飛行機に乗ったとき、たいていは滑走路に着いてもすぐに出発せず、数分間待機していますよね。早く出発すればいいのにと考えている人も多いと思いますが、実は飛行機には「後方乱気流管制間隔」というものが設けられていて、直前に出発した飛行機が起こす乱気流を避けるため、一定の間隔を空けることが必要とされているんです。

 その間隔は国際民間航空機関(ICAO)によって定められていて、大型機の後ろに大型機が飛ぶ場合は4マイル海里(約7.4km)、大型機の後ろに中型機が飛ぶ場合は5マイル海里(約9.3km)など、飛行機の重さによって異なります。羽田空港の場合に当てはめると、飛行機の「車間距離」は東京湾に5機程度になるんだとか。

 これを実際の運用に当てはめると、1機あたりの滑走路使用時間は約2分。いかに早く滑走路に到着しても、直前の飛行機と後方乱気流管制間隔を空けなければならないため、1時間では約30機しか離着陸することができません。需要の少ない地方空港では、1時間に30機も離着陸することはありませんが、昼間時間帯だけで年間30万回以上の発着容量がある羽田の場合はギュウギュウにダイヤが組まれているため、ひとつ遅延が起こると後続の飛行機も影響を受けることになります。

 例えば、エンジンに鳥が吸い込まれてしまうバードストライク。飛行機自体はエンジンに鳥が吸い込まれても故障しないように充分な耐久テストが行われていますが、滑走路に鳥の死骸がある場合はそのまま離着陸することはできません。その都度滑走路を閉鎖して、空港職員が回収しているため、これだけで15分ほど遅延することになります。

 このほかにもエンジンオイルの漏れや、着陸の衝撃によるボルトの脱落など、羽田でも平均して1日に1回は何らかの理由で滑走路が短時間閉鎖されているそうです。私たちは一度機内に入ってしまえば、あとは着陸までひたすら安全を祈るくらいしかできませんが、飛行機の外では1機でも多く離着陸ができるように、最先端の技術が活躍し、長年培われた工夫がなされているのです。

 今年10月には羽田空港に4本目の滑走路がオープンする予定ですが、こうした飛行機運用の実態を知れば、JAL問題や空港の24時間化、航空会社が自由に路線を設定できる「オープンスカイ(航空自由化)」の導入といったニュースも、より理解しやすくなるのではないでしょうか。



『航空機は誰が飛ばしているのか』
 著者:轟木 一博
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