黒字転換へ期待も苦悩するトヨタ プリウス人気が抱える矛盾

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「2011年3月期に黒字転換」へ向け成果を出しつつあるトヨタ。商品の中心はもちろん「プリウス」だが、売れ過ぎたことにより新たな問題も浮上してきた。

 トヨタ自動車に復活の兆しが見えてきた。
 国内市場では、同社のハイブリッド車「プリウス」が2009年の年間国内販売台数を約20万8900台と伸ばし、普通車などの登録車と軽自動車を合わせた車名別で首位に立った。エコカー減税やエコカー補助金の追い風があったものの、軽自動車を合わせてもトップを奪いその実力を見せつけたかたちだ。

 また海外では、中国市場で09年の新車販売台数は前年比21.2%増の70万9000台と好調。米国市場では前年比2割減の177万台だったものの、レンタカーなど法人向けを除く「個人向け」の販売台数では、約160万台となり初めて米国でシェア首位になったと報道されている。

 同社の10年3月期決算は、円高進行の影響もあって連結営業損失が3500億円に上り、2期連続の赤字となる見込みだが、11年3月期の黒字転換という目標へ手応えを感じつつある。

 ただその一方で心配されるのがプリウスに過度に依存している点だ。新型プリウスはホンダが昨年2月に発売したハイブリッド車「インサイト」(最低価格189万円)に価格面でも対抗するために当初予定していた最低価格を大幅に下げ、旧型モデルから30万円も安い205万円に価格を抑えたこともあって利益が薄い。加えて「高級車が目的で販売店を訪れたユーザーも、エコカー減税などの影響で最終的にはお買い得のプリウスに流れてしまう」(千葉県内のトヨタ販売店)という状態が続いており、利益幅が大きい高級車「クラウン」やレクサスの客を儲けの出ないプリウスが奪ってしまっている。

 プリウスが爆発的に売れている一方で、「プリウスは売れているけど、プリウスしか売れていない」(同)という同社にとっては素直に喜べない事態が起こっているのだ。環境車を普及させ、市場のシェアを奪うのは重要だが、ハイブリッドでどうやって稼ぐかが、新たな課題となっている。

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MONEYzine編集部[著]

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