ブラック企業アナリストに聞く 『人生を無駄にしない会社の選び方』
2009年11月02日09時00分 / 提供:CAREERZine
ブラック企業には絶対に入りたくない。多くの人の共通認識のはずなのに、なぜ誤って入社してしまう人が後を立たないのか。『人生を無駄にしない会社の選び方』の著者で、ブラック企業アナリストの新田龍さんに、その原因と対策を聞きました。
■ブラック企業かどうか決める基準は「本人がそう感じるか」
転職活動をしていれば、誰もが気になるその会社の評判。読者の方も一度は、実際の社員によるクチコミや、ブラック企業ランキングなどのサイトを参照した経験があるのではないだろうか。
「ブラック企業」というキーワードは、好奇心と共感を呼び、広く浸透した。聞けば誰もが、「給料が安い」「残業代が出ない」「仕事内容が」「経営者が横暴」「体を壊すほど激務」などの過酷な労働環境を連想するはずだ。
キャリア教育プロデューサーであり、ブラック企業アナリストの肩書きを持つ新田龍さんは、ブラック企業をテーマにした、『人生を無駄にしない会社の選び方』(日本実業出版社)を2009年10月に上梓。同著で新田さんは、ブラック企業を「働いても報われない会社」と定義している。
「報われない」とは主観的な表現だが、それもそのはず、ブラック企業か否かの基準は「本人次第」だというのだ。
「私自身、『ブラック企業ランキング』に殿堂入りするような企業で働いた経験があります。しかし、過酷な労働環境で実感させられたわけではなく、あとから知らされて『え、うちの会社、ブラック企業だったの?』というくらいでした。その企業に入ったのは、短い期間に濃い経験をしたかったからです。たしかに激務でしたが、目的を持って主体的にその会社を選んだので、入社後に後悔することはありませんでした。
人は同じ経験をしても、同じ感じ方をするわけではありません。誰かにとってブラック企業でも、ほかの人にとっては違うかもしれない。だから、ブラック企業の基準は、本人がそう感じるかどうかなのです」
新田さんは他称「ブラック企業」で経験を積み、33歳にして2つの会社の経営者となった。キャリアをテーマに、大学講師も務めている。
「本人次第」の意味は、適性の意味もある。たとえば、老舗大企業からベンチャー企業に転職した場合、トップダウンの組織や仕事の負荷、整わない福利厚生・社内制度に対して、「ブラックだ」と感じることもある。一方で、大企業のルールに肌が合わず、ベンチャーでなければという人もいるはずだ。
「もちろん、本当にひどいブラック企業は改善されなければなりません。そうした企業は、経営者に責任があります。けれど、世の中に完璧な企業はありません。自分が決めて入社したはずの会社に対して、粗探しして文句ばかり並べている人もいます。いま所属している企業がブラックだと感じている人は、その中でも学べそうなこと、楽しめそうなことにフォーカスして、それらを発見していくことから始めましょう」
■ブラック企業なのか、調べつくしてから入社せよ
新田さんは、ブラック企業という言葉が浸透し、情報を得る手段はいくつもあるなかで、それでもブラック企業に入社してしまうのには、いくつかの理由があるという。
「まずは転職活動の妥協ですね。なかなか決まらなくて疲れ、『もうここでいいや』と妥協する。気持ちはよくわかるんですが、やはり、納得できるまで続けないとブラック企業入りしてしまう」
また、情報収集の量とそれに対する判断の甘さも一因だ。企業の自社サイトはもちろん、転職サイトに掲載される企業情報はいわば広告だ。その企業の長所を強調して作られており、客観的な情報ではない。
その逆も然り。巷ではブラック企業の烙印を押されていたとしても、ある人には学びの環境になるかもしれない。そうとは知らず、どこの誰が書いたともわからない情報に踊らされては、せっかくのチャンスが台無しだ。
新田さんは、もっとも効果的な情報収集の方法として、「面談」を勧める。
「応募先の社員がどう感じているかはもちろん、ライバルとなる同業他社が、その企業をどう評価しているか。本来ならここまで調べつくして欲しいと思います」
■条件は平等でなくても、あきらめずに努力を続けるべき
妥協することなく、自分にとって最適の環境を求め続けるのが、大事なのはわかる。しかし、学歴差別やコネクションなど、皆が同じスタートラインに立っているわけではない。
「たしかに、たとえば慶応義塾大学の学生は、新卒採用市場で評価が高いです。それは、高学歴だからではなく、ゼミ活動等によって、社会人としてのコミュニケーション慣れを しているから。また、そうした環境が自信を生み、好循環を呼ぶのは確かです。
でも、『自分は高学歴ではないからどうせダメだ」と努力することをあきらめたら、ますます差がついてしまう。それに、ちゃんとした人事担当者は学歴以外の部分も見ているものですよ」(次ページへ続く)
■関連記事
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CAREERzine編集部[著]
■ブラック企業かどうか決める基準は「本人がそう感じるか」
転職活動をしていれば、誰もが気になるその会社の評判。読者の方も一度は、実際の社員によるクチコミや、ブラック企業ランキングなどのサイトを参照した経験があるのではないだろうか。
「ブラック企業」というキーワードは、好奇心と共感を呼び、広く浸透した。聞けば誰もが、「給料が安い」「残業代が出ない」「仕事内容が」「経営者が横暴」「体を壊すほど激務」などの過酷な労働環境を連想するはずだ。
キャリア教育プロデューサーであり、ブラック企業アナリストの肩書きを持つ新田龍さんは、ブラック企業をテーマにした、『人生を無駄にしない会社の選び方』(日本実業出版社)を2009年10月に上梓。同著で新田さんは、ブラック企業を「働いても報われない会社」と定義している。
「報われない」とは主観的な表現だが、それもそのはず、ブラック企業か否かの基準は「本人次第」だというのだ。
「私自身、『ブラック企業ランキング』に殿堂入りするような企業で働いた経験があります。しかし、過酷な労働環境で実感させられたわけではなく、あとから知らされて『え、うちの会社、ブラック企業だったの?』というくらいでした。その企業に入ったのは、短い期間に濃い経験をしたかったからです。たしかに激務でしたが、目的を持って主体的にその会社を選んだので、入社後に後悔することはありませんでした。
人は同じ経験をしても、同じ感じ方をするわけではありません。誰かにとってブラック企業でも、ほかの人にとっては違うかもしれない。だから、ブラック企業の基準は、本人がそう感じるかどうかなのです」
新田さんは他称「ブラック企業」で経験を積み、33歳にして2つの会社の経営者となった。キャリアをテーマに、大学講師も務めている。
「本人次第」の意味は、適性の意味もある。たとえば、老舗大企業からベンチャー企業に転職した場合、トップダウンの組織や仕事の負荷、整わない福利厚生・社内制度に対して、「ブラックだ」と感じることもある。一方で、大企業のルールに肌が合わず、ベンチャーでなければという人もいるはずだ。
「もちろん、本当にひどいブラック企業は改善されなければなりません。そうした企業は、経営者に責任があります。けれど、世の中に完璧な企業はありません。自分が決めて入社したはずの会社に対して、粗探しして文句ばかり並べている人もいます。いま所属している企業がブラックだと感じている人は、その中でも学べそうなこと、楽しめそうなことにフォーカスして、それらを発見していくことから始めましょう」
■ブラック企業なのか、調べつくしてから入社せよ
新田さんは、ブラック企業という言葉が浸透し、情報を得る手段はいくつもあるなかで、それでもブラック企業に入社してしまうのには、いくつかの理由があるという。
「まずは転職活動の妥協ですね。なかなか決まらなくて疲れ、『もうここでいいや』と妥協する。気持ちはよくわかるんですが、やはり、納得できるまで続けないとブラック企業入りしてしまう」
また、情報収集の量とそれに対する判断の甘さも一因だ。企業の自社サイトはもちろん、転職サイトに掲載される企業情報はいわば広告だ。その企業の長所を強調して作られており、客観的な情報ではない。
その逆も然り。巷ではブラック企業の烙印を押されていたとしても、ある人には学びの環境になるかもしれない。そうとは知らず、どこの誰が書いたともわからない情報に踊らされては、せっかくのチャンスが台無しだ。
新田さんは、もっとも効果的な情報収集の方法として、「面談」を勧める。
「応募先の社員がどう感じているかはもちろん、ライバルとなる同業他社が、その企業をどう評価しているか。本来ならここまで調べつくして欲しいと思います」
■条件は平等でなくても、あきらめずに努力を続けるべき
妥協することなく、自分にとって最適の環境を求め続けるのが、大事なのはわかる。しかし、学歴差別やコネクションなど、皆が同じスタートラインに立っているわけではない。
「たしかに、たとえば慶応義塾大学の学生は、新卒採用市場で評価が高いです。それは、高学歴だからではなく、ゼミ活動等によって、社会人としてのコミュニケーション慣れを しているから。また、そうした環境が自信を生み、好循環を呼ぶのは確かです。
でも、『自分は高学歴ではないからどうせダメだ」と努力することをあきらめたら、ますます差がついてしまう。それに、ちゃんとした人事担当者は学歴以外の部分も見ているものですよ」(次ページへ続く)
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