山口利昭 法律事務所代表弁護士。
ガバナンス評価委員会の威力が発揮されたのか?
2009年10月21日02時27分 / 提供:ビジネス法務の部屋
名古屋市に本社を置く佐藤食品工業(新潟市のサトウ食品ではございません)の監査役3名は、同社元取締役ら6名を相手取って損害賠償請求訴訟を提起することを(監査役会で)決定したそうであります。(当社元取締役らに対する損害賠償請求訴訟提起にかかる監査役会決議のお知らせ)今年8月に、同社の一般株主より監査役に対して「当社取締役らの経営判断には、会社に損害を与えたことについて善管注意義務違反が認められるので、会社として損害賠償請求訴訟を提起されたい」との提訴請求がされていたようです。そこで監査役らは、今年初めに倒産した親会社のCP、社債を(その安全性について十分な検討をすることなく)同社が購入していたことについて、取締役らには法的に問題のある行為があった(善管注意義務違反があった)として、役員個人らによる賠償責任を追及することを決議した、とのこと。なお、佐藤食品工業さんには、もともと4名の監査役さんがいらっしゃったようですが、リリース直前に元常勤監査役の方は「一身上の都合」により辞任されておられるようですので、実質的には弁護士、税理士、元みずほインベスターズ証券代表者ら社外監査役3名で責任追及を決議されたようであります。(元常勤監査役さんとしては、被告である取締役の方々とは旧知の仲でしたので、監査役として責任追及することは忍びないことだったのかもしれません)いずれにしましても、株主からの提訴請求を受けて、監査役さん方が自ら会社を代表して取締役らの責任追及訴訟を提起することは非常に珍しいケースであります。
問題は、一般的にみればなかなか動かない監査役さんが、どうして株主からの提訴請求に応じたのか・・・という点であります。佐藤食品工業さんの余剰資金運用のため、56億円もの資金をSFCGグループのCP・社債購入に充当したことにつきましては、その当否判断は取締役会の書面決議をもって審議していたようでありまして、もともとそのころから監査役らは書面決議が不適切であるとして問題を指摘しておられたようです。(社内調査委員会報告書 参照)しかしながら、そういった監査役らの意見を無視して、書面決議をもって重要な財産の処分を決めてしまっていたわけですから、ひょっとすると社外監査役らの一存で元取締役らへの提訴を決意したのかもしれません。また、ずさんな資金運用に関する問題発覚後(2009年3月期45億円の特損計上)に、社内調査委員会を立ち上げて(といっても、社外の専門家が加入しているもの)、詳細な調査報告書が提出されておりまして、そのなかで経営判断に関する法律問題にまで踏みこんだ意見がリリースされておりますので、これを根拠として提訴に踏み切ったものとも思われます。
ただ、社外監査役(いずれも60代から70才代の方々ばかりです)の方々の提訴決議について、もっとも大きな影響を与えたのは、ガバナンス評価委員会の存在ではないでしょうか。この委員会は、問題発覚後に組織されたものでありますが(ガバナンス体制の強化について)、今後の取締役、監査役らの権限行使の在り方について厳格にチェックすることが目的・・・とされております。(しかも委員のメンバーは錚々たる法律・会計の専門家の方ばかりですね)50億円もの会社の損害金について、元取締役ら個人においてどの程度の回収が可能であるのか不明ではありますが、ここで過去の親会社との利益相反的取引を清算するべく、毅然として監査役としての権限行使を決意したものと思われます。そこにガバナンス評価委員会の存在意義があるのかもしれません。ガバナンス評価委員会そのものがガバナンスを構成するひとつになってしまっているのかもしれませんね。(このあたりは、また当事者に近い方々のご意見を一度聞いてみたいものであります。)
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問題は、一般的にみればなかなか動かない監査役さんが、どうして株主からの提訴請求に応じたのか・・・という点であります。佐藤食品工業さんの余剰資金運用のため、56億円もの資金をSFCGグループのCP・社債購入に充当したことにつきましては、その当否判断は取締役会の書面決議をもって審議していたようでありまして、もともとそのころから監査役らは書面決議が不適切であるとして問題を指摘しておられたようです。(社内調査委員会報告書 参照)しかしながら、そういった監査役らの意見を無視して、書面決議をもって重要な財産の処分を決めてしまっていたわけですから、ひょっとすると社外監査役らの一存で元取締役らへの提訴を決意したのかもしれません。また、ずさんな資金運用に関する問題発覚後(2009年3月期45億円の特損計上)に、社内調査委員会を立ち上げて(といっても、社外の専門家が加入しているもの)、詳細な調査報告書が提出されておりまして、そのなかで経営判断に関する法律問題にまで踏みこんだ意見がリリースされておりますので、これを根拠として提訴に踏み切ったものとも思われます。
ただ、社外監査役(いずれも60代から70才代の方々ばかりです)の方々の提訴決議について、もっとも大きな影響を与えたのは、ガバナンス評価委員会の存在ではないでしょうか。この委員会は、問題発覚後に組織されたものでありますが(ガバナンス体制の強化について)、今後の取締役、監査役らの権限行使の在り方について厳格にチェックすることが目的・・・とされております。(しかも委員のメンバーは錚々たる法律・会計の専門家の方ばかりですね)50億円もの会社の損害金について、元取締役ら個人においてどの程度の回収が可能であるのか不明ではありますが、ここで過去の親会社との利益相反的取引を清算するべく、毅然として監査役としての権限行使を決意したものと思われます。そこにガバナンス評価委員会の存在意義があるのかもしれません。ガバナンス評価委員会そのものがガバナンスを構成するひとつになってしまっているのかもしれませんね。(このあたりは、また当事者に近い方々のご意見を一度聞いてみたいものであります。)
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