全国で市民病院問題が噴出している。すでに廃止を決めた自治体、大幅な規模縮小を図る自治体がある。そんな中、民間移譲での再生を企画、自ら再選挙に打って出ることで信を問い、強力に改革を進めているのが樋渡武雄市長だ。その革新的な改革プロセスを紹介する。




第3回 
「解けた誤解、そして未来へのスタート」


■人は見えるモノでしか判断しない

「最初は圧勝すると思っていました。でも、確信は途中からどんどんもろくなっていきました。もっとも、さすがに負けるとまでは最後まで考えませんでしたけれど」

再選挙の結果、2800票の差がついて樋渡氏は再選される。投票率は年末の慌ただしい中にもかかわらず実に70%にも上った。いかに市民の関心が高まったかが伺える数字だ。当然、町は真っ二つに割れた。

「前市長が出馬して何を言ったとしても理はこちらにある。そう信じていたんですが、向こうもうまかったね。あの市民病院を、樋渡さんはなくそうとしている、この一点張りでアピールしてきましたから。市民病院は誰の目にもはっきりと姿が見える存在じゃないですか。それがなくなる、これはえらいことだ。そんな連鎖反応が起こったんです」

樋渡氏の愛読書『ローマ人の物語』でカエサルは「人は見えるモノでしか判断しない」と述べている。目に見えている市民病院がなくなる事態に対して市民が抱いた危機感を、まだ計画段階でしかない新病院がもたらすメリットで説得することは困難を極めたのだ。とはいえ、結果的に軍配は樋渡氏に上がる。

「町が二分されたことについては、僕も責任を感じました。だから選挙が終わって一番に医師会に頭を下げに行ったんです。これから医師会と連携していくことが、市民の命を守るために何より大切だから。地元の医療機関とうまく連携できてはじめて、民間移譲は回っていくんです」


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