(写真)代表質問をする志位和夫委員長=2日、衆院本会議

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 日本共産党の志位和夫委員長は2日の衆院代表質問で、国政の焦点の課題をめぐり、鳩山首相の姿勢をただすとともに抜本的転換の方向をずばり指し示しました。そこにあったのは、国民の切実な願いを代弁する真の政治の姿と、それに背を向ける政府との明確なコントラストでした。

雇用・中小企業

大企業に社会的責任

巨額な内部留保を国民に還元

 志位氏は経済危機から国民の暮らしを守るために、旧来の政治からの三つの転換を提案し、鳩山政権の姿勢を問いました。

 第一は大企業に、暮らしと経済に対する社会的責任を果たさせる政治への転換です。

 志位氏はまず、勤労者の所得が1997年の280兆円から2009年の253兆円まで27兆円も落ち込む一方で、企業の内部留保は約200兆円から400兆円に急増しており、その半分近くが大企業のため込み金だと指摘。「大企業がため込んだ巨額の内部留保こそ、国民に還元すべき最大の『埋蔵金』」だと力説して、雇用と中小企業に還元させる政策への転換が必要だと迫りました。

 そのための具体策として、雇用では“非正規社員から正規社員への雇用転換”を雇用政策の中心にすえよと迫った志位氏。その焦点の一つである、労働者派遣法改正について、製造業派遣を全面禁止し、登録型派遣の禁止の例外とされている「専門業務」も抜本的見直しをするなど、「労働者保護法として真に実効あるものとし、その実施は先送りでなく、すみやかにおこなうべきだ」と迫りました。

 しかし鳩山首相は「抜け穴」が指摘されている労働政策審議会答申にもとづいて法案を提出すると表明しました。

 中小企業について志位氏は、親会社が不当に単価を切り下げる買いたたきについて当局が名指しで指導した勧告がこの5年間でわずか1件にしかすぎないことを告発。「下請け関連法を厳正に適用して無法を一掃するための実効ある措置をとるとともに、大企業と下請け企業との公正な取引のルールをつくるべきだ」と主張、10年前に改悪された中小企業基本法を改正するよう求めました。

 鳩山首相は99年に改悪された中小企業基本法について「多様で活力ある成長発展を基本理念としたものだ」と美化し、改正についてはふれませんでした。

 さらに志位氏は仕事がなく、倒産・廃業のふちに追いつめられている町工場の苦境にふれ、「工場の家賃、機械のリース代、水光熱費など、固定費補助に踏み切ることがどうしても必要だ」と迫りましたが、鳩山首相は「適当ではない」と冷たく拒否しました。

社会保障

前政権の傷跡を治せ

後期医療廃止と窓口負担軽減

 第二の転換は自公政権の社会保障削減路線がつくり出した数々の「傷跡」をすみやかに是正することです。

 志位氏は鳩山政権が総選挙での約束を破り、後期高齢者医療制度の廃止を4年先送りしていること、さらに、保険料の負担軽減策も実行していないことについて「国民の願いを裏切る“二重の後退”だ」と追及。障害者自立支援法によって押し付けられた「応益負担」。志位氏は鳩山政権がこれをなくすと約束してきたのに、必要な予算の3分の1しか計上しなかったため、中途半端に残していると批判しました。

 さらに志位氏は、日本医療政策機構の調査で、年収300万円未満の世帯で、具合が悪くても医療機関にかからなかった人が4割に達するなど深刻な受診抑制が起きているとして、窓口負担の軽減を強く求めました。

 鳩山首相は窓口負担について高額療養費制度などがあると述べて、負担は「やむをえない」などと述べました。

財源

二つの聖域にメス

金持ち優遇と米軍再編費用

 第三の転換は、旧来の政治が「聖域」としてきた軍事費と大企業・大資産家優遇という二つの分野にメスを入れ、庶民増税への不安を解消することです。

 志位氏は、米軍がグアムに建設する基地費用の負担が来年度予算案で前年度比4割増となっていることについて、「自ら反対してきたグアムへの費用負担を大幅に増額するとはどういうことか」と批判しました。

 鳩山首相は「海兵隊のグアム移転を遅滞なく進めなくてはならない」などと開き直りました。

 また志位氏は、株取引への課税は日本では10%で、アメリカやイギリスにくらべて、異常に低い水準だと強調。「額に汗して働く国民の税金よりも、ぬれ手で粟(あわ)の株取引で大もうけをしている大資産家の税金が低いというのはあまりにも異常だ」と厳しく批判しました。

沖縄米軍基地

米兵・事故におびえる生活、これ以上県民に押しつけるな

海兵隊はどこにもいらない

 軍事・外交問題で志位氏は、1月24日の沖縄県名護市長選で、米軍普天間基地の「移設」先とされた辺野古新基地の建設に反対する稲嶺進候補が勝利したことについて、「『基地のない沖縄』を願う沖縄県民の歴史的勝利である」と力説しました。

 にもかかわらず、平野博文官房長官が「(結果を)斟酌(しんしゃく)しない」とのべ、鳩山首相も、移設先を「ゼロベース」で考えるとのべています。

 志位氏が、「市民の審判を無視、否定するこうした態度は、断じて許されない」と迫ったのに対し、鳩山首相は、「稲嶺市長誕生は民意のあらわれ」とのべる一方、「地元とアメリカの理解、国の責任というもとで、5月までに移設先を決定する」との従来の見解を繰り返しました。

 志位氏は、鳩山首相が05年7月の衆院本会議で、「普天間基地については代替施設なき返還をアメリカに求めるべきだ」と小泉首相(当時)に要求していた事実を指摘。

 1月22日の衆院予算委員会で、日本共産党の赤嶺政賢議員が、「政権についた今こそ、その主張を実行に移すべきだ」とただしたのに対し、鳩山首相は、「米国との交渉を鑑(かんが)みたときに、それは現実的に不可能だ」と答弁しています。

 そこで志位氏は、「『現実的に不可能』という根拠はいったい何なのか」と追及しましたが、鳩山首相は、「代替施設なき返還は現実的に不可能」などと、まともに答えられませんでした。

 「海兵隊は日本の平和を守る抑止力として必要」―昨年12月に行われた志位氏と鳩山首相との党首会談で、首相はこう主張しました。

 志位氏は代表質問で、「海兵隊とは、ベトナム戦争、アフガニスタン・イラク戦争など、米国の先制攻撃の戦争で、真っ先に『殴り込む』部隊であり、実態は、平和のための『抑止力』などではなく、戦争のための『侵略力』ではないか」「いったいどういう危険に対する『抑止』なのか」とただしました。

 首相は、「侵略力という認識はない」と現実を覆い隠す態度を示しました。

 志位氏は、「米兵におびえ、事故におびえ、危険にさらされながら生活を続ける苦しみをこれ以上、沖縄県民に押し付けるのはもうやめるべきだ。海兵隊は沖縄にも、日本にも必要ない」「この立場にたって、普天間基地の無条件撤去を求め米国と本腰の交渉をおこなうべきだ」とのこん身の訴えが議場に響きました。

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