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反省すべきは?
2009年10月22日18時33分 / 提供:法医学者の悩み事
DNA鑑定検証へ 録音テープ提出も命令 菅家さん再審(2009年10月22日朝日新聞)>>>>>>>>>>>>>
90年に栃木県足利市で当時4歳の女児が殺害された「足利事件」の再審で、宇都宮地裁(佐藤正信裁判長)は21日、無期懲役刑が確定した菅家利和さん(63)を有罪とする決め手となった警察庁科学警察研究所(科警研)のDNA型鑑定が誤りだったかどうかを検証するため、専門家の証人尋問を行うことを決めた。菅家さんが取り調べの際に「自白」した様子を録音したテープの提出も検察側に命じた。
この日午前から開かれた初公判で、菅家さんは「冤罪に苦しむ人が二度と生まれないよう、十分な証拠調べを行って事件の真実を明らかにし、私の納得のいく無罪判決を下していただきたい」と述べた。弁護側は午後に行った冒頭陳述で、有罪認定の根拠となった科警研の鑑定と捜査段階の菅家さんの「自白」を証拠から排除するよう要求。そのうえで、この二つの証拠の誤りを解明するための証拠調べを求めた。
一方、検察側は冒頭陳述で「早期に無罪の言い渡しを受けるべきだ」と表明。証拠調べに消極的な姿勢を示した。
佐藤裁判長は合議のうえ、再審が始まるきっかけとなったDNA型再鑑定を実施した鈴木広一・大阪医大教授と、本田克也・筑波大教授を証人として採用。11月24日に予定されている次回公判で証人尋問を行うことを決めた。
また、再鑑定の中で科警研の誤りを指摘した本田教授の鑑定に反論する意見書を地裁に提出した福島弘文・科警研所長についても今後の公判で証人採用し、尋問する方針を示した。
テープや捜査段階での供述調書など、菅家さんの「自白」についての証拠については、検察側が「必要がない」と主張。佐藤裁判長は証拠採用するかどうか検討するため、テープなどの提出を検察側に命じた。(河原田慎一)
「検察、絶対許さぬ」菅家さん冤罪の傷深く(2009年10月22日 読売新聞)>>>>>>>>>>>>>
証拠請求の多くが認められ「予想以上」と喜ぶ弁護団の笑顔と対照的な厳しい表情――。
宇都宮地裁で21日に始まった足利事件の再審初公判。閉廷後の記者会見で、菅家利和さん(63)は最後まで笑みを見せず、「絶対に許せない」と、自白を強要した検察官へのいまだに消えない怒りを口にした。事件の真相がどこまで解明されるか注目される再審裁判だが、冤罪(えんざい)被害者が受けた〈傷〉の深さが改めて浮き彫りとなった。
◆弁護団は証拠調べ「評価」◆
「弁護側として非常に高く評価できる公判だった」
栃木県庁で午後5時過ぎから行われた弁護団の会見。佐藤博史弁護士は、隣に座る菅家さんに笑顔を向けたが、菅家さんは小さくうなずいただけで、厳しい表情を崩さなかった。
弁護団は、佐藤正信裁判長が謝罪などの意思があることを示した点を、「予想以上」と評価。弁護側の推薦人としてDNA再鑑定を行った本田克也・筑波大教授の証人尋問が認められた点や、弁護側が証人尋問を求めていた福島弘文・科学警察研究所(科警研)所長に対し、検察側も証人請求したことについても、「予想外」という言葉を連発して喜びを表現した。
だが、笑みがこぼれる弁護団と対照的に、菅家さんは時折うつむき、唇をかみしめていた。入廷前は、「頑張ってみます」と笑顔を見せたが、約7時間に及ぶ公判を経て臨んだ会見での表情は終始、硬かった。
菅家さんは、1審以来となる宇都宮地裁の感想を求められると、「(当時は)最初から最後まで犯人扱いされた。胸くそが悪かったのを思い出した」と怒りをあらわに。自白を迫った検察官に質問が及ぶと、「今、一番許せないのは検察官」と語気を強め、「絶対に許さない」と、机をたたきながら声を荒らげた。
一方、検察側は閉廷後、宇都宮地検の高崎秀雄次席検事が報道陣の取材に応じ、検察側が不要と主張した弁護側の証拠請求が採用されたことについて、「裁判所が判断されること。コメントは差し控える」と淡々と語った。
公判では、佐藤裁判長のほか、検察側も冒頭陳述で「菅家さん」と呼んだ。高崎次席検事は「迷惑をかけたという認識があり、人道的な観点からも『菅家さん』とした」と説明した。
◆獄中の手紙朗読に涙◆
「誤解を払いたい」「みんなに会いたい」「面会に来てほしい」――。午後の公判では確定審の証拠調べが引き続き行われ、菅家さんが獄中から家族に送った14通の手紙が朗読された。
菅家さんは、弁護側の主張を真っ向から否定する検察側の発言に、時折、厳しい視線を投げかけていたが、身の潔白を訴える自らの手紙が読み上げられると、眼鏡を外し、涙がこぼれる顔を手で覆った。
この日、じっと法廷でのやりとりに耳を傾けていた菅家さんが、突然、発言を求めたのは公判終了間際。佐藤正信裁判長が、当時の取り調べ検事の証人尋問に触れないまま閉廷を告げた時、手を挙げ、裁判長が許可する間もなく立ち上がった。「(当時の)検事を出廷させて下さい」。強く訴える菅家さんに、佐藤裁判長は少し驚いた表情を見せ、「意見として記録します」と答えて閉廷した。
日本国憲法第38条には、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。2 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない」
とある。このような素晴らしい憲法があるのに、実際にやってきたことは、それと正反対ではなかったか。お上の権威を見せつけることで、自白させる手法は江戸時代からの由緒正しい捜査方法といえるかもしれない。お上の権威は崩してはならないので、ミスがあっても、刑事訴訟法の情報非開示に関しての条文をいいことに、ミスを隠ぺいしているようにも見える。
この事件、警察の自供に頼った捜査手法、科学的検証方法と警察、検察との関係など、反省し、改善する一つの機会とすべきだろう。自供への依存度を下げるには、科学的検証の積み重ねや、捜査の可視化など様々な施策が必要だろう。科学警察研究所、科学捜査研究所の在り方や、法医学研究所という形態になれない法医学の現状など問題は山積だ。
一方、反省すべきは、警察だけではないだろう。菅谷さんは、検察を絶対に許さないというが、検察、裁判所にも反省すべき点があるのではないかと思われる。
彼らは、1例1例を丁寧に処理しているのだろうか、時々心配に感じる。単に、雰囲気とか、流れとか、そんなものだけで、起訴したり、判決を出したりしてはいまいか。
検事には、起訴する権利が独自にあり、裁判官も独立して判断する建前はいいのだが、独立している割に有罪率が高すぎるということにも違和感を感じる。有罪率の高さの背景には、起訴便宜主義があるという。検事の裁量で起訴不起訴を決め、無駄な裁判はやらないという起訴便宜主義は日本の自慢の制度だが、この制度を本当によい制度にするのなら、起訴・不起訴の決定前の、科学的検証を相当しっかり行ったり、警察から送られてきた証拠の確からしさを相当吟味しなければいけないはずだ。しかし、そのような努力は本当にしているのだろうか。有罪率の高さを見ていると、裁判所が、検察の権威を保つようアシストすべく、オートマチックに判断しているのではないかとの疑念も出てくる。さんな体たらくでの起訴便宜主義は、江戸時代のお裁きとなんら変わらないわけだが、はたしてそれでいいのだろうか。
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