29日に行われる内藤大助と亀田興毅のボクシングWBC世界フライ級タイトルマッチを前に、またも亀田家の周辺が騒がしくなってきている。ボクシングのWBA世界フライ級王者デンカオセーンへの挑戦権をめぐり、次男の亀田大毅(亀田ジム)と坂田健史(協栄ジム)が繰り広げていた激しい争奪戦に決着がついたのだが、この意外な顛末に業界が騒然となっているのだ。

 南米コロンビアで開催中だった総会で、この問題を審議していたWBAが19日(日本時間20日)、デンカオセーンの次期防衛戦は坂田以外の挑戦者による選択試合とし、その後90日以内に、その勝者が坂田と指名試合を行うという"異例の裁定"を下したからだ。この結果、次の世界戦の挑戦者は、大毅となる可能性が高まった。だが、すでに王者と契約を交わし、JBC(日本ボクシングコミッション)の承認も得ていた坂田側の訴えが却下され、いわばゴリ押しともいえる形で、大毅のリマッチが実現することについては、協栄ジムの金平桂一郎会長は、「簡単に納得できる話じゃないです」と憤っている。そして、WBA総会に参加していたJBCの安河内剛事務局長の帰国を待って「詳しく事情を聞いた上で今後の対応を考える」とも言う。一方、ボクシング界からも「なぜ亀田だけ、そんなことが認められるのか」(中堅ジム会長)といった批判の声も強く出ており、この異例の決定は、今後、業界にさまざまな波紋を広げることにもなりそうだ。

 協栄ジムの金平桂一郎会長は、すでに王者と契約を交わし、JBCの承認まで得ていただけに、今回の決定について「こんな結果になるとは」と驚きを隠さなかった。というのも今回、WBA側が、坂田を次期挑戦者としなかった理由が、意外なものだったからだ。坂田はWBAフライ級の前王者だが、WBAは、現在の坂田がフライ級ではなく、1階級上のスーパーフライ級の世界ランクに入っている点を指摘。フライ級で世界戦を行う前に、一度フライ級のリミットまで体重を落として試合を行い、フライ級のランカーとなることを要求したからだ。

 これに対して金平会長は、「坂田には一度、フライ級リミットの50.8キロ以下に体重を落とし試合をしろということで、そういうルールがあるからと言われたのですが......。改めてルールブックもチェックしたのですが、そんなルールはないんですよ」と大困惑している。

 これまでのWBAの歴史を振り返っても、別階級からの転級でいきなり世界戦が行われた事例は枚挙に暇がない。最近のWBAの世界ランクは、極めて恣意的に動かされているとの批判も強く、その恩恵を受けているのが亀田陣営でもあるのだ。

 実際、かつて亀田兄弟が協栄ジムに所属していた際、スーパーフライ級にランクされていた大毅は、フライ級の選手と試合こそしたものの、本人は、一度もフライ級のリミットである50.8キロ以下に体重を落としての試合をしないまま、フライ級のランクに入り、いきなり内藤との世界戦に挑んでいる。

 それゆえ、金平会長は「今回の決定は、これまでに前例のない話。いわば新しく"坂田排除ルール"を作られた感じです」とあきれ顔だ。

 また、金平会長は、今回の一連の騒動について、「そもそもJBCがきちっとした仕切りをしていれば、こうした問題にはならなかったとも思う」とも語り、WBA総会に参加していたJBCの安河内事務局長が、明日、日本に帰国した後に、「現地の詳しい事情や状況の説明をしてもらおうと思っています。(今回の決定は)簡単に納得できる話ではなく、今後の対応は、その説明を聞いてから考えます」と話しており、場合によっては関係者に対して法的処置も含めて厳しい対応をとる可能性さえありそうなのだ。