各界の“マンガ読み”が選出する「このマンガがすごい!」ランキング。2010年版オトコ編は1位の「バクマン。」をはじめ、少年誌からの選出が多かった。中でも注目は9位にランクインした、バクマンと同じく週刊少年ジャンプで連載中の「トリコ」であろう。

 誰もが美食と珍味を求める“グルメ時代”の真っ只中、「IGO(国際グルメ機関)」主催のパーティーが開かれようとしている。食材を用意するために直轄ホテルの料理長「小松」は、時代のカリスマ“美食屋”である「トリコ」の力を借りることとなった。

 美食屋とは、未知の味や未見の食材を自ら探し、捕食する者のこと。目の前で「ザリガニフィッシュ」と「五ツ尾オオワシ」を捕らえるトリコの美食屋としての実力に心酔した小松は、目的の食材「ガララワニ」の調達に同行する。

 たどり着いたのは約20万種の生物が存在する亜熱帯の島「バロン諸島」。トリコいわく『猟銃で死ぬ獣はいない』危険な島での、命を賭けた食材調達が始まった。

 これだけを読んでも、作品を未読の人からすればなにがなんだかわからないであろう。私の文章が拙いことも否定できないが、それ以上にこの作品には説明が少ない。特殊な用語の解説をコマ単位で挿入する程度で、読者をグルメ時代に放り込んでいる。

 独特の世界観に対する説明がないことは不親切に思えるかもしれないが、単語を追うわずらわしさがない分物語に入りやすくなっている。右も左もわからない中、ただページをめくることで読者は少しずつ世界を知り、トリコを知るのだ。

 トリコは並外れた巨躯と身のこなしを持ち、食材となりうる生物と戦う。そう、この作品はグルメ漫画ではなく、グルメの要素を取り入れたバトル漫画である。同時に、近年まれに見るほどの少年漫画らしい少年漫画だ。

 少年ジャンプの読者に少年はいないなどと言われるようになって久しいが、明らかにこの作品は少年向け、もっといえば子供向けである。

 七色に味を変える「虹の実」。猛毒を持ち体長50cmほどの「フグ鯨」。巨大マンモス「リーガルマンモス」の最高級部位で宝石のように輝く「宝石の肉(ジュエルミート)」。作中の食材や生物はどれも子供が空想しそうなものばかりであり、中盤からは読者が考案したものも登場している。さらにはトリコをはじめとする“四天王”や、敵対する組織“美食會”、“グルメ細胞”によるパワーアップなど、待ってましたのディテールが満載だ。

 子供向け、という単語に拒否反応を示して敬遠するような人は読まなくて結構。少年漫画だけに許されたわくわく感を堪能したい人にのみおすすめしたい。たとえるならばキン肉マンや聖闘士星矢に胸躍らせたあの頃の感情がよみがえるような作品である。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)

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