ワールドカップイヤーの2010年、日本代表はすでに4試合を消化している。そして、このタイミングで、再び日本代表を悩ませているのが"得点力不足"。

 格下の香港に3得点をあげたものの、過去の対戦成績からいうと、どこか物足りなさが残った。ベネズエラ、中国、韓国の3試合では、PKで1点を奪っただけ。ワールドカップではカメルーン、オランダ、デンマークといずれも強豪国と対戦する。このままでは3戦3敗も覚悟しなければならないのかもしれない。

 しかし、日本代表を指揮する岡田監督は"得点力不足"を否定している。それを紐解く鍵に、ホームとアウェーの戦い方がある。ワールドカップ予選のアウェーでの試合に目を向けると、得点できているのだ。
 
 まず、緒戦のバーレーンとのアウェー戦で3得点、ホームのウズベキスタン戦では1得点、アウェーのカタールで再び3得点、そして、ホームのオーストラリア戦では0点だったが、続くホームのバーレーン戦、アウェーのウズベキスタン戦、ホームのカタール戦、最後のアウェーのオーストラリア戦のすべてで1得点を挙げている。
 
 確かに少なめではあるが点はとれている。そして、有利なはずのホームで得点が少なく、アウェーの方が比較的とれている。実はここに"決定力不足"の本質が垣間見える。

 予選で重宝された日本代表のFWは、玉田圭司、田中達也、大久保嘉人など。いずれもスピードに特徴をもつ選手。彼らのスピードはスペースがある方が生きるので、相手がゴール前で守備を固めているとスペースが狭くなってしまい、特徴を発揮しにくい。

 日本のホーム戦では、相手は守りを固めてくる。オーストラリアですら、日本のホームゲームでは引いて守ってきた。そうなるとボールは支配できるが、スペースがないので、アタッカーのスピードを生かせる機会がなかなか訪れない。反対にアウェーでは相手がある程度攻めてきてくれるので、スペースがあり、カウンターアタックでスピードを生かすことができる。日本が得点力不足を露呈するのは主にホームゲームであり、相手に守備を固められた時だ。今年行われた4試合すべてが、ホームゲームだったことは興味深い。
 
 日本代表選手の身長はヨーロッパやアフリカよりも低く、ワールドカップ本大会では大型のDFと対戦しなければならない。そうした対戦を考えるとJリーグの大型FWが通用するかは疑問であり、それより日本選手の敏捷性やスピードを生かした方がいいと、岡田監督は考えているのだろう。日本代表にはこうしたタイプが多く、また、ワールドカップ本大会では、格下と想定している日本戦で相手チームが引くことは考えにくい。そうすれば、アジア予選時のホームゲームのような相性の悪さはない。

 日本人の特徴を生かした戦術で、「世界を驚かす」ことができれば痛快だ。"得点力不足"だからといって、日本代表に見切りをつけるには、少し早いのかもしれない。



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