手塚治虫氏の「MW(ムウ)」に続き、大御所漫画家の大作がまた実写化された。お笑い芸人・庄司智治主演の舞台「漂流教室 〜大人たちの放課後〜」、原作はもちろん楳図かずお氏の「漂流教室」である。

 小学6年生の「高松翔」はささいなことから母親と口げんかをした。腹立ちまぎれに二度と帰ってこないと言い捨てて家を出たが、学校につくと気分が落ち着き始める。『早く帰って、おかあさんにあやまろう』、そう決意した瞬間、大きな揺れが教室を襲った。

 ほどなく揺れは収まったが、教師たちの様子がおかしい。翔が後を追うと、彼らはみな校門の前に呆然と立ち尽くしている。その視線の先には、どこまでも砂漠が続いていた。

 まるで学校を残して世界のすべてが消え去ってしまったかのような光景に子どもたちは大パニック。教師たちは現実を受け入れることができずに精神が崩壊し、ある者は自ら命を絶ち、ある者は同僚を手にかけていった。そして残された子どもたち800人超の、壮絶なサバイバルが始まる。

 この作品は恐怖ものを得意とする楳図氏の手腕が余すところなくふるわれたパニックホラーである。大怪虫、伝染病、正体不明のキノコ、子どもたちに間断なく襲いかかる恐怖。しかしもっとも恐ろしいのは子どもたち自身だ。

 恐怖と混乱から生まれる集団ヒステリー。なんとか助かりたいという思いが狂気となり、かつての仲間に暴力をふるう。ランドセルを背負った子どもたちがお手製の武器で戦う姿はあまりに痛ましく、目を覆いたくなるほどだ。

 登場人物のほとんどが子どもであるからこそ、悲惨さ、残酷さがストレートに胸を打つ。現代ならばけっして少年誌で連載できる内容ではない。この非常にショッキングな作品を、およそ40年前の少年読者はどのように捉えていたのだろうか。

 冒頭でふれた舞台や2002年に放送されたテレビドラマなど、この作品の実写化はおおむね主人公たちの年齢が引き上げられている。確かに原作に忠実にしてしまっては映画「バトル・ロワイアル」以上の社会現象を巻き起こすだろう。

 しかし、設定の変更は逃げではない。少なくともテレビドラマ「ロング・ラブレター〜漂流教室〜」においてはそう感じた。これは高校教師と同僚とのロマンスをからめた、もう一つの漂流教室であると。

 さらに庄司主演の舞台にはコメディの要素もあったという。原作を知る者からすれば意外すぎる演出であるが、だからこそ好奇心がかきたてられる。見ることができずに本当に残念だ。

 教室が漂流する、それだけでいくつものドラマが生まれる。そのすべてを受け止める懐の深さが、漫画「漂流教室」には確かにあるのだ。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)

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