日本女子プロ野球リーグ 第1回合同トライアウト(下)
2009年11月04日08時07分 / 提供:PJ
【PJニュース 2009年11月4日】(上)からのつづき。東根あゆみ(17)がこの日のために持参したバットは巨人・小笠原モデル。兵庫県立明石高校ソフトボール部で4番を務めるなど打撃には自信があり、普段は使わない硬式用木製バットでも合格できると思っていたが、「ティーの時、やっぱり金属でいこうと思った」。GPBL側が用意した金属バットを握り、午前のフリー打撃に立つ。この選択が功を奏したか、左打席からある程度の快音を残すことができ、見事一次試験に合格した。「朝から球場まで付き添ってくれたお父さんに、ありがとうと言いたいです」。その父親いわく、「この子はセンター守っていたから、足には自信があるんですよ」。
女子選手たちの多くは所属チームのユニホームを着てトライアウトに顔を出す。現在無所属の選手はかつて所属していたチームのユニホーム、あるいは練習着かジャージとなる。こうした「ファッションチェック」は各選手の球歴つまりある程度の実力を知る参考ともなるが、そんな中にあって河野愛(21)。野球の試験だというのになぜかアディダスのハーフパンツ、そして帽子はエロかぶり(死語?)。屋外バスケか何かと間違えているんじゃないかと思ったが、さすがはソフトボール歴13年、一次試験をパス。二次試験のフリー打撃、よりによって「むき出し」のすねに死球を喰(く)らい、その場に倒れ関係者を慌てさせた。
だが、いったん下がり治療を受けアイシングしたままグラウンドに戻ると、2打数1安打。ノーヒットに終わる選手が大半の中、最終合格の手応えになった? 「いや、全然自信ないっす」。 足は大丈夫? 「たいしたことないっすけど、今から病院に行きます」。
その河野の(元)チームメイト、山口茉衣(21)と加藤夕貴(22)。類は友を呼ぶのか何なのか、山口は水色のニット帽にプーマのハーフパンツ、加藤は無帽でしかもショッキングピンクのTシャツ、下はスウェットと、遠くからでもそのファッションはかなり目立つ。残念ながら一次不合格となったが、ぜひにと写真を撮らせてもらう。「えっ、何で笑ってるんですか?」。 いや、今日こっちがカメラ向けて、自らピースサインしたの、あなたたち2人だけだから。河野も「まぁ、こいつら2人は『アイドル』ですから」と言って笑った。
大城春香(20)は女子大学野球の名門・尚美学園大学を今年6月に中退した理由について、「このトライアウトのためじゃありません。入学してすぐの怪我や、あと家庭の事情です」と語る。「その後は怪我も治って、家族や先輩たちの協力あって練習も続けてきました」。なぜこの試験を受けようと思った? 「プロになるのは,子供の頃からの夢でしたから」。一次試験に合格、フリー打撃でも余裕で1安打してみせた。
そのフリー打撃、2打席で1安打以上したのは河野・大城含め僅か13名にすぎず(※全34名)、2安打となると3名のみ。うち1人である女子高校野球名門・神村学園4番黒木弥生(18)は、「打ったのは2本ともストレートでしたね。(試験は)やりきった!って感じです」。逆に、女子硬式チーム大阪BLESS所属・野々村聡子(21)はノーヒットではあったが、この日ただ1人のセーフティバントに果敢にも挑戦する。ピッチャーゴロに終わるものの、「(トライアウトを)受けると決めたときから、足とバントはアピールしようと思っていた。やらなかった後悔だけはしたくない。セーフティできて満足です」。
今春の全国高校選抜テニス・女子団体戦でベスト4入りを果たした椙山女学園高主将・ダブルス1のサウスポー三浦伊織(17)は、地元・名古屋ではむしろ野球選手としての方が有名だ。タレント・峰竜太の野球チーム「ドラHOTリューターズ」ただ1人の女子選手、しかも当初は中学生だったこともあり、ローカルニュースなどで話題となった。「今日のことは峰さんたちには特に話してきてませんね。(自分の試験と)関係ないですから。リューターズの試合は1年に1回だけで、私は毎日野球が出来る環境に身を置きたいんです」。合格した一次のピッチング試験の際、ブルペンで元プロ野球選手・太田幸司さんに何か言われていたようだが? 「……さぁ、どうなんでしょう(笑)」。
南九州短期大学女子硬式野球部は、創部からまだ1年半にして、今春の西日本大会準優勝、そして夏の伊予銀行杯全日本選手権ではベスト8入りと躍進著しい。その創設メンバーにして4番打者、しかも投手・捕手も兼任する川畑亜沙美(20)も、今度はプロの一期生となるべくトライアウトに志願。「今までやってきたことを、全て出し切るだけですね」。勝負強さが魅力と自ら語る彼女、次はその言葉をプロで証明できるか、否か。
樋口三流久(みるく 18)が小学校時代に樹立したソフトボール投げの記録、小5で53.67m、小6で53.35mは、未だに県陸上協会歴代記録のそれぞれ2位、10位に君臨している。小2で軟式野球を始め中3まで続けたは男子に交じった中で4番を任され続けた。香川県立高松東高校ソフトボール部でも当然のように1年からレギュラー・4番を務め、総体出場などチームを全力で引っ張る。だが、その後は怪我にも悩まされ、3年夏にようやく復帰するも、今回のトライアウトでは実力が出し切れず、一次不合格に終わった。「来年の4月からは自衛隊員です」。
全受験者71名中、30代は4名。最年長の1人小島多恵(35)の硬式野球歴は3年半、軟式3年、ソフト6年。年齢と状況を考えればもの足りないともいえる球歴であるが、「久々と野球だ」と燃える。「トライアウトはたまたま知って応募したけど、準備期間が2週間くらいしかなかったんだよ」。同伴者の男子小学生はまさか……? 「いやいや、息子じゃないよ(笑)。練習の協力者だってば」。しかし、50m走など基礎体力面においても、「やっぱり年を感じるワ」と、あえなく一次敗退。「遠投は(男子なら)最低でも80mは必要だって? いやいや、絶対ムリ(苦笑)」。家業の板前へと戻るべく、「じゃ、さよなら、『お兄さん』」と、約10歳年下の筆者に対し妙に「30代」をアピールしつつ、爽やかに球場を後にする。
同じく30代の中野寿美(34)は、「人生最後のトライアウト!」と意気込む。「今までクラブチームとかのトライアウト、3回受けて全部不合格なんだよね……」。しかし今回も残念、4度目の正直とはならず、午前で帰宅することに。「最後なのはあくまでトライアウトだけ。野球をやめるわけじゃないって」。
当日の写真
日本女子プロ野球機構
【了】
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女子選手たちの多くは所属チームのユニホームを着てトライアウトに顔を出す。現在無所属の選手はかつて所属していたチームのユニホーム、あるいは練習着かジャージとなる。こうした「ファッションチェック」は各選手の球歴つまりある程度の実力を知る参考ともなるが、そんな中にあって河野愛(21)。野球の試験だというのになぜかアディダスのハーフパンツ、そして帽子はエロかぶり(死語?)。屋外バスケか何かと間違えているんじゃないかと思ったが、さすがはソフトボール歴13年、一次試験をパス。二次試験のフリー打撃、よりによって「むき出し」のすねに死球を喰(く)らい、その場に倒れ関係者を慌てさせた。
だが、いったん下がり治療を受けアイシングしたままグラウンドに戻ると、2打数1安打。ノーヒットに終わる選手が大半の中、最終合格の手応えになった? 「いや、全然自信ないっす」。 足は大丈夫? 「たいしたことないっすけど、今から病院に行きます」。
その河野の(元)チームメイト、山口茉衣(21)と加藤夕貴(22)。類は友を呼ぶのか何なのか、山口は水色のニット帽にプーマのハーフパンツ、加藤は無帽でしかもショッキングピンクのTシャツ、下はスウェットと、遠くからでもそのファッションはかなり目立つ。残念ながら一次不合格となったが、ぜひにと写真を撮らせてもらう。「えっ、何で笑ってるんですか?」。 いや、今日こっちがカメラ向けて、自らピースサインしたの、あなたたち2人だけだから。河野も「まぁ、こいつら2人は『アイドル』ですから」と言って笑った。
大城春香(20)は女子大学野球の名門・尚美学園大学を今年6月に中退した理由について、「このトライアウトのためじゃありません。入学してすぐの怪我や、あと家庭の事情です」と語る。「その後は怪我も治って、家族や先輩たちの協力あって練習も続けてきました」。なぜこの試験を受けようと思った? 「プロになるのは,子供の頃からの夢でしたから」。一次試験に合格、フリー打撃でも余裕で1安打してみせた。
そのフリー打撃、2打席で1安打以上したのは河野・大城含め僅か13名にすぎず(※全34名)、2安打となると3名のみ。うち1人である女子高校野球名門・神村学園4番黒木弥生(18)は、「打ったのは2本ともストレートでしたね。(試験は)やりきった!って感じです」。逆に、女子硬式チーム大阪BLESS所属・野々村聡子(21)はノーヒットではあったが、この日ただ1人のセーフティバントに果敢にも挑戦する。ピッチャーゴロに終わるものの、「(トライアウトを)受けると決めたときから、足とバントはアピールしようと思っていた。やらなかった後悔だけはしたくない。セーフティできて満足です」。
今春の全国高校選抜テニス・女子団体戦でベスト4入りを果たした椙山女学園高主将・ダブルス1のサウスポー三浦伊織(17)は、地元・名古屋ではむしろ野球選手としての方が有名だ。タレント・峰竜太の野球チーム「ドラHOTリューターズ」ただ1人の女子選手、しかも当初は中学生だったこともあり、ローカルニュースなどで話題となった。「今日のことは峰さんたちには特に話してきてませんね。(自分の試験と)関係ないですから。リューターズの試合は1年に1回だけで、私は毎日野球が出来る環境に身を置きたいんです」。合格した一次のピッチング試験の際、ブルペンで元プロ野球選手・太田幸司さんに何か言われていたようだが? 「……さぁ、どうなんでしょう(笑)」。
南九州短期大学女子硬式野球部は、創部からまだ1年半にして、今春の西日本大会準優勝、そして夏の伊予銀行杯全日本選手権ではベスト8入りと躍進著しい。その創設メンバーにして4番打者、しかも投手・捕手も兼任する川畑亜沙美(20)も、今度はプロの一期生となるべくトライアウトに志願。「今までやってきたことを、全て出し切るだけですね」。勝負強さが魅力と自ら語る彼女、次はその言葉をプロで証明できるか、否か。
樋口三流久(みるく 18)が小学校時代に樹立したソフトボール投げの記録、小5で53.67m、小6で53.35mは、未だに県陸上協会歴代記録のそれぞれ2位、10位に君臨している。小2で軟式野球を始め中3まで続けたは男子に交じった中で4番を任され続けた。香川県立高松東高校ソフトボール部でも当然のように1年からレギュラー・4番を務め、総体出場などチームを全力で引っ張る。だが、その後は怪我にも悩まされ、3年夏にようやく復帰するも、今回のトライアウトでは実力が出し切れず、一次不合格に終わった。「来年の4月からは自衛隊員です」。
全受験者71名中、30代は4名。最年長の1人小島多恵(35)の硬式野球歴は3年半、軟式3年、ソフト6年。年齢と状況を考えればもの足りないともいえる球歴であるが、「久々と野球だ」と燃える。「トライアウトはたまたま知って応募したけど、準備期間が2週間くらいしかなかったんだよ」。同伴者の男子小学生はまさか……? 「いやいや、息子じゃないよ(笑)。練習の協力者だってば」。しかし、50m走など基礎体力面においても、「やっぱり年を感じるワ」と、あえなく一次敗退。「遠投は(男子なら)最低でも80mは必要だって? いやいや、絶対ムリ(苦笑)」。家業の板前へと戻るべく、「じゃ、さよなら、『お兄さん』」と、約10歳年下の筆者に対し妙に「30代」をアピールしつつ、爽やかに球場を後にする。
同じく30代の中野寿美(34)は、「人生最後のトライアウト!」と意気込む。「今までクラブチームとかのトライアウト、3回受けて全部不合格なんだよね……」。しかし今回も残念、4度目の正直とはならず、午前で帰宅することに。「最後なのはあくまでトライアウトだけ。野球をやめるわけじゃないって」。
当日の写真
日本女子プロ野球機構
【了】
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パブリック・ジャーナリスト 佐々木 隆
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