CLバルサ対インテル戦。試合開始前のメンバー紹介。インテルの選手の一人一人に大ブーイングが響く中、エトーの名前がカンプ・ノウに響き渡った瞬間にそれは起こった。バルササポーターがオベーションで彼を迎えたのだ。元バルサの選手とはいえ敵チームのメンバー紹介で拍手を送ることは皆無に近い。負けられない大事な一戦で相手のエースは拍手で迎えられた。

 インテルのメンバー紹介の後は、ホームのバルサの紹介。怪我で出場が危ぶまれていたメッシとイブラヒモビッチはスタメンに名を連ねることができなかった。アンリをトップにサイドはペドロとイニエスタ。グアルディオラ監督の悩んだ末の決断だった。試合が開始されるとボールをまず保持したのはバルサ。これは予想できたが、インテルがおかしい。

 チャビ、イニエスタといったパスの供給役にがっちりマークを付け、カウンター狙いでゴールを効果的に奪うという戦い方をするかにみえたインテルだった。しかし、中盤のマークが甘い。中央で三角形を崩さないバルサは、スペースを作るとそこに人が入るといったスムーズな動きでインテル陣内に侵入。インテルはただそれを見守るだけといった様子。ピケの先制点が前半10分に入ると、中盤に引いてパス回しに参加したイニエスタを中心に試合を完全に支配。追加点は、チャビ、アウベスと繋ぎ、最後は裏を突いて走り込んだペドロが決める最高の崩しからだった。

 エトーとミリートを擁すインテルだが、攻撃の形さえ作り出せない。反撃に出る糸口さえ生みだすことができず、後半は4トップぎみでなんとかバルサ陣内に攻め込もうとするもミスを連発し、結局バルサが前半の2点を守り切り勝利。ベンチに居たイブラヒモビッチとメッシを温存する形で貴重な勝ち点3をもぎ取った。

 試合後、カンプ・ノウの観客に拍手で迎えられたエトーは、「感謝している。反対のロッカールームに行くなんて変な感じだったけど、決勝戦の地サンティアゴ・ベルナベウでバルサと対戦できたらいいね。ホームの試合で勝って必ず決勝トーナメントにインテルも進出するよ」とバルササポーターに言葉を残し、古巣のスタジアムを後にした。

(スペイン通信)