ひどい時代です。経済学者のなかには、これはもう世界恐慌だという人もいます。自動車や不動産だけでなく、あらゆる分野でモノが売れなくなっているのです。

 「学生諸君、こんな時代だからこそ、フリーライターになってみないか」
 
 なんていうと「なにを寝ぼけたこと言っているんだ。景気が悪くなったら、まっさきに路頭に迷うのがフリーランスじゃないか」と叱られそうです。たしかに出版界も不況です。なかでも厳しいのが雑誌。大手出版社の看板雑誌がどんどん休刊・廃刊になっています。
 
 もっとも、出版は万年不況業種です。バブルのころでも「出版は儲からない」とぼやく人は多かったものです。統計でみると1996年が書籍・雑誌の総販売額のピークで、翌年からはずっと右肩下がり。さらにこの1年は本当にひどいことになっていますが、自動車や不動産など他業種の急激な落ち込みに比べると、実はそれほどでもないのです。 

 書店はどこも売り上げが減少し、閉店を余儀なくされるところもたくさんあります。しかし、デパート業界が対前年比で二ケタのマイナスなんていうのと比べると、いくぶんマシかもしれません。

 昔はよく「出版は不況に強い」と言われていました。それは円本ブームや終戦直後の大混乱期にも本がよく売れたからです。しかし、バブル崩壊後の長期不況のなかで「出版は不況に強いなんていうのはウソだ」と言われるようになってしまいました。とはいえ、リーマン・ショック以後の日本経済のひどい落ち込みを見ると、相対的には出版は強いのかもしれません。

 「こんな時代だからこそフリーライター」だと、実際にフリーランスとして活躍する永江朗氏は言います。相対的に出版業界が不況に強いということだけでなく、「いざとなった時に会社よりも個人」と考えるからだそうです。一般的にフリーランスは不安定で会社員は安定しているというイメージがあります。80年代ぐらいまでなら、そのイメージは正しかったかもしれません。しかし今は違います。大きな会社がバタバタとつぶれます。簡単につぶれます。会社員だって安定しているとはいえないでしょう。

 永江朗氏の著書『書いて稼ぐ技術』では、ライター業の心得からライターとしての人生設計、取材のノウハウ、メモ術、アイデア術などが紹介されています。文筆稼業25年の永江氏が、自らの体験を披瀝し、「書いて生きる方法」を説いており、文筆生活を夢見る人には心強い一冊となるかもしれません。



『書いて稼ぐ技術』
 著者:永江 朗
 出版社:平凡社
 価格:777円
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