の文学者によってどの作品を収載するかを決めることが多かったのだが、河出書房新社の世界文学全集ではその作業が池澤夏樹氏一人によって行われた。これを“個人編集”と呼ぶのだそうだ。

 ちなみに、この文学全集はアメリカやヨーロッパはもちろん中東や南米、アフリカまでも網羅した壮大なもの。当然ながら世界の全地域に精通した選者はそうそういるはずもなく、だからこそ各地域ごとに別々の選者が編集することが多いのだが、池澤氏は世界中の文学作品に対する膨大な知識を持っており、それもあって“個人編集”が実現したようだ。

■河出書房新社の世界文学全集
 河出書房新社の世界文学全集は河出書房新社の創立120周年記念事業としてスタートし、2007年11月〜2008年11月に第1集(全12巻)、2009年1月〜2010年5月に第2集(全12巻)が発売されている。
 この文学全集のために新たに翻訳し直した「新訳」(第1集・第1巻の『オン・ザ・ロード』など)や、この文学全集で初めて日本語に翻訳された「初訳」(第1集・第2巻の『楽園への道』など)の作品が多く含まれているということで、好評を博している。

 そして2010年7月には第3集が発売される。
 第1巻にはチェコのボフミル・フラバルの作品が収載される。第3集には長編だけでなく短編集も入るそうだ。

 文学作品が好きな人はチェックしてみてほしい。
(新刊JPニュース編集部/山田洋介)

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