2009年3月期まで3年連続で過去最高益を更新してきた任天堂の失速が鮮明になった。任天堂が10月末に発表した09年9月中間連結決算は、売上高が前年同期比34.5%減の5480億円、営業利益が同58.6%減の1043億円と、4年ぶりに減収減益となった。06年末の発売以来、これまで快進撃を続けてきた据え置き型ゲーム機「Wii(ウィー)」の販売が落ち込んだためだ。

   任天堂によると、Wii本体の販売台数は同43%減の575万台、Wii向けソフトの販売も同6%減の7621万本。携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」シリーズのゲーム機本体は同15%減、ソフトも同16%減と、いずれも振るわなかった。とりわけ主力の人気商品、Wii本体の落ち込みが目立った。

「魅力的な商品なら不況でも売れる」はずだったのに…

   岩田聡社長は大阪市内で行われた決算発表の会見で「Wiiは失速した」「景気の影響も考えざるを得ない」などと肩を落とした。岩田社長は09年7月に行われた09年4〜6月期連結決算の発表では「ゲームの売れ行きは景気動向と関係ない」「魅力的な商品なら不況でも売れる」などと、持論を展開。自社のゲーム機・ソフトに絶対の自信を見せ、強気の姿勢を崩さなかったが、4年ぶりの減収減益を前に潮目の変化を認めざるを得なかった格好だ。

   Wiiが凋落した理由について、岩田社長は「昨年出した大型ソフトが長続きせず、6月に新商品を発売するまで間隔が開いてしまった」と語った。岩田社長は「上半期の不振を取り戻すのは難しいが、何とか勢いを取り戻したい」とも述べ、日米欧の年末商戦で反撃に出る構えを強調した。

   任天堂はWiiのメーカー希望小売価格を10月1日から5000円値下げし、2万円にしたばかり。値下げは今回が初めて。米国でも約50ドル(約4500円)値下げし、199.99ドル(約1万8000円)とした。だが、ライバルのソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)や米マイクロソフトも値下げに踏み切っている。岩田社長自身、「値下げ効果は一定期間しか続かない」と認めており、大幅な収益向上は期待できそうにない。

アイフォーンがライバルとして台頭

   任天堂は今後、新商品も投入する。大画面の携帯型ゲーム機「ニンテンドーDSiLL」(2万円)を11月21日に日本で発売。12月には新ソフト「NewスーパーマリオブラザーズWii」を発売するなど攻勢をかける。

   それにもかかわらず、任天堂は今回、10年3月期の業績予想を下方修正した。売上高は従来予想より3000億円減の1兆5000億円、営業利益は同1200億円減の3700億円と、いずれも芳しくないのが現実だ。ゲーム機市場では、ゲーム機としても使える米アップルの携帯電話「iPhone(アイフォーン)」が台頭。ライバルがじわじわと支持を広げていることも業績に影響しているようだ。

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