患者自らの骨を使って骨ネジを作り、そのネジを使って治療する。従来行なわれていた金属ネジを使った手術に比べれば、手術が一度で済み、ネジ代も不要。患者さんに画期的なメリットをもたらす骨ネジは、どうやって開発されたのか。島根大学医学部・内尾教授のグループによる開発プロセスを紹介する。





第3回「実験が証明してくれたコンセプトの正しさ」

■意外な強さを見せた骨ネジ

「ネジの形、施術方法が固まったら、次は実験です。豚の膝関節をモデルに固定強度測定を行いました」

まず試されたのは、必要なネジの本数だ。一本だけだと強度が足りない。それなら二本を使えばどうなのか。

「二本使えば金属ネジと同じだけの固定強度のあることがわかりました。そしてこの実験を通じて、金属ネジと骨ネジの意外な違いも明らかになってきたのです」

違いは術後の時間経過による変化に出た。金属ネジの場合、引き抜き強度はネジを入れたときが最も高く、あとは時間が経つにつれ少しずつ落ちていく。ところが骨ネジは想定外の結果となったのだ。



「骨ネジの場合、時間が経つほどに引き抜き強度はどんどん高まっていくのです。なぜ、そんなことが起こるのかといえば、骨で作られたネジはまわりの骨と同化していくから。つまり形はネジですが、ある意味骨の移植を行っているのと同じ結果になるわけです」

ネジの周りにある生体の骨には、埋め込まれたネジを変化させる力がある。これぞまさに人体の不思議と言っていいのかもしれない。あるいは生命力の強さ、すばらしさと表現するべきなのだろう。いずれにしても自分の骨を使ったネジ、だからこその同化作用である。


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