渋谷で結成5周年記念ライブを敢行したPCゲーム業界の雄″イノグレ″とは!?

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 昨年末もアニメ、ゲームの音楽イベントは目白押し。暮れも押し詰まった12月30日にはテレビアニメ『けいおん!』の横浜アリーナ公演、31日はNHK『紅白歌合戦』への水樹奈々出演とBS11『アニソン紅白』放映で締めくくられた。

 そんな喧騒の少し前、クリスマスの夜にInnocent GreyなるPCゲームブランド(メーカー)が結成5周年記念公演を開催、Shibuya-O-EASTを満杯にしたことはあまり知られていない。日本人が公私共に忙しい12月25日にそれだけの動員力を誇るInnocent Greyとは、いったいどんなブランドなのだろうか。

「"イノグレ"は18禁PCゲーム、つまりエロゲーの新興ブランドです。しかしグラフィック、サウンド、シナリオ個々のクオリティがきわめて高く、あっという間にトップブランドへと頭角をあらわしました。それだけでなく、声優オーディションを公開する、限定版商法に頼らずショップ特典を付けない、過剰なパッケージを排して一般的なDVDソフトに近いサイズの装幀にするなど、"エロゲーらしからぬ"業界の常識をくつがえす施策で骨のあるところを示し、注目を浴びてもいます」(元PCゲーム誌編集者)

 パッと見、絵のウマさからキャラ人気なのかと思いきや、08年のヒット作『殻ノ少女』が美少女ゲームアワード(09年度より萌えゲーアワード)で金賞を受賞したのは「BGM部門」と「プロモーション部門」。モノ作りに対する着実な姿勢と質の高さが評価されているようなのだ。

「90年代後半からエロゲーの物語メディア化が著しく、そのムーブメントからTYPE-MOONやNitro+など一般作品を世に送り出す人気ブランドが現われました。Innocent Greyもそうした系譜に連なるブランドのひとつでしょうね」(アニメライター)

 「萌えを捨てている」(!)と公言するInnocent Greyは、昭和の古い時代を舞台にした猟奇的な世界観とシナリオ、時に極度の残虐描写も辞さない精緻なCGでブランドカラーを確立。業界関係者によれば女性ファンも多く、「知る人ぞ知る」存在なのだという。

 いちエロゲーメーカーのイベントにもかかわらず、渋谷のこじゃれたハコがソールド・アウトになる理由は、確かにあるようだ。

 ライブイベントのセットリストは、現代音楽、あるいは環境音楽風サウンドトラックを指向したBGMと、各作品のジャージーなボーカル曲とで構成されていた。また、若手女性声優3人に「しぇおるがーるず」(※シェオルとはヘブライ語で黄泉の意)なるユニットを組ませてオリジナルのガールズPOPを歌わせるなど、音楽性とサービスを同時に満たす内容。ゲーム系イベントでは定番の朗読劇やトークコーナーもあり、聴衆からは熱いダイレクトな反応が返ってきていた。

「今回のライブはInnocent Grey結成5周年記念ということでかなり思い切った試みでした。準備に多くの時間と人手を借りてここまで来ましたので、またやってほしいと言うお客様からの声が本当に嬉しかったです。しかしInnocent Greyはあくまでゲームメーカーです。ライブは是非またやりたいと思っていますが、今後もまずゲーム作りが最優先という姿勢を貫いていきたいと思います。」(Innocent Grey広報)

 ゲーム、ライトノベル、マンガ、アニメ、ときに実写と、オタク文化に様々な表現形態が溢れ返る現在、エロゲー方面からの硬派なアプローチにより、世間が無視できない存在となりつつあるInnocent Grey。いまのうちに唾を付けておいたほうがいいのかもしれない。
(取材・文=後藤勝)



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