堀江貴文さん

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--最初にライブドアと業務提携をしたきかっけは何だったんですか?

堀江貴文さん(以下堀江) オン・ザ・エッヂ時代にサイバーエージェントと無料HPの「HOOPS!」(フープス)っていうのをやっていたんですね。ダンコガイ(小飼弾)がシステムを作ったんです。ダンさんはもともとパールの日本語化モジュールですごく有名になった人で、今は書評家として有名みたいですけどね。結構変わった人で、大規模システムの構築にはあんまり向いてなかったかな、という気がしますね。結局資本金1000万円で1社作って。そこの社長は村上直さんという人でした。直さんは、サイバーエージェントにいたんですけど、弟が村上知(とも)くんと言って、オン・ザ・エッヂの社員だったんですよ。今は兄弟でiモードのコンテンツとか無料メールコンテンツとを提供する「Blau」って会社をやってて売上10億円くらいですね。知君はプログラマとして結構優秀で、「melma!」っていうメルマガの配信システムの二代目を作ったんですよ。一代目は僕が作ってその改良版を彼が作ったんです。でもフープスは楽天に売ったんです。
 当時、無料オンラインサービスを楽天が買収しまくっていた。インフォシークを買収して、フリーウェブも買収して、「HOOPS!」も買収して、もう1社くらい無料HPサービスの会社を買収したんじゃないかな。それで、ページビューを稼いでいたんですよね。フリーウェブは会員が40万人くらいいたかな。
 このフリーウェブっていう会社は結構面白くて、実はうちらも買収するために社長に会いに行ったことがあったんですよ。GMOさんとサイバーエージェントと一緒に買収しに行ったんです。でも断られた。楽天のほうが高く買ってくれたからなんですが、でもその後、その社長は平成電電という会社を作って……詐欺で捕まった(笑)。
 話を戻しますと、「HOOPS!」がライブドアと業務提携していたんですね。ライブドアはユーザーが多いので、OEMみたいな感じで、「HOOPS!」のライブドア版「ライブドアフープス」を出して、広告のレベニューシェアをしていたのが最初の提携ですよね。
 ライブドアが出来たばっかりの頃だから、1999年だと思います。最終的には楽天にいくらかでも売れたんで、儲かったといえば儲かったんですけどね。

--その後ライブドアが民事再生を申請したのが、2002年ですよね。

堀江 ライブドアは60億ぐらい資本があったんですけど、さらに買掛金とかも全部踏み倒して、12億ぐらいの負債を負って民事再生を申請したんですね。そのときに10数社くらい手をあげて、プレパッケージ型の民事再生で1億2千万くらいでビッドして買収しました。
 実はプレパッケージのスキームの中に、ライブドアのフリーISP事業を移管したフリービットという会社があって、フリービットの社長の石田君と握って買収したんですけどね。元々、フリービットから持ち込まれた案件だったんです。
 フリービットって会社は中小のISPのバックエンドをやってた会社で、サポートとか回線の管理とかが主な事業でした。元々石田君はDTI(ドリーム・トレイン・インターネット)ってプロバイダを立ち上げた人で、その後フリービットを立ち上げて、DTIは自分たちで買収しちゃったんです。DTIはクオリティも高いって有名だったんですよ。それを立ち上げた彼がフリービットでISP事業をやるから、これくらいの儲けが出ますよ、というのを試算して、月々5、6百万ぐらい利益が出るって構造にして買収したんですよ。2年で元がとれるから。

--買収した後、社名も変えますよね。その判断はどういうきっかけで?

堀江 買収したときは全然考えてなかったですね。そのころはユーザーのベースがあったのと、利益が出る事業だから2年ぐらいで償却できるかな、と思って買ったんで。その1年後くらいですかね。2003年の暮れくらいに、ふと思いついてというのもあるし、会社として法人向けの営業だけだと収益基盤が景気に左右されやすいからコンシューマ向けの事業をやらなきゃいけない。ユーザーベースで見たときに、僕が持っている事業の中でライブドアが一番規模が大きかったんで、それを核にしてやっていくためには、社名を変更したほうがインパクトもある、っていう考えでした。
 周りの反応は、「ああ、また堀江がなんか言ってるぞ」くらいの感じでしたね。よく、「倒産した会社の名前をなんでつけたんですか?」って聞かれるんですが、一般人は無料プロバイダのライブドアが倒産したなんて知らないんじゃないですか? 例えば最近つぶれた会社って何か思い出します?

--内外タイムス?

堀江 ライブドアはニュース配信していますからね。内外タイムスは名前を変えて「リアルスポーツ」って名前になっていて、紙面もライブドアの配信もそれで統一されています。だから、内外タイムスが潰れたってメディアの人間も知らないんですよ。商売上の付き合いがあったりすると、よくわかるんだけど、うちのマネージャーだって知らなかったんだもん。「内外タイムス潰れたんだけど、この間の取材されたギャラってちゃんともらった?」って聞いたら、知らなかった。
 例えば、青山ブックセンターって2回潰れてるんですよ。さすがに出版業界の人は知ってるだろうけど、一般の人は青山ブックセンターが潰れたイメージってあんまりないと思いますよ。普通に営業しているじゃないですか。
エアラインでもユナイテッドエアラインズが民事再生を申請して潰れたんですよ。でも飛行機が飛んでるから分からない。一般の人の感覚ってそんなものだと思いますよ。