(株)斉藤コーヒー店代表。
投資を呼び込む意識が弱い日本。
2009年11月07日22時41分 / 提供:Espresso Diary@信州松本
物価が下がってゆくのは、かならずしも良いことだとは限らない。デフレに対する危機感が広がっています。少し前まではモノの価格が下がるたびに、「消費者にとっては喜ばしい」とか「主婦には、ありがたい話」という答えが、まるで模範解答のように流れていました。しかし、賃金が上がらず、不動産が下がり続けると、物価の下落を喜んでばかりもいられません。
日本の国内だけを眺めればデフレですが、世界的にはインフレ懸念が強まっています。原油は80ドル。東アジアの都市では、不動産の価格が上がっています。資源を輸入している日本にとっては原材料の価格が上がることになりますが、販売の現場では価格の競争が激しいので、多くの企業や個人が内側のデフレと外側のインフレに挟まれている状態。起きているのは、グローバルなインフレとローカルなデフレです。
2006年に日本橋の東急百貨店が閉店セールを打ったときは、大盛況でした。まるで蒸気機関車に別れを惜しむ鉄道ファンを伝えるような報道ぶりでした。いまは多くの老舗が各地でひっそりと店を閉めています。無くなってゆくのは、近所のスーパー、バス路線、高校、病院、それに空港など。最初は「惜しいわねぇ」という感傷のような話が、だんだん「困ったなぁ」という切実な話に変わってきています。
遠い将来の宿題のように語られてきた高齢化や小子化も、いま目の前にある問題。もう、あと1ヶ月あまりで2010年ですから、したがってグラフは再来月の人口ピラミッドになるわけですが、団塊の世代に比べると20歳あたりの日本人の数が4割ぐらい減っていることがわかります。これで「若者のクルマばなれ」とか「若者のビールばなれ」な〜んていう報道がいまだに流れるのだから、もうクレイジーとか言いようがない。若者の絶対数が減った現実を隠すための変な宗教でも流行っているのでしょうか?
最近は、静かで巨大なボケとパニックが広がっているような気さえします。大きな現実の変化は見ない。「破綻」という言葉だけが繰り返されるのは「世も末だ」というのと同じで、起きている現実に、どう対応してゆけば良いのか?を考えさせないようにするためのキャンペーンのように思えてしまいます。松本では空港が存続の危機だということで、知事や県議会の議長、それに市長などが従来のような陳情をやっていますが、リニアの路線を曲げることを望み、潰れかかった航空会社だのみの行動を繰り返す姿には、もう偉い人たちの「ボケ大会」「大カン違い大会」という印象しか持てません。
財政の悪化によって金利の上昇が予想されるのなら、何をどう選択すればよいのか?雇用の不安があるなら、どうしたら良いのか?私は前の市長選に立候補した新人の選対事務所に呼ばれたとき、政策をめぐって、ごくごく常識的な話をしました。「これからは自治体も財政が厳しくなりますから、雇用と税収を確保するためには、外から投資を呼び込まなきゃいけない」。すると同席していた中高年の男性からは、「何でも呼べば良いってもんじゃないっ!」という反応が直ぐに返ってくる。私は政策がどうのという以前に、「やっぱり新聞やテレビに浸っている人が多いんだなぁ」と思うばかりでした。
BBCの動画にも広告が付くようになりました。先月だと韓国の地方都市への投資を呼びかける"Korea Free Economic Zones"、今なら中国のマカオの広告が出てきます。
NHK・BSでアジア各国のニュースを見ていると、観光と投資とを一体のものとして意識した戦略が強まっていることがわかる。まずは来てもらい、地域の文化や将来性などを理解してもらい、そして投資へつなげることが重要だという意識が広がっています。とくに女性にとって魅力的な場所であることをアピールする都市が増えている。
日本では、観光は娯楽あるいは遊びであり、投資は金融の話であるという、どこか役所的なタテ割りの発想が強い。"Invest Japan"でYouTubeを検索しても、小泉純一郎のパッとしない昔のCMぐらいしか出てきません。いかにもオジサン社会のイメージ。日本の若者たちが就職できないのは、単に製造業のコストの問題だけではなさそうです。
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