山口利昭 法律事務所代表弁護士。
株主総会の議決結果、賛否票数開示義務化?
2009年10月15日15時21分 / 提供:ビジネス法務の部屋
(TYさんのコメントを受けて、若干トーンダウンした内容にしております。さすが「BLOGOS」の編集者の方も、そのあたりを意識してか、私のブログのタイトルが修正してある・・・・・笑 いやいや、ホント実名ブログってコワイですね。。。汗)
10月14日の日経朝刊の記事によりますと、東証は株主総会の議決結果について、可決・否決の結果だけでなく、賛否票数まで公表するよう上場会社に要請する方針である、と報じられております。(来年6月の株主総会から実施を求める方針、とのこと)ただし、「要請」とありますが、義務とするのか、努力義務、とするのかはよくわかりません。
今年6月17日にリリースされた金融庁スタディグループ報告(〜上場会社等のコーポレート・ガバナンス強化に向けて〜)でも「議決権の行使を通じた適切なガバナンスの発揮」の一環として「上場会社等による株主総会議案の議決結果の公表」として賛否票数の開示が速やかに実行されるべき・・・と提言されており、これを受けた東証「上場整備プログラム2009」のなかでも「速やかに実施されるべき事項」として含まれておりました。なお、2009年の株主総会でも、議案への株主の賛否公表企業は31社(2008年は4社 大和総研さんの調査による)と大幅に増えておりますので、議決結果の賛否票数開示の流れは予想通りのところかもしれません。
ただ、この記事では「前日までの議決権の書面行使に関する結果の公表」なのか、「当日の株主総会の場における出席株主の議決権行使結果までの公表」なのかは定かではありません。たしかに投資家(株主)に対して透明性の高い経営を促す、という趣旨からすると、総会当日における議決権行使の結果までを(後日WEB上にて)開示することまでを要請することが妥当ではありますが、前記金融庁スタディグループでも議論されていたところですが、当日出席株主の賛否票数の開示となりますと、その迅速かつ正確な集計は非常にしんどい作業を伴うところであります。(たとえば先に書面で行使したり、ネットで議決権を行使した人が、委任状を渡して代理出席したり、本人自ら出席してきた場合の確認作業や、議案に対する修正動議がなされた場合の議決権行使書面による投票者の賛否の解釈など。まあ、現実には株主提案権が通りそうな株主総会では、実際に当日の集計作業までやっているわけですから、やれないわけではないとは思いますが・・・・・)また、前記スタディグループ報告でも、とりあえず前日までの議決結果の公表だけでも意味がある・・・との記載がなされており、当日の賛否票数まで集計することまで絶対に必要とまでは求められていないニュアンスが感じられます。
いっぽう、以前にも述べました通り、経営者と株主との対話を促進し、株主への説明責任を尽くすための「賛否票数の開示制度」ということであれば、前日までの議決結果の公表ということになりますと、たとえば大株主の議決権(10%)について包括委任状をとりつけている場合(たとえば当日の手続き的動議がなされた場合に備えて)とか、取締役たる創業者が当日出席株主として名を連ねているケースでは、(それらの票数が前日までの行使結果には含まれておりませんので)真実の議決結果の開示とは言えないはずであり、透明性を向上させるために説明責任を尽くした・・・とは言えないことになりそうです。
私が情報に疎いだけかもしれませんが、もし当日出席株主の賛否票数まで開示する・・・ということになりますと、株主総会決議取消事由が発生しないよう、それなりの準備が必要かと思います。私がいつも参考にさせていただいている「株主総会ハンドブック」(商事法務)あたりにも、このへんの対策は記述されていないようですが、三菱UFJ信託に在籍されていた中西先生(現 同志社大学教授)の「株主総会と投票の実務」(商事法務1,600円 税別)は、このあたりの投票実務の事務手続きをかなり詳細に解説しておられますので、参考になろうかと思います。(中西先生は、当然のこととして、当日の賛否票数も開示すべきである・・・との立場で執筆されているようですね。最近活用実績が伸び悩んでいるとされるプラットフォーム制度や、これからの電子株主総会の可能性などにも言及されており、コンパクトな本ですが、株式実務にとっては貴重な一冊であります。)
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10月14日の日経朝刊の記事によりますと、東証は株主総会の議決結果について、可決・否決の結果だけでなく、賛否票数まで公表するよう上場会社に要請する方針である、と報じられております。(来年6月の株主総会から実施を求める方針、とのこと)ただし、「要請」とありますが、義務とするのか、努力義務、とするのかはよくわかりません。
今年6月17日にリリースされた金融庁スタディグループ報告(〜上場会社等のコーポレート・ガバナンス強化に向けて〜)でも「議決権の行使を通じた適切なガバナンスの発揮」の一環として「上場会社等による株主総会議案の議決結果の公表」として賛否票数の開示が速やかに実行されるべき・・・と提言されており、これを受けた東証「上場整備プログラム2009」のなかでも「速やかに実施されるべき事項」として含まれておりました。なお、2009年の株主総会でも、議案への株主の賛否公表企業は31社(2008年は4社 大和総研さんの調査による)と大幅に増えておりますので、議決結果の賛否票数開示の流れは予想通りのところかもしれません。
ただ、この記事では「前日までの議決権の書面行使に関する結果の公表」なのか、「当日の株主総会の場における出席株主の議決権行使結果までの公表」なのかは定かではありません。たしかに投資家(株主)に対して透明性の高い経営を促す、という趣旨からすると、総会当日における議決権行使の結果までを(後日WEB上にて)開示することまでを要請することが妥当ではありますが、前記金融庁スタディグループでも議論されていたところですが、当日出席株主の賛否票数の開示となりますと、その迅速かつ正確な集計は非常にしんどい作業を伴うところであります。(たとえば先に書面で行使したり、ネットで議決権を行使した人が、委任状を渡して代理出席したり、本人自ら出席してきた場合の確認作業や、議案に対する修正動議がなされた場合の議決権行使書面による投票者の賛否の解釈など。まあ、現実には株主提案権が通りそうな株主総会では、実際に当日の集計作業までやっているわけですから、やれないわけではないとは思いますが・・・・・)また、前記スタディグループ報告でも、とりあえず前日までの議決結果の公表だけでも意味がある・・・との記載がなされており、当日の賛否票数まで集計することまで絶対に必要とまでは求められていないニュアンスが感じられます。
いっぽう、以前にも述べました通り、経営者と株主との対話を促進し、株主への説明責任を尽くすための「賛否票数の開示制度」ということであれば、前日までの議決結果の公表ということになりますと、たとえば大株主の議決権(10%)について包括委任状をとりつけている場合(たとえば当日の手続き的動議がなされた場合に備えて)とか、取締役たる創業者が当日出席株主として名を連ねているケースでは、(それらの票数が前日までの行使結果には含まれておりませんので)真実の議決結果の開示とは言えないはずであり、透明性を向上させるために説明責任を尽くした・・・とは言えないことになりそうです。
私が情報に疎いだけかもしれませんが、もし当日出席株主の賛否票数まで開示する・・・ということになりますと、株主総会決議取消事由が発生しないよう、それなりの準備が必要かと思います。私がいつも参考にさせていただいている「株主総会ハンドブック」(商事法務)あたりにも、このへんの対策は記述されていないようですが、三菱UFJ信託に在籍されていた中西先生(現 同志社大学教授)の「株主総会と投票の実務」(商事法務1,600円 税別)は、このあたりの投票実務の事務手続きをかなり詳細に解説しておられますので、参考になろうかと思います。(中西先生は、当然のこととして、当日の賛否票数も開示すべきである・・・との立場で執筆されているようですね。最近活用実績が伸び悩んでいるとされるプラットフォーム制度や、これからの電子株主総会の可能性などにも言及されており、コンパクトな本ですが、株式実務にとっては貴重な一冊であります。)
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