年齢階層別の乗用車普及率をグラフ化してみる
先に【年齢階層別のテレビ普及率をグラフ化してみる】で改めて【内閣府・消費動向調査】の内容からグラフを作成した時に、気になるデータが目に留まった。具体的には昨今の若年層における「乗用車離れ」を確認できそうな、「乗用車普及率」がそのままズバリ掲載されていた。今回はそれを抽出し、世帯主の年齢階層別に、世帯の乗用車普及率をグラフ化してみることにした。元データは内閣府の消費動向調査。年齢階層別の調査が行われているのは2004年4月以降、テレビ普及率回りの調査は年1度・3月だから2005年3月分から5年分が用意されている。そこでそれらのデータを元に、世帯主年齢階層別・乗用車普及率(総世帯)をグラフ化したのが次の図。ちなみに「総世帯」とは「一般世帯(複数人数)」と「単身世帯」を合わせたもの。また、世帯単位での「普及率」なので、1世帯に複数台乗用車を保有していも「ある」「ない」でしかカウントされないのでそのあたりはご注意を(1世帯に2台乗用車を保有しても普及率が200%になるわけではない)。

↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(総世帯)
テレビの時と違い、縦軸の最小値がゼロになっていることに注意して見直すと、やはり若年層が世帯主の普及率が低いのが分かる。30歳未満では大体5世帯に3世帯のみの保有。それに対して30〜59歳の世帯では5世帯のうち4世帯以上となる。
これを新車で買ったのか、中古車で買ったのかで見ると、面白い傾向が見て取れる。

↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(総世帯)(新車購入)

↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(総世帯)(中古車購入)
まず最初に気が付くのは、若年層の新車購入率の低さ。2007年に一度逆転現象が起きているが、それ以外は「中古車購入>>新車購入」となっている。新車へのこだわりがあまり無いのか、それともふところ事情によるものと思われる。さらに若年層では中古車の購入・利用状況が少しずつ増加しているようだ。これも新車と比べた価格の安さがポイントなのだろう。ただし、最近の騒ぎにあるように、この1、2年で急激に「若年層の乗用車離れ云々」が起きているわけではないことも分かる(2005年〜2008年にかけての6.7ポイントの減少を「乗用車離れ」と呼ぶのならその通りだが、2009年に59.1%に持ち直している以上、断定は難しい)。
中古車利用率は
むしろ増加中
また、全体のグラフを見てもらえばお分かりの通り、若年層では「新車」と「中古車」を足したものがほぼ「乗用車普及率」に近い値なのに対し、中堅・高齢層になると「乗用車普及率」<<「新車」+「中古車」の傾向がある。これは「中古車も新車も数台持っていても、全体の普及率としてはある・なしでしかカウントしない」ことに起因する。言い換えれば「若年層が世帯主の世帯は乗用車を1台しか持っていない場合が多いが、中堅・高齢層だと複数台持っている世帯が多い」ことを意味する。二世代家族や、まだ親離れしていなくとも乗用車を持つ子供がいることを考えれば、当然の結果といえよう。
●自分自身が運転することになる、単身世帯では?
元データては年齢階層区分は「29歳以下」「30〜59歳」「60歳以上」でしかないが、単身世帯(一人暮らし)に限ればもう少し細かい区分のものが用意されている。そこで「全体を示す値」としては(全体的な傾向を見る上では)精度が低く、参考値程度に見てほしいが、単身世帯における上記と同様のグラフを生成しておく。特に乗用車の場合、単身世帯の保有は「世帯主が運転する」ことが前提となるため、興味深い結果が出ている。

↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(単身世帯)

↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(単身世帯)(新車購入)

↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(単身世帯)(中古車購入)
自分自身が運転するとなると、色々と無理を感じてか70歳以上の普及率がきわめて低いものとなっている。一方で60代の普及率は年々増加する傾向を見せており、ドライバーの高齢化(単身世帯における)を裏付けるものといえる。29歳以下の若年層は2006年以降大きな変化は無く、単身世帯においても「若年層の急激な乗用車離れ」を意味するものにはならない。
新車・中古車別に見ると、多少のぶれがあるものの、一様に新車購入・利用が増加しているようすが分かる。中古車は横ばいか、やや減少といった具合。付き合わせて見ると、60歳単身世帯の乗用車利用においては、新車を購入した人が増加したことによるものと理解できる。
2007年夏のいわゆる「サブプライムローンショック」以降の景気後退・不景気において、国内で自動車が売れなくなったことに関し、「若年層が乗用車を買わなくなったからだ」との意見が声高に上がったことを記憶している人は多いだろう。まるで「自動車が売れないのは若者が車を買わないからだ。だから日本の景気も悪くなったんだ」と、景気が悪いのは若者が悪いといわんばかりの主張・報道に、疑問符を頭に浮かべた人、憤りを感じた人もいたことと思われる。
確かに今回の普及率データを見ると、多少は若年層の乗用車購買意欲が低下しているようにも見える。しかし同時に「中古車購入による普及率」はむしろ増加しているところを確認するに、「厳しいふところ事情」や「高いお金を出して新車を買うほど、乗用車に価値を見いだせなくなった」若年層の姿が見え隠れしている。
「モノが売れないのは客のせいだ」と責任を転嫁するのも一つの方策ではある。が、それで問題解決が出来るのなら苦労はしない。「なぜ乗用車が売れないのか」ではなく「なぜ乗用車が買われないのか・(お客は)買わないのか」を真剣に考えるべきではないだろうか。
■関連記事:
【自家用乗用車の世帯当たり普及台数をグラフ化してみる】
【テレビやパソコンなどの普及率をグラフ化してみる(下)……乗用車やエアコン、デジカメなど】
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