親族すら呆れる怠惰な生活、国の保護が平均年収を上回る英国人一家。

写真拡大

日本では最近、一生懸命働いても多くの賃金を得られず、生活保護やさまざまな手当を国から給付される人よりも、所得が低いと嘆く声も聞かれる。国が給付するお金は税金であり、その税金は労働者が納めていることを考えれば、“逆転現象”に不満が出たとしても不思議なことではない。こうしたケースは英国でも起きているようで、英紙ニューズ・オブ・ザ・ワールドは11月15日、国の保護を受けて暮らしている、ある英国人一家を取り上げた。かなり極端なケースだと思われるが、いったいどのような一家なのだろうか。  

今回注目されたのは、28歳で6人の子どもを持つロバート・スミスさん一家。「私は本当に浮浪者で、そう呼ばれるのが好き。誰もロバートなんて呼ばない」と堂々と話すロバートさんは、現在、アルコールの問題を抱えているため働くことができないのだという。同紙によれば、ロバートさんには毎月203ポンド(約3万円)が支給されるほか、妻のサラさんに週353ポンド(約5万2,000円)、子ども1人あたりに週86ポンド(約1万2,000円)などが支給され、そうしたお金をトータルすると、家族は年間3万1,742ポンド(約470万円)を国から受け取っているそうだ。

ちなみに、英国の平均年収は400〜450万円程度。ロバートさん一家がいかに手厚い保護を受けているのかがわかる。

しかし、ロバートさん夫妻は、国の保護を受けるのは当たり前と考えているようだ。「人生で一度も働いたことがない」というサラさんは、もっとお金がいると主張する。あえて働かないのは「育ち盛りの子どもを世話するため」で、子どもたちには「ほかの子と同じように」してあげたいとの思いから、今年のクリスマスには、ノートパソコンやニンテンドーDS、プレイステーション2をプレゼントする予定。「子どもたちには欲しいモノをあげる」との方針だ。

一方で、サラさんは「生活は苦しい」とも明かしている。毎月どれほどの生活費をかけているのかは具体的には不明だが、毎月40ポンド(約6,000円)の家賃が「恐ろしい」と怯え、さらに借金も600ポンドまで膨らんでいるそうだ。成長期の子どもが多く、生活費が大変なのは察しがつくが、この点については「子どもがいてはいけないの?」と反発。夫妻は「もっと欲しいくらい」と話している。

ただ、こうした生活を送るロバートさん夫妻に対して、周囲の目が厳しいことも同紙は伝えている。匿名を条件にインタビューに応じた親族は、「サラと浮浪者は、怠惰でだらしがない」とバッサリ。「ひとつ言えるのは、国のお金で1日中酒を飲んで、家にいられるということだ」と、状況を打開しようとせず、好きなように生きている夫妻に呆れている。

また、英国の納税者団体「Taxpayers Alliance」のスージー・スクワイア氏は、「この家族は、平均賃金を上回る年収を得ており、非常に不安なケース」と言及。「システムの緊急的な改革が必要だ」と訴えている。

この記事には120件を超える読者からのコメントも寄せられているが、意見はさまざま。「このような人がいると知って、自分が英国人であるのが恥ずかしい」「父親はきちんと仕事を探すべき」と夫妻への怒りや、「保護に頼らずに済むよう、政府がしっかりしろ」「働く気のない人にお金を渡さないで欲しい」など、政府への厳しい批判もある。

また、「子どもたちに罪はない」「妻は、その役割をしっかりやっているので恥じる必要はない」との意見もあり、英国でもいろいろと考えさせられる人が多いようだ。