10日の試合で、日本代表がスコットランドに2−0で勝利した。スコットランドは来日メンバー発表後にダレン・フレッチャーやショーン・マロニーといった主力級がずらりと辞退し、2軍チームで臨んできた。そういった状況の試合で、岡田監督がどうチームマネジメントをしていくか、というのに注目したいと香港戦後のコラムで述べたが、結論から言えば、非常に中途半端だったという印象だ。

過密スケジュールとはいえ、ターンオーバー制に近いことをしていたのでは、ナンセンスだ。中1日でもバランスよくまわすことはできるはずだろう。新しい選手を試すには、コアとなるメンバー構成の中に入れて、それも先発で起用して初めて意味がある。
岡田監督は起用した選手それぞれが持ち味を出してくれた、と満足げなコメントを残しているが、確かにこの試合で誰それの動きがよかったとしても、それがチーム全体で考えたときにどう計算できるのかというのが見えてこない。あそこまで初めて組むようなスタメンで臨めば、必然的にチームとしてよりも個人の能力が試されるわけで、2軍のスコットランド相手にそんなことをしてもしょうがないね。

2−0という結果についても、6人交代の試合で、時差ぼけの相手が疲れてくる後半に一気に選手を投入したら、だいたいこういう結果になるのは目に見えている。どういう意図の試合だったかというのが、非常に中途半端だった。

トーゴも、スコットランドと似たような状態だろう。ちゃんとしたメンバーで来ないとなると、単なるノルマ試合に成り下がってしまう。だとしたら、そこは割り切って、興行的に目玉とされる選手、たとえば森本を先発で使うなどするべきだ。そうでないと、興行的にも意味がないものになってしまう。

スコットランド戦が強化試合だと言い張るのなら、あんなメンバーで来日したスコットランドにお金を払うべきではない。明らかな契約違反だろう。これまで何度も言っていることだけど、犬飼会長はナビスコカップや天皇杯のベストメンバーどうこうで騒ぐ前に、スコットランドのようなやり方にきちんとノーを突きつけるべきだ。

このシリーズは、またしても一番搾りではなく、三番搾りになってしまっているね。最近はノンアルコールビールにも力を入れているみたいだけど、この試合も同じだよ。アルコールの入っていないビールみたいなもの。酔えないね。(了)
 

 

セルジオ越後 (サッカー解説者) 

 

18歳でサンパウロの名門クラブ「コリンチャンス」とプロ契約。ブラジル代表候補にも選ばれる。1972年来日。藤和(とうわ)不動産サッカー部(現:湘南ベルマーレ)でゲームメーカーとして貢献。魔術師のようなテクニックと戦術眼で日本のサッカーファンを魅了。1978年より(財)日本サッカー協会公認「さわやかサッカー教室」(現在:アクエリアスサッカークリニック)認定指導員として全国各地青少年のサッカー指導。現在までに1000回以上の教室で延べ60万人以上の 人々にサッカーの魅力を伝えてきた。辛辣で辛口な内容のユニークな話しぶり にファンも多く、各地の講演活動も好評。現在は日光アイスバックス シニアディレクターとしても精力的に活動中

●主な活動 テレビ朝日:サッカー日本代表戦解説出演「やべっちF.C.」「Get Sports」  日本テレビ:「ズームイン!!SUPER」出演中 日刊スポーツ:「ちゃんとサッカーしなさい」連載中 週刊サッカーダイジェスト:「天国と地獄」毎週火曜日発売 連 載中 週刊プレイボーイ:「一蹴両断!」連載中 モバイルサイト FOOTBALL@NIPPON:「越後録」連載中