もう4周年を迎えようとしている。だが、元フランス代表のジネディーヌ・ジダン氏は、あのことを忘れていない。そして何より、あのことを許していないのだ。スペイン『パイース』は決してイタリア代表(当時)DFマルコ・マテラッツィの名前を出さないようにしているが、同選手に対する感情をジダン氏は隠していない。

ベルリンで行われたドイツ・ワールドカップ決勝でのあの“動き”の思い出は、打ち消すことができないもので、「死ぬほど」辛いものなのだ。『パイース』の見出しは、「悪者に謝るくらいなら死ぬ方が良い」。あの頭突き事件について、ジダン氏はこう話している。

「もちろん、残念に思っている。だが、“許し”を請うとなれば、私は彼がやったことが普通のことだと認めることになってしまう。私にとっては普通のことではなかった。ピッチ上ではいろいろなことが起きる。似たような状況に遭遇したのは初めてのことではなかった。だが、あのときの私はこらえられなかったんだ。なぜなら…言い訳ではないが、母の具合が悪かった。病院にいたんだ。これは知られていなかった。私にとってはひどい時期だったんだ。キャリアにおいて、母を侮辱されたことは何度もあったが、私は反応しなかった。だがあのときは…あのときはしたんだ。それに許しを請うなんて…」

「彼がカカーだったら、普通のタイプだったら、良い人間だったら、もちろん許しを請うただろう。だが、あれはない! 彼に許しを請うなら、それは自分自身への敬意を欠き、自分が心から大切にしているすべての人たちへの敬意を欠くことになる。サッカーとサポーター、チームには謝罪するよ。試合後、私はドレッシングルームへ入ってこう言ったんだ。『みんな、すまない。もう何も変わらないのは分かっているが、みんなに許しを請いたい』。だが、彼にはできない。決して、絶対にだ…。自分の名誉を傷つけるようなものだろう。死ぬ方が良い」

あのエピソードから、ジダン氏は良いところを引き出そうとしている。少なくとも、レアル・マドリーに登録した自分の子供たちのように、サッカーを始める子供たちへの教訓にしようと努めている。

「子供たちには、もっと気高くプレーすることができると言わなければならない。ピッチでは好ましくないことも起こり得るが、サッカーはスポーツであり、屈辱であってはいけないんだ。私はあまり話さなかったが、私だって対戦相手にいろいろ言っていた。相手に応じてね。好ましいライバルたちがいて、彼らは笑わせてくれる。だが、悪者だっているんだ。そして、こういう人たちが言っていることは聞きたくない。何を私に言えるというんだ? 私はキャリアにおいて様々な相手と対戦してきた。好ましい審判たちや、毎日笑わせてくれていたチームメートたちともね。ロナウドのように。彼は、あらゆる意味でフェノーメノ(怪物の意。ロナウドの愛称)だよ」