「油絵」的な仕事をベースとし、ある部分、「塗り絵」的な仕事が混じってくる。そして時に「切り絵」的仕事に挑戦する―――それがキャリアを健全にひらくサラリーパーソンの姿。

◆マティス絵画の昇華点「Jazz」シリーズ
20世紀を代表するフランスの画家アンリ・マティス。
マティス最晩年の傑作とされるのが切り絵シリーズ「Jazz」です。
マティスは高齢になるにつれ手先や視力が弱くなり、油絵の筆が持てなくなってきました。
とはいえ湧き上がる創作への情熱を抑えきれるわけもありません。

そこで彼は、色紙とハサミを持ち、「切り絵」に没頭します。
切り絵はいったん紙にハサミを入れたが最後、やり直しはききません。
その一度きりの即興性が音楽でいう「Jazz」と共通 しているところから、
マティスはみずからの切り絵作品群を「Jazz」と命名したわけです。

読者のみなさんも一度、その作品をご覧になってください。
(ネット検索にかければ代表的な作品が画面上でいくつも見られると思います)
その色使いと構図、簡略化されたフォルム。
そこにはこれぞマティスといわんばかりの独創性が踊っています。

一見誰にでもハサミで切り取れそうな紙の断片ですが、
それを即興の芸術として成り立たせている完成度の高さは、
やはり彼のそれまでの何十年にも及ぶ創作活動から体得した技と感覚ではないでしょうか。

◆即興の中にこそ宿る真の実力
即興という芸術形態は、
常に不測の状況との対面、そして瞬時のレスポンス(反応)から生み出されます。
やり直しは不可です。

切り絵であれば、ハサミを入れるその一刀一刀で作品の出来不出来が刻々と移り変わります。
その点では、書道も同じで、一画一画の筆運びで作品の優劣が決します。

ジャズ音楽もまたそうです。譜面はあってなきがごとし、
瞬時先の未知の時空間に音色を奏でていくその1フレーズ1フレーズ、

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