最近、知人が突然の腹痛で大病院へ入院し、CT検査で腹膜炎と診断され、緊急の試験開腹手術を受けた。その話を聞いて、T病院の外科部長時代のことを思い出した。

 ある土曜日の夕方、わたしの携帯電話に友人のKさんから伝言メッセージが入っていた。

「先生ごめん、昼食べたものが悪かったのか、腹痛が次第に強くなって、先生の病院の救急部へ行ったら、内科病棟へ入院させられたよ、どうしよう」

 突然の激しい腹痛の場合、外科手術をしなければ大変なことが起こることがある。わたしは即座に病院へ駆けつけた。病棟当直の内科の医師の話では、レントゲン検査とCT検査で腸炎と腸閉塞の疑いとのことであった。病室へ入ると、点滴を受けながら気弱そうな表情をしてKさんがベッドに横たわっていた。

「Kさん、どんな感じですか」とわたし。

「いや〜、ゴルフ場の昼食でカツオのたたきを食べたんだけど、その後、腹が痛くなって」とKさん。

「今はどうですか」

「少しましになってきた。内科の先生は鼻から管を入れるって言ってたけど…」

 レントゲン写真では通常、小腸の腸管内のガス像は写らない。が、腸の一部に強い刺激を受けると、ストライキを起こしたように小腸の動きが止まり、ガスがその部分にたまってくる。腹部断層のCT検査では、ガスがたまっている近くの小腸壁が一部、分厚く見える。

続きはこちら


■関連記事
・人類の天敵なのか、ウイルス感染症
・救命治療は「お客様感覚」では救えない
・3000万人の国民病 非飲酒者でも肝硬変に脂肪肝
・健康寿命を延ばす「10の方法」生活習慣と食事、運動がカギ!
・太陽光は万能薬!? うつ病からガン予防まで、「太陽ビタミン」のすごい効能