【福永泰のスロー解析】山田直輝の“パス”
カメラマンが撮影した膨大な試合写真のストックの中から、現在のレッズを象徴する印象的な連続写真を選び出し、元浦和レッズの福永泰氏がそのプレーを徹底的に解説。試合中に起こったほんの一瞬の出来事を連続写真であらためて見てみると、想像もしなかったさまざまな事象が浮かび上がってくる。今月の写真からはいったい何が明らかになるのだろうか?
迷わずにスタートを切りそれを持続する有効性
―今回は山田直輝選手についてお聞きしたいと思います。やはり直輝選手の欠場が結果に響いているようですが、福永さんはどのように見ていますか?
「ここまでを総括すると、チーム全体を動かす起爆剤のような働きをしてくれています。彼がピッチにいれば連動感が生まれる。わずかなスペースを見つけて迷わずに飛び出してくれるから、周囲の選手が次のスペースを見つけやすいんですね。汗かき役がいると、チーム全体が活性化することが分かったと思います」
―以前にもお聞きしましたが、やはり最大の特長は走力を最後まで維持し続ける力にありますか?
「そうですね。最も評価されるべきは〝動き続けられる〞部分だと思います。タイプとしてはかつて日本代表で同じような役割を担った森島寛晃選手に近い」
―〝動き続けられる〞ことが評価される理由は、具体的にはどういった点なのでしょうか?
「現役時代の僕自身もそうだったのですが、一般的には『無駄走りをしたくない』と考えるのが普通(笑)。つまり、走り出す前にそれが有効なのかどうかを考えてからスタートを切る。でも、直輝の場合はそこに迷いがない。しかもそれを90分間続ける持続力があるわけですから、必然的に有効なダッシュの回数も増えるわけです。彼自身が自分のそういった特長を理解しているからこそ、迷わずに走れる。アグレッシブに、能動的な動きを持続できるという点はやはり評価されるべきだと思いますね」
―実質的には今シーズンが1年目ということになりますが、技術的にも十分に通用すると言えそうですね。
「もちろんです。若手は試合に〝入り込む〞ことに苦労するんですが、直輝には、自分でリズムをつくってそこに周囲を引き込む力がある。技術的にも申し分ありません。次のプレーにつながるファーストタッチを心掛けているし、判断ミスが本当に少ない。直輝を見ていると、ボールを受ける前に何回も首を振って周囲の状況を確認していることが分かります。準備を徹底しているからミスが少ないし、相手にとってはすごく嫌なタイプだと思いますよ」
―ダイレクトプレーで決定的なチャンスをつくるシーンもかなり多いように感じます。
「体が小さいので、相手との接触を極力避けるプレーが求められると思います。そのための準備であり、結果としてダイレクトプレーが増えることで相手のコンタクトを避けることができる。極端に言えば、日本サッカーが国際舞台で通用するためのヒントになると思います」
―福永さんの印象では、どのあたりから直輝選手がチームに不可欠な存在になったとお考えですか?
「決定的だったのはリーグ第4節の大分戦ですね。この試合で見せたパフォーマンスは強く印象に残っています。それまでは〝十分にやれる〞という印象だったのですが、この試合で〝これはヤバいな〞という印象に変わりました(笑)。好不調の波が少ないし、相手に左右されない。ポジションにも影響されませんよね。それはやっぱり、常にアクションを起こしているからだと思います」
―今回の写真はリーグ第20節清水戦での直輝選手のパスです。
「直輝のパスの特徴は、それが常に〝一方通行〞で終わらないということですね。パスの出し手としての仕事を終えたらすぐに、今度は受け手になる。絶えずパスアンドゴーを徹底しているので、最初の受け手となった選手には常に二つ以上の選択肢があるわけです。それに、10メートル以内のパスの精度が非常に高く、常にメッセージがこめられている。だから、おそらく直輝からパスを受けた選手は極端にミスが少ないんじゃないかなと。シンプルに次のプレーを選択できるパスだと思いますね」
―改善すべき点、今後もっと伸ばしてほしい点はありますか?
「得点力ですね。決定力があればもう一段階上のステージに上がれる。磐田時代の藤田俊哉さんのような存在になってくれれば、レッズの未来も彼自身の未来も明るい気がします。今後は、ゴールに直結する動きに期待したいですね。サイドではなくゴールへ。最大の特長である動き出しの質をさらに高めることが今後の課題だと思います」
福永 泰 Yasushi FUKUNAGA
1973年3月6日生まれ。東京都出身。172cm、64kg。FC町田→桐蔭学園高→青山学院大→浦和(95〜2001年)→仙台(02〜04年)。95年、浦和にトレーニー契約で加入。たぐいまれなスピードとテクニックがオジェック監督の目にとまり正式契約を結ぶ。FWからボランチまでこなせる万能選手として活躍。背番号10を付け、サポーターに愛された。現在はサッカー解説者、青山学院大体育会サッカー部コーチ、ミスマガジンフットサルチームの監督として活動。福永泰フットサルクリニックをSALU西浦和とSALU和光成増で開催中(http://futsalpoint.net/)。
迷わずにスタートを切りそれを持続する有効性
―今回は山田直輝選手についてお聞きしたいと思います。やはり直輝選手の欠場が結果に響いているようですが、福永さんはどのように見ていますか?
「ここまでを総括すると、チーム全体を動かす起爆剤のような働きをしてくれています。彼がピッチにいれば連動感が生まれる。わずかなスペースを見つけて迷わずに飛び出してくれるから、周囲の選手が次のスペースを見つけやすいんですね。汗かき役がいると、チーム全体が活性化することが分かったと思います」
―以前にもお聞きしましたが、やはり最大の特長は走力を最後まで維持し続ける力にありますか?
「そうですね。最も評価されるべきは〝動き続けられる〞部分だと思います。タイプとしてはかつて日本代表で同じような役割を担った森島寛晃選手に近い」
―〝動き続けられる〞ことが評価される理由は、具体的にはどういった点なのでしょうか?
「現役時代の僕自身もそうだったのですが、一般的には『無駄走りをしたくない』と考えるのが普通(笑)。つまり、走り出す前にそれが有効なのかどうかを考えてからスタートを切る。でも、直輝の場合はそこに迷いがない。しかもそれを90分間続ける持続力があるわけですから、必然的に有効なダッシュの回数も増えるわけです。彼自身が自分のそういった特長を理解しているからこそ、迷わずに走れる。アグレッシブに、能動的な動きを持続できるという点はやはり評価されるべきだと思いますね」
―実質的には今シーズンが1年目ということになりますが、技術的にも十分に通用すると言えそうですね。
「もちろんです。若手は試合に〝入り込む〞ことに苦労するんですが、直輝には、自分でリズムをつくってそこに周囲を引き込む力がある。技術的にも申し分ありません。次のプレーにつながるファーストタッチを心掛けているし、判断ミスが本当に少ない。直輝を見ていると、ボールを受ける前に何回も首を振って周囲の状況を確認していることが分かります。準備を徹底しているからミスが少ないし、相手にとってはすごく嫌なタイプだと思いますよ」
―ダイレクトプレーで決定的なチャンスをつくるシーンもかなり多いように感じます。
「体が小さいので、相手との接触を極力避けるプレーが求められると思います。そのための準備であり、結果としてダイレクトプレーが増えることで相手のコンタクトを避けることができる。極端に言えば、日本サッカーが国際舞台で通用するためのヒントになると思います」
―福永さんの印象では、どのあたりから直輝選手がチームに不可欠な存在になったとお考えですか?
「決定的だったのはリーグ第4節の大分戦ですね。この試合で見せたパフォーマンスは強く印象に残っています。それまでは〝十分にやれる〞という印象だったのですが、この試合で〝これはヤバいな〞という印象に変わりました(笑)。好不調の波が少ないし、相手に左右されない。ポジションにも影響されませんよね。それはやっぱり、常にアクションを起こしているからだと思います」
―今回の写真はリーグ第20節清水戦での直輝選手のパスです。
「直輝のパスの特徴は、それが常に〝一方通行〞で終わらないということですね。パスの出し手としての仕事を終えたらすぐに、今度は受け手になる。絶えずパスアンドゴーを徹底しているので、最初の受け手となった選手には常に二つ以上の選択肢があるわけです。それに、10メートル以内のパスの精度が非常に高く、常にメッセージがこめられている。だから、おそらく直輝からパスを受けた選手は極端にミスが少ないんじゃないかなと。シンプルに次のプレーを選択できるパスだと思いますね」
―改善すべき点、今後もっと伸ばしてほしい点はありますか?
「得点力ですね。決定力があればもう一段階上のステージに上がれる。磐田時代の藤田俊哉さんのような存在になってくれれば、レッズの未来も彼自身の未来も明るい気がします。今後は、ゴールに直結する動きに期待したいですね。サイドではなくゴールへ。最大の特長である動き出しの質をさらに高めることが今後の課題だと思います」
福永 泰 Yasushi FUKUNAGA
1973年3月6日生まれ。東京都出身。172cm、64kg。FC町田→桐蔭学園高→青山学院大→浦和(95〜2001年)→仙台(02〜04年)。95年、浦和にトレーニー契約で加入。たぐいまれなスピードとテクニックがオジェック監督の目にとまり正式契約を結ぶ。FWからボランチまでこなせる万能選手として活躍。背番号10を付け、サポーターに愛された。現在はサッカー解説者、青山学院大体育会サッカー部コーチ、ミスマガジンフットサルチームの監督として活動。福永泰フットサルクリニックをSALU西浦和とSALU和光成増で開催中(http://futsalpoint.net/)。








