「宮崎の秋」 色づく日南市北郷町のイロハモミジ
2009年11月08日07時00分 / 提供:PJ
【PJニュース 2009年11月8日】秋も深まり、宮崎県内の観光地も多くの観光客でにぎわっている。そのようななか、先月末、観光客や登山客でにぎわう韓国岳(からくにだけ)で、小学6年の男子児童が遭難・死亡するという痛ましい事故が起きた。韓国岳は比較的登りやすく、登山初級者向けの山として知られている。そのために、宮崎県内には大きな衝撃が走った。亡くなった男子児童のご冥福をお祈りします。
今年の紅葉は昨年よりも早く、韓国岳があるえびの高原の紅葉も今が見ごろとなっているが、日南市北郷町には、1本だけが色づいているイロハモミジがあるという。地元のテレビ局で紹介されたこともあり、多くの観光客が訪れているとのことである。11月上旬までが見ごろということで、11月7日に出掛けた。
宮崎市から田野町へ向かい、県道28号南下して日南市北郷町方面へ向かう。日南市へ向かうには海岸沿いの国道220号が知られているが、紅葉の季節には山あいを走る県道28号がお勧めである。国のリゾート法を活用した「北郷リゾート」や、林野庁が推進している森林セラピー基地である「猪八重(いのはえ)渓谷」などがあり、癒し効果は抜群である。無料の足湯もあり、渓谷散策を終えた観光客でにぎわっている。
さて、イロハモミジがある場所は、整備された観光地ではない。そのため、案内板も少ない。県道29号を黒仁田(くろにた)川沿いに走り、さらに、広渡ダムに向かう県道33号に入る。広渡ダムは、洪水調節や防災、不特定用水などのために、1969(昭和44)年に工事が着工され、93(平成5)年に完成した。ダム湖の周りにはちょっとした公園や立派な展示室などが整備されているが、訪れる人は少ない。単なる治水ダムにしては、このような施設が必要だったのか、はなはだ疑問である。東国原英夫宮崎県知事であったら、公園や展示室は造らなかっただろう。
目的地はまだである。ダム湖にかかる橋を渡ると、「イロハモミジまで約5.3キロ」という小さな看板が目に入った。これから先は道幅が狭くなっていく。いつもは林業関係者しか利用しない林道である。そこをセダンや4輪駆動車などの自家用車が走っている。道によってはやっと離合できるようなところもある。
窓を開けて走ると、川のせせらぎが聞こえてくる。地図には「槻之河内(つきのかわち)川」と書かれている。途中、歩道とも言えない路肩に、水飲み場らしきものがあった。車を止めて近づくと、そこらじゅうの岩肌から水滴がとめどなく落ちていた。岩肌にはホースが取り付けられていて、山の水が流れ落ちていた。山の恵みである。11月7日は立冬にも関わらず、日中は25度まで気温が上がり、山の水は冷たくておいしかった。
目的地に着いた。専用の駐車場というよりも、路肩の広い部分に車をとめるようになっているため、入ってくる車と出て行く車で一時混雑していた。
このイロハモミジは推定樹齢が200年、樹高20メートル、幹周りは2メートル40センチで、葉張りは20メートルと、その存在感を思い知らせるためには十分すぎるほどの巨木である。この槻之河内地区には、シイ・カシ・モミなどの広葉樹林が広がっているが、その中にあってこのイロハモミジが鮮やかに紅葉していた。
しかし、このイロハモミジの楽しみ方は、太陽光線とのコントラストである。山あいにあるため、イロハモミジに日光が当たるのは、お昼近くになったからである。イロハモミジに日向と日陰の部分ができ、モミジの色も随分と違って見える。その違いを楽しむのである。訪れた観光客は、ちょっと遠巻きにイロハモミジを観て、デジタルカメラのシャッターを押していた。
近くには槻之河内川の支流らしき小さな川が流れ、そのせせらぎを聞きながら、時間を忘れてイロハモミジを眺めていた。これが、人間が自然への畏怖の念を感じる瞬間なのだろう。山が命の水を育み、そして、収穫の喜びを感じさせ、紅葉で私たちに目を楽しませてくれる。ありがたいことである。
しかし一方では、自然が人間に襲いかかり、その命さえも奪うこともある。「自然を甘く見てはいけない、山を甘く見てはいけない」と、日本山岳会の支部長をしていた叔父が話していたことを覚えている。ダムを造り自然をコントロールして、私たちの生活を守ることも大切かもしれない。しかし、私たち人間は、自然とともに生きているということを前提にして考えなければ、いつかまた自然が私たちに襲いかかってくる。
久しぶりに何もかも忘れて自然の中で過ごそうと出掛けたのだが、いろいろと考えることも多いイロハモミジの鑑賞となってしまった。【了】
■関連情報
○北郷町のイロハモミジ(写真集)
【YouTube動画】
○日南市北郷町のイロハモミジ
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今年の紅葉は昨年よりも早く、韓国岳があるえびの高原の紅葉も今が見ごろとなっているが、日南市北郷町には、1本だけが色づいているイロハモミジがあるという。地元のテレビ局で紹介されたこともあり、多くの観光客が訪れているとのことである。11月上旬までが見ごろということで、11月7日に出掛けた。
宮崎市から田野町へ向かい、県道28号南下して日南市北郷町方面へ向かう。日南市へ向かうには海岸沿いの国道220号が知られているが、紅葉の季節には山あいを走る県道28号がお勧めである。国のリゾート法を活用した「北郷リゾート」や、林野庁が推進している森林セラピー基地である「猪八重(いのはえ)渓谷」などがあり、癒し効果は抜群である。無料の足湯もあり、渓谷散策を終えた観光客でにぎわっている。
さて、イロハモミジがある場所は、整備された観光地ではない。そのため、案内板も少ない。県道29号を黒仁田(くろにた)川沿いに走り、さらに、広渡ダムに向かう県道33号に入る。広渡ダムは、洪水調節や防災、不特定用水などのために、1969(昭和44)年に工事が着工され、93(平成5)年に完成した。ダム湖の周りにはちょっとした公園や立派な展示室などが整備されているが、訪れる人は少ない。単なる治水ダムにしては、このような施設が必要だったのか、はなはだ疑問である。東国原英夫宮崎県知事であったら、公園や展示室は造らなかっただろう。
目的地はまだである。ダム湖にかかる橋を渡ると、「イロハモミジまで約5.3キロ」という小さな看板が目に入った。これから先は道幅が狭くなっていく。いつもは林業関係者しか利用しない林道である。そこをセダンや4輪駆動車などの自家用車が走っている。道によってはやっと離合できるようなところもある。
窓を開けて走ると、川のせせらぎが聞こえてくる。地図には「槻之河内(つきのかわち)川」と書かれている。途中、歩道とも言えない路肩に、水飲み場らしきものがあった。車を止めて近づくと、そこらじゅうの岩肌から水滴がとめどなく落ちていた。岩肌にはホースが取り付けられていて、山の水が流れ落ちていた。山の恵みである。11月7日は立冬にも関わらず、日中は25度まで気温が上がり、山の水は冷たくておいしかった。
目的地に着いた。専用の駐車場というよりも、路肩の広い部分に車をとめるようになっているため、入ってくる車と出て行く車で一時混雑していた。
このイロハモミジは推定樹齢が200年、樹高20メートル、幹周りは2メートル40センチで、葉張りは20メートルと、その存在感を思い知らせるためには十分すぎるほどの巨木である。この槻之河内地区には、シイ・カシ・モミなどの広葉樹林が広がっているが、その中にあってこのイロハモミジが鮮やかに紅葉していた。
しかし、このイロハモミジの楽しみ方は、太陽光線とのコントラストである。山あいにあるため、イロハモミジに日光が当たるのは、お昼近くになったからである。イロハモミジに日向と日陰の部分ができ、モミジの色も随分と違って見える。その違いを楽しむのである。訪れた観光客は、ちょっと遠巻きにイロハモミジを観て、デジタルカメラのシャッターを押していた。
近くには槻之河内川の支流らしき小さな川が流れ、そのせせらぎを聞きながら、時間を忘れてイロハモミジを眺めていた。これが、人間が自然への畏怖の念を感じる瞬間なのだろう。山が命の水を育み、そして、収穫の喜びを感じさせ、紅葉で私たちに目を楽しませてくれる。ありがたいことである。
しかし一方では、自然が人間に襲いかかり、その命さえも奪うこともある。「自然を甘く見てはいけない、山を甘く見てはいけない」と、日本山岳会の支部長をしていた叔父が話していたことを覚えている。ダムを造り自然をコントロールして、私たちの生活を守ることも大切かもしれない。しかし、私たち人間は、自然とともに生きているということを前提にして考えなければ、いつかまた自然が私たちに襲いかかってくる。
久しぶりに何もかも忘れて自然の中で過ごそうと出掛けたのだが、いろいろと考えることも多いイロハモミジの鑑賞となってしまった。【了】
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○北郷町のイロハモミジ(写真集)
【YouTube動画】
○日南市北郷町のイロハモミジ
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パブリック・ジャーナリスト 大谷 憲史
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