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成熟に背を向ける森田芳光監督が語る「お金と映画」にまつわる本当のところ

2009年10月29日15時10分 / 提供:日刊サイゾー

日刊サイゾー
成熟に背を向ける森田芳光監督が語る「お金と映画」にまつわる本当のところ
 実家を担保に自らの手で製作費3,000万円を用意し、商業デビュー作『の・ようなもの』(81)で映画界に斬り込んでいった森田芳光監督。その後は『家族ゲーム』(83)、『それから』(85)、『(ハル)』(96)、『阿修羅のごとく』(03)、『間宮兄弟』(06)......とその時代の空気を鮮やかに写し取った意欲作を放ち続けている。小雪主演の最新作『わたし出すわ』は、ネット時代の人間関係を先取りした『(ハル)』以来となるオリジナル作品。"お金"をテーマにしながらも、初期の森田作品を彷彿させる不思議な味わいのあるものとなっている。今や日本映画界を代表する"大監督"である森田監督が、お金のこと、そして日本映画界の今後について忌憚なく語り倒した。

──『わたし出すわ』、面白かったです。『失楽園』(97)以降、原作ありきが続いていましたが、久々に森田監督らしさに溢れた作品だなと感じました。

「ありがとうございます。まぁ、いつも"らしい"作品を撮ってきたつもりですけどね(笑)」

──M・ナイト・シャマラン監督ばりにミステリアスな展開、その上で森田監督ならではのユーモアがまぶしてある。森田監督としては、「予算さえあれば、シャマラン監督より面白い作品を撮ってやるぜ」という心持ちでしょうけど。

「ははは、本音を言ったらね(笑)。まぁ、今回の『わたし出すわ』というタイトルは、デビュー作の製作費を自分で用意したボクの頭の中にずっとあった言葉なんです。『製作費、わたしが出しましょう』と名乗り出てくれる人物が現われないかなぁといつも思っているわけですよ(苦笑)。映画業界では、予算と作品の質の関係、新しい才能への投資など常にお金の問題が付いて回りますからね」

──デビュー作『の・ようなもの』は、料亭だった渋谷円山町の実家と土地を担保にして、製作費3,000万円を自分で集めたんですよね。

「はい、でもお金を集める苦労よりも、8ミリしか撮ったことのない素人がどうやって35ミリの作品を撮ればいいのかというノウハウの問題のほうが大きかった。役者さんにギャラをどれだけ払えばいいのかも分からなかった。そこで知人を通して、セントラル・アーツの黒澤満プロデューサーに予算表を作ってもらったんです。それで3,000万円で、どうやれば映画を作ることができるか仕組みが分かったんです。黒澤さんには今回、エグゼクティブスーパーバイザーとして参加してもらっています。また、一緒に仕事ができたことを黒澤さんも喜んでくれています。そういう意味でも『わたし出すわ』は、ボクにとってゼロに戻ったような作品かもしれません」

──テレビ局とタイアップして、公開直前にテレビで大量露出し、公開第1週の観客動員の数字を残す(上映日数を決める判断データとなる)ことを狙った映画ではありませんね。

「そういう映画とは正反対の作品です。もちろん、そういう映画もあっていいとは思いますが、せっかくのオリジナル作品なんで、敢えてそういう作品を狙ってみたんです。カウンターカルチャーっぽくていいだろう、とね」

──貨幣そのものには価値はないはずなのに、今は拝金主義の時代。そんな現代社会に一石を投じる映画です。

「この間、NHKのドキュメンタリー番組を見ていたんです。ITバブルで羽振りのよかった人たちが不景気になって、すべてを失ったわけです。その人たちが『友達がいなかった』と言っていたのが印象的だった。シビアな言葉だなぁと思いましたね。すでに脚本を仕上げた後でしたが、本作が言いたいことも同じなんです。ヒロインの摩耶(小雪)は東京で大金を手に入れて故郷の函館に戻ってくるが、別に贅沢をするわけでもないので、お金の使い道がない。病気の母親に厚生省の認可が下りてない最新の治療を受けさせるぐらい。そんな時、高校時代の友達が自分に掛けてくれた言葉を思い出して、みんなに会いに行くわけです。『わたし、お金を出すわ』という台詞よりも『会いたかった』という台詞のほうが重たいんです。そんな一種の寓話を撮ってみたかった。堀江貴文さんなんかを見ていても、一時期は時代の寵児ともてはやされ、でも事件になると人がさ〜と引いていく。そういう時に頼りたくなるのは、学生時代の思い出だったり、肉親なんじゃないかと思うんですよ」
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映画  森田芳光  わたし出すわ  SOUL RED  小雪  
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