NAOKI:目に見えないものを信じられないのは、人間の傲慢さだと思う所もあって。音楽って目に見えないものだけど、歌詞が分からない、どこかの国の音楽でも胸に刺さるじゃない?これって魔法みたいだと思うんだよね。もし本当にこれがただの音符で、ただの音色だったら、これだけの科学があって、それこそプラグインで「泣けるラッパの音色」とかがあって(笑)、一番泣けるメロディーを奏でたら、それが最高峰になっちゃうと思うんだよね。例えばビートルズよりも全然上手い演奏の達人が4人集まってビートルズを演奏しても、やっぱりビートルズの“何か”を越えられないじゃん?音楽って、そういうものだと思うの。「それは何ですか?」と科学的に検証して、「リンゴ・スターがハイハットを叩く角度と、今あなたが真似たハイハットとは、スティックを叩く角度が20度違います」とか、そういう話じゃないじゃん?

映像が無くても耳で聴いているだけでも、人の気持ちだったり想いが入ってくるのは、やっぱり魂というか、言葉にも「言霊」という発想があるように、そういうものがきっとあるんだよね。例えば「嫌い」とか「悪魔」とか意味が分からなくても、聞いたらいい響きじゃない言葉っていっぱいあるじゃない?それってやっぱり、昔の人がただ名前を付けただけじゃなくて、絶対に何かそこからの波動を拾っていると思うのね。英語の「I」って「私」というのと、日本語の「愛」って「LOVE」だったりするじゃない?なんか近いようで遠いようで、リンクするような言葉がたまにあったりすると「すごく素敵だなー」と思ったりする。そういう目に見えない部分を信じてレコーディングしていた部分はすごくあるよね。マイクって音を封じ込めるんじゃなくて、時を封じ込めるんだみたいな。そういう哲学は色々とレコーディングに入るまでにもって臨むよね。

――では最後に、今後に向けて何か考えていることはありますか?

KUMI:2010年はライブをやるけど、それ以外は特に考えてないねー(笑)。

NAOKI:こういうアルバムを作りたいとか、いつ出すとか、そういうのは知らないけど、また「そろそろやる?」という気になる日が来るのを楽しみにしている感じだよね。俺達、呑気だねー(笑)。

KUMI:呑気だよー!マイペースだし(笑)。元々、そういう計画的な所はあんま無いね。

NAOKI:ワクワクしだしたら、もうずっとやっていたいので、なるべく早くそうなるといいね。

――去年はARABAKI ROCK FEST.やWORLD HAPPINESSなどのフェスにも参加されましたが、今年もライブは増やしていきたいですか?

KUMI:うん。ライブはいつももっとやりたいと思っているんだよね。私達の場合、制作にすごく時間が掛かるから(笑)。やっぱり新作が無いと、なかなかライブは出来なくて。

NAOKI:それは、この2年間で痛感したよね(笑)。

KUMI:新曲が無いとね、自分達の今の感じを伝えきれない所もあったりして。もちろん昔の曲を演奏していても楽しいし、エンターテインメントにはなるんだけれども。やっぱりそれじゃあ物足りなくて、自分達でも新曲が欲しいし。それで新曲を作っていると時間が掛かっちゃって、という感じで(笑)。欲求としては、もっとライブをやっていたい。

NAOKI:ちょっと先になっちゃうけど、6月と7月に5本は決まっているので、ひょっとしたらもっと増えるかもしれないという感じで。でも、何らかの形でライブは増やしていきたいと思うし。仕事としてじゃなくて、日常的に音楽をやるということを。

KUMI:その感覚はあるからね。だから「何か生まれるだろう」みたいな感じはあるよね。

NAOKI:ツアー中でも変にピリピリすることなく、東京に戻ってくればスタジオに行って何か曲を作っていたり。それぐらい日常に音楽があるよね。それが今一番幸せなことだし、気が付いたら10年、こんなにアマチュアイズムを持ったまま、楽しく音楽をやっていられるというのはすごく幸せだなと思う。

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