メガバンクは銀行が抱えていた問題を解決したのか?

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 「三大メガバンクが揃って赤字決算」というニュースが流れたのは2009年5月のこと。
 「三大メガバンク」というのはご存知の通り、三菱東京フィナンシャルグループ・みずほフィナンシャルグループ・三井住友フィナンシャルグループのことだ。

 これらのメガバンクが誕生したときは常に「世界最大の(もしくは世界第○位の)メガバンク誕生」という賛美的な報道がされたが、不況の風もあり、肝心の営業成績は思わしくない。

 では、なぜ銀行は合併をしてしまったのだろうか。
 これらメガバンクの誕生はどれも1990年代後半から2000年代前半の出来事だが、その背景や目的が『日本の三大銀行』(奥村宏・著/七つ森書館)に詳しく記されているので取り上げたい。

■合併の背景
 三大メガバンク誕生の背景に“バブル崩壊”があることはいうまでもない。
 当時、多くの銀行が不良債権を抱えており、例えば北海道拓殖銀行が1997年11月に経営破綻、さらにはその1年後には日本長期信用銀行が同じく破綻と、倒産する銀行が続出する状況にあった。銀行の合併はそういった危機的状況への対応策だったといえる。
 また、当時の金融担当相・竹中平蔵が「日本にメガバンクは二つか三つあればよい」と言っていたこともあり、各銀行は“生き残るには合併しかない”と揃って合併に走った。

 しかし、その合併が適切な判断だったのか(合併そのものの是非・合併の相手)には疑問が残る。

■合併によって問題は解決されるのか?
 バブル崩壊の対処として銀行の合併が進んだというのは前述の通りだが、銀行が抱えている問題には具体的にどんなものがあり、それは合併によって解決されうるものなのだろうか。

 カリフォルニア大学サンディエゴ校の星岳雄教授は、東京三菱銀行とUFJ銀行の合併の際に以下の4点を問題視している。

1.過小資本(繰延税金資産がなければ自己資本比率が国内業務の最低水準である4%以下になってしまう。しかも自己資本のほとんどは過去に投入された公的資金)
2.過剰資産(オーバーバンキング問題はかねてから議論されてきたが、その原因はよく言われているように、銀行の数が多すぎることではなく、銀行部門の資産が大きすぎる点にある。つまり、合併をしても問題解決にならない)
3.時代遅れのビジネスモデル(銀行が企業や個人の返済能力を信頼して、お金を貸し出したり、手形を割り引いて現金と交換したりする“貸出業務”からの収入に依存しているため)
4.将来性のない企業への追貸し(大口貸出先に、経営に問題のある企業が名を連ねている)


 これらはあくまでも東京三菱UFJ銀行に関しての指摘だが、どの銀行にも多かれ少なかれ共通する問題だとしている。そして、これらの問題に対処するために合併が行われたはずなのだが、今のところ解決はされていないようだ。

 「合併で世界最大のメガバンク誕生」と言われると何かスゴイ印象を持ってしまうが、実際に合併で銀行が持っている問題が解決されているかとそうではない。
 銀行は私たちの生活に直結している。だからこそ報道に踊らされず、しっかりとした目を持っておきたいものだ。
(新刊JP編集部/山田洋介)


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