――3年前の自分と今とで、自分の歌に対して変化を感じますか?

YUKA:ライブでもうずいぶん歌っているので、あの時の様なつたない歌い方は、もしかしたらもう出来ないかもしれないです。でも、“アンビバレンス”という言葉は、今でも変わることなく自分のテーマみたいな。相反する気持ちを抱いてしまう人間臭さみたいなものは変わらずに持っていますね。

――サウンド面では如何ですか?

柾 昊佑(以降、柾): YUKAちゃんの最初の歌詞が、もう今とほぼ近い状態で、アレンジ自体はそんなに変わっていないんです。ただ、デモで録っていたものと比べると、最終的に仕上がったのは弦も生で入って、テンション感というか抑揚をもっと付けられて、確実にもっとエレガントになったというか。元は敢えてすごく無機質なシンセのストリングスの音だったんですけど、大分そこから人間的な部分とか、単純に美しさがすごく増したかなという感じですね。最初の素朴な状態から、ちゃんとこうやってCDにして、みんなに聴いてもらえるような、沢山の人に広がっていけるような音に変えられたかなと思っています。

――ライブを重ねていく中で変わっていった部分はありますか?

:そうですね。最初はリズムももっと無機質で、アコースティックでパーカッションと一緒にやっている内に、「もっと伝わる方法があるな」って生ドラムを足したり。基本的には打ち込みの音がメインではあるんですけど、質感とかも含めて生っぽさも足した感じです。

――歌詞や音以外に、3年前の自分達自身と比べて変わったと感じるようなことは?

YUKA:この曲に関しては、本当に音をデモに近づけることに一番苦戦したというか。1度音を録ってみて、ある程度完成形までもっていったんですけど、11月25日にリリースすると決まった時に「納得いくまでやらなくちゃ」というのがすごくあって。もしかしたら3年前にこの音を録っていたら、今ではこだわり切れなかった所がそのまま出ていたかもしれないし、3年経っているから、やり尽くせたという、その違いは大きいと思っていて。よくデモを作っていて、余分なものを足していってゴテゴテになって、訳が分からなくなってしまうことがあるんですけど、余分なものをそぎ落として、また新しいものを少し加えていくみたいなやり方だったので、出来上がった時にすごく納得ができました。

:3年間で曲もいっぱい作ってきたし、アレンジとかも含めて技術的にも上がってきただろうし。ライブをたくさんやって、歌い方とかも含めて「もっと聴いている人に伝えられるように」ということは出来てきていると思うんです。ただ、この曲に関しては難しくて。最初の、つたない歌い方の良さというのもあって。どんどん歌も上手くなるし、歌い慣れてくるし、成長はしているんですけど、それがCDになった時に必ずしも良くないというか。ニュアンスって、最初に歌詞を書いて、その歌詞を見ながらファーストテイクで録った時のデモの音と比べると大分変わってきていて。もちろんいい部分もあるんですけど、最初の良さというのも残っていて、そのバランスというか。だから本当に1回目に歌った時の真似をして歌うようなこともやったし。そういう意味では成長はしてるけど、それだけではないという。音楽を作るのは難しいですね。

――3年前の自分達自身と今も戦っている感じですね。

YUKA:そうですね。

:もちろん声は変わっているし、純粋にライブのことだけを考えれば、すごく良くなっているはずなんですけど、なかなか難しいですよね。