【戸塚啓コラム】見落としがちなディフェンス陣の修正ポイント
2月2日に行なわれたベネズエラ戦は、攻撃面での物足りなさが指摘された。一方で、ディフェンスは、ほとんど触れられていない。試合後の岡田監督は「ロングボールへの対処、カウンターへの戻りも良かった」と話し、一定の評価を与えた。
流れのなかで与えた決定機はひとつだけだった。10分のアリスティギエタのヘディングシュートである。実はこのシーンが、W杯での失点をイメージさせるものだった。
相手GKのロングキックを、アリスティギエタと闘莉王が競り合う。闘莉王が競り勝ったボールが、ベネズエラのゲラにわたる。
中澤が背後から間合いを詰め、小笠原が連動して食いつくが、ゲラはターンしてドリブルを仕掛ける。小笠原がかわされたために遠藤もチェックをしかけるが、それでも止められない。ペナルティエリア手前のゾーンで、ゲラはフリーで前を向いた。
日本の最終ラインは、左から闘莉王、長友、中澤、徳永という並びになっていた。闘莉王がヘディングの競り合いで前へ出ていったことで、左サイドバックの長友が中央のカバーに入っていたのだ。ゴール前へポジションを戻したFWのアリスティギエタは、中澤がマークしている。
闘莉王は左タッチライン際のモレノを意識したポジションを取っていたが、ゲラがフリーで突破してきたことで意識がゲラへ向いた。
そのままドリブルを許すと、シュートを打たれてしまうかもしれない。当然の判断だろう。ゲラからモレノへスルーパスが通ったのは、まさにその瞬間だった。モレノに背中を奪われた闘莉王は、必死に帰陣したもののクロスをあげられてしまう。中盤を突破されたことで、闘莉王はモレノとの1対1で劣勢に立たされてしまったのだ。
ゴール前でも対応が遅れていた。ペナルティエリア内の手前にいた長友は、モレノがクロスではなくドリブルをしてくることも想定したポジションをとっていた。中澤はゴール正面へのクロスを跳ね返す準備をしている。結果的に、長友も中澤もアリスティギエタをマークしていることにはならず、ヘディングシュートを打たれてしまったのだ。
相手ゴールキーパーのキックは、闘莉王か中澤が競り合うのが基本的なやり方だ。その際にはボランチかサイドバックが、中央へスライドしてカバーすることになっている。ベネズエラ戦もその流れでの対応だったが、ゴール前で相手FWをフリーにしてしまった。
強豪国が相手なら失点を喫してもおかしくない場面で、前半早々の時間帯でビハインドを背負うと、ただでさえ難しいゲームがより一層厳しさを増してしまう。
闘莉王なり中澤が跳ね返したセカンドボールを支配できず、中盤を突き破られる場面は、W杯でも想定される。これまでは〈中盤で取りきる〉ことがフォーカスされてきたが、今後は〈最終ラインがポジションを入れ替えたなかでの対応〉も詰めていく必要がある。6日に開幕する東アジア選手権の、ひとつのポイントである。
・戸塚啓コラム - サッカー日本代表を徹底解剖
流れのなかで与えた決定機はひとつだけだった。10分のアリスティギエタのヘディングシュートである。実はこのシーンが、W杯での失点をイメージさせるものだった。
中澤が背後から間合いを詰め、小笠原が連動して食いつくが、ゲラはターンしてドリブルを仕掛ける。小笠原がかわされたために遠藤もチェックをしかけるが、それでも止められない。ペナルティエリア手前のゾーンで、ゲラはフリーで前を向いた。
日本の最終ラインは、左から闘莉王、長友、中澤、徳永という並びになっていた。闘莉王がヘディングの競り合いで前へ出ていったことで、左サイドバックの長友が中央のカバーに入っていたのだ。ゴール前へポジションを戻したFWのアリスティギエタは、中澤がマークしている。
闘莉王は左タッチライン際のモレノを意識したポジションを取っていたが、ゲラがフリーで突破してきたことで意識がゲラへ向いた。
そのままドリブルを許すと、シュートを打たれてしまうかもしれない。当然の判断だろう。ゲラからモレノへスルーパスが通ったのは、まさにその瞬間だった。モレノに背中を奪われた闘莉王は、必死に帰陣したもののクロスをあげられてしまう。中盤を突破されたことで、闘莉王はモレノとの1対1で劣勢に立たされてしまったのだ。
ゴール前でも対応が遅れていた。ペナルティエリア内の手前にいた長友は、モレノがクロスではなくドリブルをしてくることも想定したポジションをとっていた。中澤はゴール正面へのクロスを跳ね返す準備をしている。結果的に、長友も中澤もアリスティギエタをマークしていることにはならず、ヘディングシュートを打たれてしまったのだ。
相手ゴールキーパーのキックは、闘莉王か中澤が競り合うのが基本的なやり方だ。その際にはボランチかサイドバックが、中央へスライドしてカバーすることになっている。ベネズエラ戦もその流れでの対応だったが、ゴール前で相手FWをフリーにしてしまった。
強豪国が相手なら失点を喫してもおかしくない場面で、前半早々の時間帯でビハインドを背負うと、ただでさえ難しいゲームがより一層厳しさを増してしまう。
闘莉王なり中澤が跳ね返したセカンドボールを支配できず、中盤を突き破られる場面は、W杯でも想定される。これまでは〈中盤で取りきる〉ことがフォーカスされてきたが、今後は〈最終ラインがポジションを入れ替えたなかでの対応〉も詰めていく必要がある。6日に開幕する東アジア選手権の、ひとつのポイントである。
・戸塚啓コラム - サッカー日本代表を徹底解剖
1968年生まれ。'91年から'98年まで『サッカーダイジェスト』編集部に所属。'98年秋よりフリーに。2000年3月より、日本代表の国際Aマッチを連続して取材している