東京の中心、皇居周辺にシャワー、ロッカーなどを備えた「ランニング拠点」が2009年から続々オープンしている。皇居の外周は1周約5キロとアマチュアランナーに程よい距離で、信号機付き交差点などの障害がなく、以前からジョギング愛好者の支持はナンバー1。最近は、着替えやロッカー施設も増え、そのせいもあって、仕事帰りの女性など「アフター5」のジョギング族がうなぎ上りで増えている。

   JR有楽町駅から徒歩3分ほどの繁華街にあるアートスポーツ日比谷店。店舗内にある「ランニングオアシス」には午後6時を過ぎたころから会社帰りの男女が続々と集まってくる。

以前は神田周辺の銭湯に荷物を置いて走りに

   「皇居を走る人は、以前は神田周辺の銭湯に荷物を置いて走りに出る人が多かったが、銀座・日比谷周辺にもそうした施設があったら使いたいという声が多かった」と同店のスタッフ。オープンは2007年11月で、鍵付きロッカーやシャワーのほか、ストレッチのスペースなどがある。同店で買い物をするともらえるポイントカードがあれば、1回500円、1カ月5000円で施設が使い放題という手軽さが受けて、1日平均100人前後の利用者があるという。

   ここを頻繁に利用するという女性会社員は「閉店は午後10時と比較的早いが、繁華街にも近く、汗を流した後の一杯を楽しめるのも魅力です」と話す。

   女性限定で「隠れ家的で、高級感あるランナーのためのサロン」をうたい文句にするのは、東京・青山1丁目のマンションに09年12月オープンした「青山ランニングバー708」。代表の今矢賢一さん(33)はアスリートの支援事業に取り組む「ブルータッグ」の社長も兼ねており、「2月からは沖縄マラソンなどへのツアー参加を目指して会員を集める新たな制度もスタートさせたい」と語る。同店も大手スポーツ用品メーカー、ミズノとも協賛し、ロッカー・シャワーなどの利用のほか、自分に合ったシューズの測定などのアドバイスも受けられる。サービス一式で月数万円程度の会費になる見込みだという。

警備が整っている点で若い女性に支持

   ミズノの調査によると、皇居や神宮外苑、東宮御所といった都心のランニングスポット周辺には、同様の施設を備えた「ランニング拠点」は少なくても6〜7カ所あり、09年は開設ラッシュだったという。「以前はフィットネスクラブを利用していた人が節約志向から、より低価格な施設に流れている面もあるかもしれないが、景色の変わらないランニングマシンより、皇居周辺は緑が多く、警備が整っているというのも若い女性に支持されている要因では」(同社広報宣伝部)という。

   神田にある銭湯「稲荷湯」(入浴料430円)のロッカーがジョギング族の利用で絶えず一杯なのは有名だが、30人程度で一杯になってしまい、「こうした施設の需要はまだまだある」というのがミズノなど業界関係者の見方。同社は年内にも大阪にも同様の「ランニング拠点」を開設する予定といい、「ランニングビジネス」はまだまだ繁盛しそうだ。

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