「全品均一価格居酒屋」が繁盛する中、頑なに発泡酒の「樽」を出荷せず、踏ん張っているビールメーカーがある。アサヒビールである。

日経MJ2009年11月16日15面・コラム「ふーど記」に”発泡酒「樽」7年ぶり復権”という記事が掲載された。今年1〜10月の「樽(たる)・タンク」の販売が増えているという。その理由は低価格均一居酒屋であり、同価格でたっぷり提供できるため、ビールより発泡酒が選ばれた結果だという。

 ビールから発泡酒へ。その動きにビール大手4社の中で唯一抗アサヒビールだ。同社は発泡酒も第3のビールも「樽」で展開していない。取引先の料飲店からのプレッシャーは想像に難くない。それでもアサヒビールが踏ん張るのはそれは主力商品「スーパードライ」を擁する同社の矜持の現れでもある。

 「スーパードライ」の歴史をひもといてみよう。
 アサヒビールは1980年代半ば、ビール市場シェアで10%を割り込む存亡の危機を迎えていた。反転攻勢は1987年の「スーパードライ」の上市ではじまった。「ビールはキレです」と従来にない価値観を訴求しわずか1年、1988年に一気にビール市場のトップシェアを奪取。同88年から89年にかけて各社が追随し、「サッポロドライ」、「サントリードライ」、「キリンモルトドライ」を上市して激しさを極めたいわゆる「ドライ戦争」も制して、揺るぎないビール市場のリーダーの地位を確立したのである。

 スーパードライに注力し、ビール市場を牙城とする。「アサヒはドライ一本、ビールのみで勝負する」と宣言したアサヒであるが、デフレ不況の中、消費者が安価な発泡酒支持を強める動きを無視することはできなかった。2001年、「本生」でついに発泡酒市場に参入した。

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