ファストファッションが日本中を席巻しています。ユニクロやしまむら、無印良品などの国内チェーンをはじめ、H&M、ZARA、フォーエバー21などの外資勢、そして、最近ではアバクロも日本に進出しました。いずれも低価格、高品質、高ファッション性で若い女性からの人気を集めています。

 これまでも同様の低価格商品ブームはありましたが、今回のそれは過去のものとまったく違ったようにみえると、経営コンサルタント兼フリージャーナリストの川嶋幸太郎氏は分析します。過去のものは、安いのだから文句は言うな、ましてやトレンドなんか必要ないという押しつけ型の商品だった、そのため不況で話題を呼ぶものの、すぐに火が消えてしまったと。

 しかし、今回のブームは本格的。"低価格であり高品質"。そうでなければ振り向きもしないという消費者の嗜好の変化に対応しています。若い女性はブランドにこだわらず、自分の気に入ったものを自分の好みに合わせて着こなす術に長けています。そんな彼女たちのライフスタイルに今のファストファッションが合致しました。その証に、高級ブランドが訴求力を失い、百貨店の婦人服売り場には閑古鳥が鳴いています。単なる不況の影響ではありません。消費者の消費行動が構造変化を起こしはじめているのです。

 ただ、良いことばかりではありません。表にでない問題点もあると川嶋氏は危惧します。ファストファッションの旗艦店は東京の銀座・原宿・渋谷の3ヵ所に集中しています。外資系の大手は、この3つのいずれかに進出することで、日本での足がかりを構築しています。なかでも銀座は特に激戦区で、銀座通りに沿ってユニクロ、ZARA、H&M、アバクロといった世界的なファストファッションの大手が、競って大型店を出店しています。しかも、どの店舗も売り場面積1,000平方メートル級の大型店。それぞれのチェーンでも最大規模の店舗で、賃料も破格です。ビルが丸々売り場になっているので、数億円はくだらないようです。いかに日本最大の商業街とはいえ、1枚1,000円の低価格商品を提供しているファストファッションにとって、賃料負担は軽いものではありません。話題性では群をぬく銀座での出店も、ライバルとの競争に負けて失敗したら、大きな影響を与えることも。消費者は徐々に距離を置くようになり、そのブランドのファンは幻滅。チェーン全体の志気は下がり、取引先や銀行との関係も変化します。勝ち組だと思っていたからこそのんでいた条件を見直さなければならなくなるからです。
 
 銀座から撤退することは、ライバルに負けたことを世の中に宣言したのと同じ意味。今や絶好調のファストファッションも、銀座店撤退を皮切りに、負け組の一途をたどるブランドが出てくるかもしれません。銀座に注目することで、ファストファッションの勢力地図が見えてくるのです。



『ファストファッション戦争』
 著者:川嶋 幸太郎
 出版社:産経新聞出版
 価格:1,365円
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