ロジャースの奮闘もあり、一方的な勝利でなかったがゆえ、ヒョードルの強さが伝わるCBSデビュー戦となった

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■ヘビー級/5分3R
エメリヤーエンコ・ヒョードル(ロシア)
Def.2R1分48秒/TKO
ブレット・ロジャース(米国)

遠い距離からジャブを見せるロジャースに、一瞬の交錯のなかで右オーバーフックを振るうヒョードル。徐々にヒョードルのプレッシャーで、ロジャースがケージに追い込まれる。パンチから、組みついてテイクダウンを奪ったヒョードルだが、ロジャースはすぐに立ち上がり、反対にヒョードルをケージに押し込んでいく。

細かいフックを見せるロジャースに、ヒョードルが鼻血を流す。足をかけ、胸を押して距離を作ったヒョードルは、勢いよくパンチを振るい再びテイクダウンに成功する。ハーフガードで耐えるロジャースにアームロックをヒョードルが仕掛けたが、この勢いに乗じてロジャースがリバーサルからトップを奪い返す。

勢いよくパウンドを落とすロジャースに腕十字を仕掛けたヒョードル。これはロジャースに凌がれたが、一瞬の腰のコントロールから、ロジャースをすかしてトップを奪い返す。額からの流血したヒョードルは、立ち上がって思い切りパウンドを振り落としていくが、空振りに終わり、そのまま1Rを終えた。

2R、左を伸ばすロジャース。ヒョードルの左は空を切ったが、バランスを崩す。右から左を振るい、組みついたヒョードルだが、ロジャースはヒザ蹴りを返す。投げで態勢を崩し、左右のフックを見せたヒョードルに、ガッチリとガードを固めたロジャースは、決定打を受けることなく組みつくことに成功。そのまま組み合いが続き、ロジャースのヒザをボディに受けたヒョードルが胸を押し、距離を作る。

両者、息を整えるかのように間合いを取る。両者の距離が再び迫ったその刹那、ロジャースの左ストレートに、ヒョードルが右ストレートを合わせると、この一発でロジャースがキャンバスに崩れ落ち、そのままロジャースの顔面にパウンドを連打。すぐさまレフェリーが試合をストップし、ヒョードルのTKO勝ちとなった。

周囲の興奮をよそに、常に落ち着いた表情のヒョードルは「神に感謝したい。1Rに少し時間をかけてロジャースの動きを掴んだことが勝因。疑いなくロジャースは素晴らしいファイターだ。ただ、彼の隙を見つけることができた。ロジャースがリマッチを望むなら、もちろん受ける。ここで試合を実現させてくれた人々に感謝したい。これは私個人の勝利でなく、私たちの勝利だ」と試合を振り返った。

一方、敗者ロジャースはKO負け直前までの興奮が冷めやらないまま、「強くなって戻ってくる。ヒョードルもいったように、リマッチを臨みたい」と肩を揺らしてコメントを残した。

今年1月に行われたアンドレイ・オルロフスキー以上に、ヒョードルと互角の攻防を繰り広げたロジャースは、敗れたとはいえ、ヘビー級の新鋭ではなく、ヘビー級の強豪として世間に認知されるだろう。同時に一方的な攻防でなく、攻防のなかで確かな強さを見せつけたヒョードルにとっては、その存在感の大きさを示したストライクフォース&全米地上波デビューとなった。