厚生労働省と文部科学省は19日、来春卒業予定の大学生の就職内定率(10月1日現在)が62.5%で、前年同期を7.4ポイント下回ったと発表した。内定率は過去3番目の低さで、下げ幅は1996年の調査開始以来最大となり、98年の就職氷河期の6.1ポイント減を超えている。

日本人材ニュースでも、10月23日、「就職氷河期が現実のものとなった」と既報している。多くの企業で内定式が行われた10月1日時点の2010年卒の大学生の内定率が70%強であることが、就職情報サイトを運営するディスコの調査と本紙が複数の中堅私大キャリアセンターに実施した聞き取りで判明したからだ。前述の70%という数字は、自ら就職情報サイトに登録し、大学キャリアセンターにおもむく「就職に対してやる気のある層」であることを考えると驚くべき数字であり、今年の就職活動はそれほど厳しいものだったのである。

今後、内定のない学生が、来年4月に就職できるかどうかについては悲観的にならざるを得ない。すでに、ほとんどの企業は2010年卒の採用活動を終えているからだ。

企業業績の落ち込みも深刻だ。10月28日、日本経団連がまとめた「年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(加重平均)」では、東証一部上場の大手企業の冬のボーナスの平均は、74万7282円で前年比15.91%のマイナスとなり、過去最大の落ち込みとなった。中堅・中小企業の業績悪化はもっと深刻であり、冬のボーナスがでない会社も多く、かつてない不況となっている。

これまでの不況期には、新卒採用を大幅に抑制することで人件費を節約してきた。今回、多くの企業がこうした不景気の中でも新卒採用を続けたのは、「過去の不況では、採用を抑制した結果、社内に深刻な世代間の断絶が起きた」という反省があるからに他ならない。だが、100年に1度といわれる不況による業績悪化で、企業側にはこれ以上、新卒を採用する余力はないだろう。

さて、今年、内定をもらえなかった学生はどうなってしまうのだろうか。複数の大手企業の人事採用担当者によると、「卒業してしまえば既卒者扱いとなり、新卒としてのエントリーは難しくなる」。そうなると、留年して就職活動を続けることになるが、確かに「エントリーはできる」が、今年、採用されなかった学生をあえて積極的に採用する理由は企業にはない。学生は「留年」という大きなハンディを抱えた上に、2011年卒の学生と限られた採用枠を争わなくてはならない。

さらに2011年春の新卒採用枠も2010年とほぼ同様の採用数と予想されている。景気の回復次第だが、来年も就職氷河期が継続する恐れがある。前回、就職氷河期と言われた時は、派遣という当時は新しい働き方が雇用を吸収したが、現在、派遣法改正が検討されていることもあり、派遣社員も大幅減少が続いている。

経済のグローバル化で激しく環境が変わる中、すべての従業員が同じように採用され、同じように賃金が上がる時代は終わった。企業は、賃金のバランス、仕事の内容、従業員の能力を考え、人材ポートフォリオの最適化に向けて採用活動を見直していくべきだろう。また、政府の雇用対策と就業支援が重要なことは確かだが、派遣という働き方も含め、ライフキャリアから考える個人の多様な働き方を尊重した法制度を整備する必要がある。(日本人材ニュース編集長 吉越利成)


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