長髪を振り乱して戦うUFCの名勝負男=クレイ・グイダ。敗れてなお印象に残るファイター、それ以上の評価を得るためにケニー・フロリアン戦の勝利は絶対だ

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12日(土・現地時間)に行なわれるUFC107「PENN vs SANCHEAZ」。メインにBJ・ペン×ディエゴ・サンチェスのUFC世界ライト級選手権試合が用意されているが、PPVラインナップにはケニー・フロリアン×クレイ・グイダという注目のライト級戦が組まれている。

ケン・フロ×グイダ、それぞれが今大会のメインに登場するBJ・ペンとディエゴ・サンチェスの最新の試合で敗れ、復活を期す者同士の一戦となる。1976年生まれ、33歳のケン・フロはTUFシーズン1の準優勝後、3戦後にはいち早くライト級に転向を果たし、これまで2度王座に挑戦。どちらとも、惜しくも世界の座を逸している。

06年10月に二度目のライト級戦が、ショーン・シャークとの王座決定戦で、UFC史上に残る流血戦で判定負けを喫した。その後、今年の8月に実現した2度目の王座挑戦=BJとの試合まで、ケン・フロは6連勝(判定勝ちは1試合のみ)を飾っている。

ジョー・ローゾン、ロジャー・フエルタ、ジョー・スティーブンソンという対戦相手を圧倒し、最初の世界王座挑戦時よりもずっと高い評価を受けるようになっていたケン・フロ。ジョー・ローガン不在時のTV中継では、あのランディ・クートゥアーを押しのけ、解説者+インタビュアーに抜擢され、多くのファンの支持を集めていた。

一見、じっくりと時間を掛けて対戦相手を丸裸にするイメージが強いケン・フロの試合スタイルだが、流れを掴んで畳みかける勝負強さはラウンド数に関係ない。勝機とみれば、一気に試合を決めてしまう強さを持っている。

そんなケン・フロの対戦相手グイダは、UFCのミスター・ベストバウト。UFC戦績は9戦5勝4敗だが、ファイト・オブ・ナイトに輝くこと3度、それら3試合以外でもTUFシーズン6フィナーレのフエルタ戦は、ファン&関係者の年間ベストバウトに挙げられる好ファイトだった。

負けて健闘を称えられるグイダが、今年の1月のネイト・ディアズ戦でようやく勝利とともにベストバウト賞を獲得。しかし、結果が伴うようになったのも束の間、8月のディエゴ戦では、またも敗者として同アワードを与えられることとなった。

かつてMMA界のミスターパーフェクトことジョシュ・トムソンを下し、ストライクフォース世界ライト級王者に君臨したこともあるグイダ。MMA最先端をいくケン・フロに対し、名勝負男の勝機は、いかにセオリーにない乱戦に持ち込み、動きを落とすことなく3R=15分を戦い切るか。

これまで自分のペースで戦ってきた試合も、終盤にスタミナ切れを起こし逆転負けを喫することが多かったグイダだが、一番最近の敗戦=ディエゴ戦は、その逆パターン。初回にハイキックでKO負け寸前に追い込まれながら、執拗にテイクダウンを奪い、最終ラウンドも動きが落ちることなく、スプリットデシジョンに持ち込むまで、試合を立て直している。

乱打戦で遅れをとって、なお3R戦い抜いた前回の試合は、敗れたとはいえ、グイダは心肺能力が向上していることを示してみせた。対するケン・フロもまた、BJに敗れた試合が、グイダ戦を戦う上で重要な教本となっている。

1R序盤の打撃の攻防で、右ストレートを受け、そのままケン・フロは失速。自らのペースに持ち込むことなく、劣勢のまま試合終了を迎えることとなった。出鼻を挫かれること――、それはMMAという戦いでは十分に起こり得る事態だが、3年以上無敗、ピンチらしいピンチもなく6連勝を達成したケン・フロは、一度狂った歯車を元に戻す術を忘れてしまっていた。

グイダというセオリーを無視した、そしてテイクダウンを中心とした正当なスキルと防御能力を持つファイターとの対戦。先手を打たれることを想定するだけでなく、BJ戦の敗北を糧に、劣勢から盛り返す術も十分に磨いてきているはず。